自然素材の家づくり
自然素材をおすすめするワケ
あなたが今思い浮かべる理想の住まい。
壁や床の色はなんとなく決まっているかもしれませんが、その匂いや質感までイメージできているでしょうか?
家づくりの最初の段階で決めておかなければいけないのが、どんな素材を使って家を作るか、ということ。
- 「新築ならどんな素材で建ててもキレイだし、立派になる」
- 「メーカーが勧める高性能の新素材を使えば間違いない」
- 「設備には要望があるけど、壁や床にこだわりはない」
もし、素材選びに対してこんな考えをお持ちなら、それはすごくもったいないことです。
なぜならこの先、あなたやあなたのご家族が新しい家でどれだけ心地よく、快適に過ごせるかどうかが、この素材選びにかかっているといっても過言ではないからです。
- 湘南や三浦半島の風土でも室内干しができる
- 冬でも床が冷たくない
- 結露で悩むことがない
- 家族みんながよく眠れる
- 子どもを怒りすぎなくなる
こんな住まいを実現できるのが”自然素材”。
つまり、無垢材(むくざい)や漆喰(しっくい)・珪藻土なのです。
ここでは、自然素材の魅力や特徴、家づくりの素材に使用した時のメリット・デメリットをご紹介いたします。
自然素材を使用した家づくり
山や森に出かけたときに、空気が美味しく感じたり、心が穏やかになった経験はありませんか?
大きな自然の中で、身体が解放されていくような心地よい感覚になったとき、「あぁ、人間も元々は動物なんだな」としみじみ実感できますよね。
しかし、森林浴がいくら気持ち良くても、現代人の私たちは森で暮らすことはできません。
ですから、住まいの建材として自然素材を使用し、少しでも自然を感じながら生活ができればいいな、と考えたりするわけです。
ちなみに、「自然素材を使用した家づくり」という場合は、一般的には柱などの構造の部分から内装材まで、無垢材や漆喰で仕上げることを意味することが多いです。
ところで、自然素材を使用した家づくりは、どこの住宅会社でも行っているのでしょうか?
いいえ、実はどの住宅会社でも行っているわけではありません。
工務店や住宅会社の中には、無垢材などの自然素材の使用を嫌がる会社がとても多いです。
その理由としては、工業製品のような画一化された建材ではなく、施工が難しいため、腕の良い大工が施工しないとクレームにつながってしまうからです。
大手のハウスメーカーなどでは、選べる建材や工法、プランに制限があって最初から相談できないことが多く、町の工務店でも無垢材や漆喰は扱い慣れたところでないと素材を上手に活かした建築が実現できません。
自然素材を使用した家づくりでもっとも大切なことが、自然を感じることと暮らしていくことのバランス。
極端な例ですが、”自然”によりすぎるあまり、どこかから丸太を持ってきてログハウスのようなものを作ってみても、カビや虫などの問題が発生したり、暑さ寒さに対応できなくなってしまいます。
こうした問題が起きない範囲で、最大限に自然の力が発揮されるように家を作るのがポイントとなり、それが実現できる住宅会社を選ぶ必要があるのです。
無垢材(むくざい)の魅力
住宅建築に使用される木材には無垢材(むくざい)と集成材があります。
無垢材とは、1本の丸太を切り出した木材のこと。集成材とは、薄い木板を寄せ集め接着剤で規定の大きさに固めた木材を指します。
一般的には、無垢材は年月をかけてある程度成長した木でなければ建材にできないため高額になることが多く、人工的に作ることができる集成材のほうが割安です。
しかし、ひと昔前には、集成材を固めるために使用した接着剤の成分が原因となるシックハウスが問題になったこともありました。
どちらも本物の木ではありますが、安全・安心という意味で言えば、自然素材の家づくりを望む方の理想に近いのは無垢材と言えますね。
もちろん、実際にはご予算によって、使用する箇所や割合などを調整していくことになります。
無垢材の魅力はなんといってもその重厚感とエイジング。
時間の経過とともに、ゆっくりと深みを増していく色目は美しく、手触りもどんどん肌に馴染んでいきます。これは、本物の木だけが持つ味わいです。
そして、忘れてはいけないのがその機能性です。
伐採後、木の成長は止まりますが、建材となったあとも木は呼吸を続けています。
乾燥しているときには水分を放出し、湿度が高い時には吸収するという調湿機能が日本の風土にもぴったりだということは、よく知られていますよね。
これ以外にも、実は目には見えない様々な効果が科学的に証明されています。
それが
- 木が発生させる成分「フィトンチッド効果」
- 不規則な木目による「ゆらぎ効果」
です。
「フィトンチッド効果」とは?
