鎌倉市浄明寺から持って来た鰹節削り台を直してました。
前回、鎌倉市に建つ新築一戸建ての注文住宅を御引き渡しさせて頂きまして、かれこれ一年ほど経った段階で、雑誌の取材に伺いました。
んで、伺った際に包丁研ぎをしてました。
取材時はいつもの事ながら、どうも私は暇なもんでね。。
その際に『包丁以外にも、なんかあったら出しておいてね〜、やっとくから〜』なんて話をしてましたら、今時はほぼ見かけなくなった懐かしの鰹節削り器があったんです。
そこで登場したのが鰹節削り器なのですが、これがまたミラクルなほどに固く鉋台に打ち込まれていたんです。
通常は鉋台の頭部分をコンコンと叩いて、鉋の穂(『ほ』と読みます、単純に刃の事)を出します。
そうすると鉋の穂は鉋台からすっぽりと外れる訳なのですが、どうもコヤツは外れない•••
どうも相当な圧力により、鉋台と穂がくっついてしまっているので、まずはこれをなんとかしないといけません。
まーでも一般の方からすれば、叩けるならがんがん叩いても良いでしょ?と思われるのは仕方の無い所かもしれませんね。
私みたいに大工であれば『こういう道具はデリケートだから、あんまり叩いちゃいけない』って事を知ってますけど、普通に考えてそこまでは考えられないかと思います。
そこで私はこの鰹節削り器をしばしお預かりする事にしたのです。
まずは金物屋さんで買って来てあった椿油を鉋台に馴染ませる為に、鍋にぶっ込みます!
もちろんな話ですが、鍋には入れても火は付けませんよ(笑)
木製の鉋台に椿油を馴染ませますと、木自体に粘りが出て来ます。
さらに無理矢理ハマっていた鉋の穂と台を外す為、潤滑油代わりに椿油を使いました!
そしてひたすら油を入れ込む作業をする事、一週間以上はやってましたかね。
ようやく鉋台と鉄の接合部に衝撃を与えても平気かなって段階まで来ましたので、いよいよ鉋の穂を外す事に。
椿油をたっぷり含んだ鉋台は、がっつりと加えていた鉋の穂を吐き出してくれました。
そしてすかさず、穂を研ぎ上げて完成かと思えばそうではありません。
とまぁ、ここまで来ても、この鰹節削り台は使えない状態でした。
ここから更なる手入れを加えます。
何をするかって言うと、今度は鉋台の方を加工します。
鉋系道具で大切な事って、実は穂の切れ味ではなかったりします。
実は穂もさる事ながら、鉋台の方が平になっていないと、いくら穂の切れ味が良くても切れない道具のまんまになってしまうんです。
ではどの位、台が悪いかって言うと。。
分かりますかね?
私が指先で鉋の台を抑えると、一カ所だけ浮いてしまうんです。
つまりは他の三点は同じなのですが、一カ所のみ台がねじれてしまっていると言う事になります。
台は水平もしくはその鉋の用途によって、台裏側の加工がまったく違うんですね。
ここまでねじれてしまっていると、どうにもこうにもなりませんので、私の台馴らし鉋を使って裏側を削ってあげました。
ホントは全部キレイに馴らしたいのですが、台の厚みも限られていますし、この台は鰹節程度を削れれば良い訳です。
なので捻れを取って、使える程度に台の調整を行いました。
んで、これがどんな感じになったかって言うと。。
とまぁ、こんな感じでお預かりしております鰹節削り器は復活させる事が出来ました。
でも、ちょっと台の方がまだまだ油を吸わせた方が良さそうです。
なのでキリを見て、私の方で御持ちする際にご連絡をしたいかなって思います!
コッコロさん、あともうちょい、待っててね〜☆
いや〜、割といい感じの仕事した〜(笑)