後悔しない住宅会社の見分け方
家づくりにおける失敗とは?
家づくりのパートナーとも言える住宅会社。
大手ハウスメーカーから地元の工務店まで、住まいを手がける会社はたくさんあります。
理想の我が家を手に入れるためには、どんな会社に工事をお願いすればいいのでしょうか?
実は、注文住宅を作る場合、このパートナー選びこそ家づくりのすべて。
そう言っても過言ではないくらい、どの会社を選ぶかによって、あなたの家づくりの結果は大きく変わってしまうのです。
まずは、家づくりでどんな後悔が考えられるか、よくある失敗をご紹介いたします。
失敗1:イメージしていた家にならなかった
新しい家の完成はオーナーにとってもっとも嬉しい瞬間のはずです。
しかし、その住まいの至るところに「本当はもっとこうしたかった・・・」という箇所があると、どうしても少し残念な気持ちが残ってしまいます。
なぜイメージしていたものとかけ離れてしまったのでしょう?
理由としては、
- そもそも設計段階で明確なイメージを持っていなかった
- 住宅会社の担当者とうまく意思疎通ができていなかった
- 予算が足りなかった
このようなことが考えられます。
失敗2:同じくらいの金額でもっと素敵な家が建てられた
我が家が完成したあとに、ご近所の方やお知り合いがまるで雑誌にでも出てくるようなおしゃれな家を建て、その費用を聞いたら我が家と同じくらいの金額だった・・・
こんな経験をしてしまうと、それほど不満に思っていなかった我が家でも「失敗したかも・・・」なんて感じてしまうかもしれません。
ただでさえ隣りの芝は青いのに、それが近所でも評判になるような素敵な家ならなおさら、悔しい想いにかられますよね。
こうなってしまうのは
- 住宅会社のモデルルームや完成見学会などに行かなかった
- 相見積もりや比較検討をしなかった
- 住宅会社から良い提案をされなかった
これらが原因です。
失敗3:大幅に予算がオーバーした
そして最後は、大幅に予算がオーバーしてしまった、というパターンです。
注文住宅のように、お金をかけようと思えばいくらでもかけられるようなものを購入する場合、予算というのはとても重要なポイントです。
それが当初の予定よりもオーバーしてしまっているなら、あまり計画的な買い物とは言えません。
予算オーバーした分も住宅ローンで支払うわけですから、もちろんその分の利息も発生します。
もし、あなたの身内が「300万円借金しようと思ってたのに、欲しいものがあったから500万円借りちゃった!」と言ったらどう思いますか?
そんな簡単に借金するなよ・・・と思いますよね。状況的にはこれと同じことです。
さて、なぜこうした失敗が起きるのでしょうか?
- 予算を低めに設定していた
- 提案されたプランでこれ以上妥協できる余地がなかった
- 契約したあとにどんどん費用が上乗せされてしまった
こんな事情があるようです。
失敗から学ぶ、後悔しない家づくりのためにできること
ご紹介した失敗例を見ると、その原因を2つにわけることができます。
- 自分の問題・・・・・情報収集不足、曖昧な予算・要望
- 住宅会社の問題・・・・・コミュニケーション不足、提案力不足、怪しい契約方法
これから家づくりをするなら、「自分の問題」については、あなた自身がしっかり情報収集を行い、建てたい家のイメージと要望・予算を明確にすれば解決できます。
一方で「住宅会社の問題」に巻き込まれないためには、そもそもこうした住宅会社を選ばないようにするしかありません。
たくさん業者がいるので不安になってしまうかもしれませんが、ご安心ください。
同じ現場のプロである私たちが見る、「後悔しない住宅会社の見分け方」についてご紹介いたします。
住宅会社の種類とメリット・デメリット
住宅会社にもいろいろな種類があるのをご存知ですか?
それぞれの会社によって、得意なことや、苦手なことがあったりします。
次は、住宅会社のタイプ別に、特徴とメリット・デメリットをまとめてみます。
ハウスメーカー
家づくりを考えたときに、まず思い浮かべるのは住宅展示場やモデルハウスの見学ですよね。
有名なハウスメーカーの展示場などに足を運ぶと、そこにある家は見た目も立派で中も広く、デザインもなんだか今っぽくて、ついつい心が奪われてしまいます。
でもそれは当然のこと。
なぜなら、一棟でも多く販売するために、とにかく豪華で、見た人が欲しくなるように作っているからです。
本体価格で坪辺り100万円以上も費用をかけたであろう高級仕様。もし同じものを作ろうと思えば、予算をまったく気にせず家を建てられるお金持ちでないとなかなか厳しい金額です。
ハウスメーカーはこうした住宅展示場やモデルハウスにたくさんのお金をかけて作っています。そして、これを維持するためにさらに多くのコストをかけているのです。
また、展示場には営業スタッフもたくさんいますよね。
ちなみに、勘違いしがちなのですが、彼らは家を建てるプロではなく、“家を売る”プロ。
これらの人件費も含め、大手のハウスメーカーは住宅を販売するために莫大なコストをかけているのです。
このお金は一体どこから出てくるのでしょう。
そうです、工事費用です。
あなたが支払う住宅購入費用の一部は、こうした販促活動のために使われているということになるのです。
もちろん、デメリットばかりではありません。
大きなハウスメーカーは自社で研究・開発した建材を使用したり、ブランドを守るために施工品質が一定であるなどの安心・安定感があります。
そして、規格化された部材を多く使用するため、工事は効率的でスピーディーという特徴もあります。
工務店
地域密着型で設計から施工まで一貫して引き受けているのが工務店です。
中間業者がいないため余計なマージンも発生せず、またハウスメーカーほど大きな広告を出すことも少なく、口コミなどでお客様を集めている場合が多いので、工事費用は比較的安く抑えられることが多いです。