植物が、自らに侵入しようとする有害な微生物(細菌など)や昆虫などから身を守るために発生させるのがこの”フィトンチッド”という物質です。
この成分の効果は、木が切り出されて建材になったあとでも持続すると言われています。
- 消臭・・・・・排泄物・生ゴミ・タバコ・汚水などの臭いを除去
- 抗菌・・・・・殺菌作用によりカビが繁殖しにくく、病原菌にも強い
- 防虫・・・・・蚊・家ダニが寄りにくい
- 脳内のα波を促進
- 有害物質(ホルムアルデヒドなど)の低減
高温多湿な日本では、住まい以外にも、まな板や食器、桜餅や柏餅などの食べ物にも木や葉を使用し、鮮度保持・殺菌・防腐効果を利用してきました。
古くから建材として親しまれてきたのは、調湿機能に優れているだけでなく、フィトンチッドによる”建物を長持ちさせる効果”もあったからだと考えられます。
「ゆらぎ効果」とは?
「規則的なもの」と「不規則なもの」が調和している状態を心地よく感じ、気分が穏やかにリラックスする効果です。
たとえば、一定の法則に従うだけの事象が幾何学的・人工的で無機質なイメージがある一方、ゆらゆら揺れるキャンドルの炎を見つめていたり、川のせせらぎ、波音を聞くと落ち着いた気分になりますよね。
木目も同様に、規則的なようでいて予測できない不規則さがあるため、そのリズムが見ている人に安心感と癒し効果を与えるのです。
「フィトンチッド効果」と「ゆらぎ効果」はどちらも科学的に根拠のある木のパワーです。
私たちのように自然素材を扱う住宅会社が「快適」「心地よい」「リラックス」という言葉を使うのは、こうした木の効果があるからです。
家にいながらにして、まるで森林浴をしているかのような心地よい感覚。
文章で説明するとありきたりになってしまいますが、見学会などに足を運んでいただき、数時間その空間で過ごしていただければ、きっと実感していただけることでしょう。
無垢材の長所と短所
長所 | 短所 |
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漆喰(しっくい)の魅力
漆喰(しっくい)の主な成分は消石灰なのですが、これは海中生物の死骸などの体積が隆起ののちに陸地となった石灰岩を砕いて焼き、水を加えて消化(水和反応)させたものです。
身近なものでいうと、こんにゃくの凝固剤と使用されている水酸化カルシウムの別名が消石灰。
その消石灰に、麻の繊維や海草(ふのり)などを混ぜ合わせて作るのが漆喰です。
この成分を知れば、人体に限りなく害が少ないということをイメージしていただけますよね。
建材としての漆喰にはカラーバリエーションがありますが、基本は純白の美しい素材です。
ときどき珪藻土(けいそうど)との違いを聞かれることがありますが、厳密には成分の比率等が違うものの、大まかには同じようなものです。
とくに海外では同じものと見なされることが多く、中尾建築工房で使用している漆喰は品質の良いものを輸入して取り扱っているため、お客様にもこのようにご紹介しています。
珪藻土といえば、最近は100円ショップでも珪藻土でできたコースターなどを手に入れることができるので、ご存知の方も多いですよね?
あとは、少し前に珪藻土のバスマットも流行ったことがありました。
漆喰や珪藻土の最大の特徴といえば、この吸水力です。
また、水分だけでなく、ホルムアルデヒドなどの化学物質を吸着して分解したり、ニオイの元になるカビや細菌を分解する働きもあります。
しかし、漆喰の魅力はそれだけではありません。
漆喰で塗った壁は、空気中の二酸化炭素と反応することで時間が経つにつれて石化し、強度が増していくと言われており、さらに元の成分が鉱物なので火にも強く、雨で流れ落ちることもありません。
こうしたことから、漆喰は内装だけでなく外壁にも使用されてきました。日本の城壁や、ヨーロッパの島の白壁の街並みが長きにわたって景観を守り続けていられるのは、この漆喰の耐久性によるものなのです。
内装材として使用する場合は、クロス(壁紙)などと比べて割高に感じてしまうかもしれません。
でも、15年後を想像したらどうでしょう?