建材やプランに制限がないので、施主は自由なプランが立てられます。
工務店側も、そうした柔軟な施工経験を重ねることで、それぞれ独自の個性や特徴を生かした住宅建築を行っています。
デメリットとしては、会社によって技術や提案力などにばらつきがみられることです。
このあたりは実際にその工務店が建てた家を見学に行ったり、担当者と話をしてみるなど、自身の目で確認する必要があるでしょう。
また、工事金額が安すぎる工務店も心配です。
安いのにいい工事をしてくれる会社は、施主にとってはとても嬉しい存在ですが、工務店側は無理をしていて経営状態が悪くなってしまっている可能性があります。
欠陥住宅のようなお粗末な工事は論外ですが、アフターサービスがあっても会社がつぶれてしまっては元も子もありません。
きちんと責任を持って長く付き合ってもらうためにも、適正価格で安定した経営をしている会社を見極める必要があります。
設計事務所
設計事務所では、建築士が提案や設計のみを行い、実際の施工は請負の工務店に依頼します。
イメージとしては、建築士が複数人いるような事務所です。
得意なのは、デザイン性の高い建物の設計や、狭い・小さいなどの難易度の高い土地での建築。
デメリットは、基本的に設計畑で実績を積んだ建築士は現場での施工経験がないことがほとんどなので、実際に施工段階になってから、図面通りにいかないなどの問題が生じる場合があることです。
もちろん、依頼先の工務店とはしっかりコミュニケーションができているとは思いますが、素材の選び方や使い方などは職人さんのほうが詳しいこともあります。
また、工事費用の10%程度の設計料が掛かったり、進行する現場を図面通りに出来ているかを監理する監理料は更に別途発生します。
メリット・デメリットまとめ
住宅会社の種類とメリット・デメリットをまとめます。
1.ハウスメーカー
- 品質が一定で安定している
- 耐震、耐久テストなど、データの裏付けがある
- 効率化が図られて、工期が短い
- アフターサービス、保証が充実
- 社会的信頼性が高く、住宅ローン審査が通りやすい
- 部材が規格化されており、プランに限界がある
- 規格外のオプションは高額になる
- 管理と施工が別会社で、対応に融通が利かないことがある
- 工事が始まってしまうとプランの変更が難しい
- 一般の注文住宅会社と比べ相場が高い
- 安定した品質を求めている
- 耐震、耐久性などに裏付けされたデータがほしい
- 知名度のある会社の方が安心できる
- 工期が短い方がいい
- 組み合わせによるわかりやすい家づくりを望んでいる
2.工務店
- 自由なプランが立てられる
- 中間業者がおらずコストが抑えられる (下請け業者がいる場合もある)
- 着工後もある程度なら仕様変更が可能
- クライアントとの距離が近で対応に融通が利く
- 工務店によって提案力や技術力にばらつきがある
- 客観的な判断材料が少ない
- アフターサービスがあっても、 会社がつぶれてしまう危険がある
- ハウスメーカーと比較すると工期が長い
- 自分の意見を反映した家づくりをしたい
- 気候風土にあった家を建てたい
- 低価格で家を建てたい
- 職人の腕を重視したい
3.設計事務所
- デザインの自由度が高い
- 建築家が設計・管理を行い、細部までこだわった 家を建てられる
- 狭小住宅など、家を建てるのが難しい土地にも 対応できる
- 10%程度の設計料がかかる ・自社施工でない分、設計通りにならないことがある
- 設計期間が長く、長期的な家づくりになることが多い
- 設計士個人の実績を判断しにくく見極めが難しい
- 難易度の高い土地での家づくりを考えている
- 自分だけの個性的な家を建てたい
- 家のすみずみまでこだわりを持ちたい
後悔しない住宅会社の見分け方
あなたの理想の住まいを実現するパートナーとして、どのような業者が良さそうか、だんだん見えてきたのではないでしょうか?
ここからは、同じ現場のプロである私たちが見る、「後悔しない住宅会社の見分け方」についてご紹介いたします。
契約と工事費用に関するご注意
とくにハウスメーカーでご契約をされた方に多いのですが、予算が大幅にオーバーしてしまったという失敗は、実はこの業界特有の契約方法に問題があります。
これは、弊社代表の中尾が最も嫌いな“入口価格と出口価格”のお話です。
契約前、住宅会社は「その予算で行けそうです!」とか「このくらいあればなんとか・・・」という曖昧な返事をして、簡単な図面と概算の見積書、標準仕様書などを見せてどうにか契約を取ろうとします。
このときに見せられるのが一番最低グレードの入口価格。
これで契約を迫ってくるのです。
通常は、この金額で工事が終わると思うので、この時点で予算内におさまっていれば大丈夫、と一般の方は考えます。
しかし、実際に契約が決まってしまうと、その後は何か変更をするたびに「そこは未定だったので」「注文住宅ですから」などど言ってどんどん追加料金が上乗せされていきます。
そして、気がつくと大幅に予算をオーバー。
これが最終的に工事代金として支払った出口価格となるのです。
私が聞いたことのある話では、「追加工事が多すぎて、今いくらになっているかわからない」とおっしゃっている方もいらっしゃったくらいです。
本当にひどいやり方だな、と感じます。
ですから、これから家を建てようという方は、こういう流れで契約を迫られることがあるということを、ぜひとも知っておいていただきたいと思います。
もちろん、家の細かい仕様まで全て決まったうえでの契約であれば問題ありません。
中尾建築工房では、そういった曖昧な事をせずに、オーナー様の許可がいただければ、見積もりも公開し、細かい部分の説明なども詳しく行っています。
一人でも多くの方が、予算通り納得の家を手に入れていただけることを切に願います。