経年とともに黄ばんでしまったり、湿気で剥がれてきたりするクロスと違って、漆喰の壁はその15年間ずっと、ある程度の美しさを保ちながら、調湿作用で居心地のいい空間を維持し続けてくれるのです。
なお、中尾建築工房では、「漆喰の壁にしたいけど、少しでもコストを下げたい」という方のために、漆喰壁の施主施工(オーナー自らに施工してもらうこと)を全面的にバックアップしております。遠慮なくご相談ください。
漆喰の長所と短所
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自然素材の家づくり
メリット・デメリット
ここまで紹介してきたように、無垢材や漆喰が持つそれぞれの長所を活かすことが自然素材を使用した家づくりのメリットとなります。
また、有害物質の少ない環境での生活は、アトピーやアレルギーなど発症の原因が特定しにくいような疾患で苦しむ方にとって改善策の一つになるかもしれないという期待もあります。
逆に、デメリットとしてよく挙げられるのは、とくに無垢材について
- キズや汚れがつきやすい
- 反りや割れ、曲がりなどの狂いが生じる
ということです。
使用する木材の種類にもよりますが、既製品の床材等に比べれば、やはりどうしても無垢材のほうがキズには弱く、汚れもつきやすいです。
また、無垢材は年を重ねるごとに飴色に変化していくので、キズも含めて、これらのエイジングを楽しめる人でなければ、あまりおすすめはできません。
また、無垢材は伸縮したり変形したりします。
とくに無垢材のフローリングなどは、工事をする季節や木の種類にもよりますが、施行後は反りや曲がり、日焼けによる色の変化、薪ストーブや電気ヒーター等の温熱環境によっては、板と板の隙間が生じるコトがあります。
無垢材は人間同様、それぞれに独特の個性があります。
ですから、無垢材で施工する大工は、木目を見たり、変形を予想して家を建てなければなりません。
これには熟練の技が必要ですが、大工の腕によって品質にばらつきが出てしまうこともデメリットと言えるでしょう。
木の性質上どうしようもないことではあるのですが、自然素材での家づくりを考えているのであれば、こうした性質もきちんと知り、施工技術の高い工務店や大工を探さなければいけません。
実際のところ、費用はどうなの?
自然素材による家づくりにはメリットがたくさんある一方で、一番の心配ごとは価格ですよね。
”良いものは高い”というのが一般的だと思いますが、自然素材に関しても、量産されているクロスや床材に比べたらもちろん高くつきます。
しかし、建材を考える上では、費用を”点”で考えないことが大切です。
たとえば、ランチでお寿司を食べるとき。
2貫で100円のマグロと、1貫で500円の大トロで悩み、100円のマグロで我慢したとします。その直後に「大トロにすればよかったな」と後悔をしても、夕食の時間が来るころにはもうそんなことは覚えていないはずです。どうしても忘れられなかったら、もう一度、夕食に大トロを食べに行けばよいのです。
このように、対価の継続性がないものや、何度もチャンスがあるものは、その瞬間の”点”でコストの高い安いを判断することができます。
それでは、住まいはどうでしょう?
完成してから後悔しても数時間後にやり直すなんてことはできませんし、10年、20年先も、あなたとともに年を重ね、そこにあり続けます。
ですから、住まいの費用は”点”ではなく、長期的な”期間”でコストを計算しなければいけないのです。
無垢材や漆喰を建材に使用する大きなメリットとして、どちらも耐久性が挙げられます(もちろん、施工する人の技術力に左右されるところも大きいですが・・・)。
何百年も前に建立された神社仏閣などの木造建築があることや、漆喰で塗装された姫路城の大改修が50年に一度というスパンであることからも、自然素材がどれほど長持ちする素材であるかおわかりいただけると思います。
つまり、自然素材で作った家は、完成後のメンテナンスの負担が少ないうえに、一代限りではなく、お子さんたちの代、更にはお孫さんたちの代まで住み継いでいくことができるのです。
こうして考えると、果たして自然素材は本当に高額なのでしょうか?
むしろ、最初の工事費用はかかるがコストパフォーマンスが非常に高い、割安な素材だとも言えませんか?
そして、コストの話をするなら忘れてはいけないのが、”素材だけが予算を超えてしまう原因ではない”ということ。
家づくりには、土地代や建築費、引っ越し代等、様々な費用が必要です。
あなたが理想の住まいを目指す上で、自然素材で建てることの優先順位が高いなら、他の部分でもコスト削減を検討すればいいのです。
- 土地の購入で、実際の価値よりも高い買い物をしていませんか?
- ハウスメーカーの名前やブランドにお金を払おうとしていませんか?
こうしたお金の配分を変えれば、十分予算内でも自然素材の家を建てることができるのです。
費用がネックでまだ一度も自然素材の住まいを見学していないなら、ぜひ一度体験してみてください。
この心地よさを知らずに家を建てたら、きっとあなたは後悔してしまいますから・・・