葉山町でのリフォーム経験|どこまでやるかの判断は?!
リフォームやリノベーションが、最近では流行ってますよね。
今号の湘南スタイルマガジンでは、リフォームリノベーション特集が組まれているくらいです。
中尾建築工房でも、リフォームやリノベーションは行っております。
でも、こちらから斡旋する事は。
正直、あまりありません。
私はもともと、大工の棟梁上がりでして。
逗子や葉山に横須賀のリフォームは、かなり手掛けてきた職人です。
下請け工務店の若い衆だった時代も携わっておりますし。
独立してからも、より多く携わって来ました。
下請け工務店の若い衆だった時代は、どれだけ構造がひどい状態でも。
元請け会社に言うだけ言って。
「予算無いから、そのまま塞いで」
と言われる現場もあれば。
私が独立して、下請け大工の親方時代は。
自分ではっきり言う姿勢でしたので、元請会社に連絡をすると。
「追加が取れるから、見積もり出して!」
なんて、喜んでる始末でした・・・
なんだかなぁ・・・
施主さんだって湯水のごとく、お金がある訳でもなかろうに・・・
結局のところ、下請けではすでに決められた事をやるだけで。
ホントはこうした方が良いのだけれども、やってあげたくても出来ないですし。
すでに決められた、割と無意味な工事をせざる得ないんですよね。
それで下請けを脱却して、元請けとして今に至る訳なのですが。
当時はやたらと施主さんから、私個人の連絡先を教えて欲しい。
それも現場の途中から、最後の頃に言われる事が多かったです。
業界的には元請けを飛ばすと言うタブーな行為なので、何故なのか理由を聞いてみました。
すると。。
「元請会社はお金の事ばかりしか言わない。
老後の暮らしもあるから、どこに工事が必要で、どこにお金をかけるべきかを教えて欲しい。
正直なところ、もう○○さんは信用が出来ない。」
そんな話ばかりでした。
当然の話ですが、大工は実際に自らの手で家を修復しますので。
どこか悪くて、何をすれば良いのかはわかります。
また。
そこにお金をかけたら、延々とエンドレスでお金がかかる。
それもわかります。
ですんで、相談がある時のみ。
必要な事を説明して、選択をしてもらっていました。
その中でも、これは・・・
と言う家があって。
私が下請けの大工として、携わった葉山の家。
何でも新築してから、リフォームに掛けたお金は2500万円以上。
それでも、雨漏りは止まっていなかったり。
建物の形状も、都内の建築家が設計したらしいのですが。
収まりが全く、収まって無い状態。
その上、設計をカバーする施工業者でも無かった様です。
しかも、同んなじ元請け会社・・・
これではいくらお金を掛け続けても、安心すら買えない。
元請け会社だけが、良い思いをしてるだけでした。
施主さんの話を聞けば、息子さんが大学院でお金が掛かったり。
今まで掛け過ぎてしまったから、どうすれば良いのか分からず・・
老後の不安もある事から、工事中だけども私が相談を受けました。
そこで出てしまった、建物の欠陥はと言えば。
玄関ドアを入れ直すリフォームだったのですが。
画像右側の玄関ドアを入れ直しました。
元請けの方が発注した玄関ドアは、高さが合わずに・・・
庇に埋めこんだり、若干タイル部分に沈めたりして。
なんとか開けられる様に取り付けしたのですが。
室内側の石膏ボードを外してみると、ドアから45センチほどお風呂側にある柱が。。
なぜか、ボワンボワンだったんですね。
画像の赤色の部分ね。
げんのうで叩いたら、簡単に土台からズレてしまいます。
柱自体も痛んでおりましたが、土台の損傷がひどすぎて。
柱を外して、お風呂側の壁を見てみる事にしました。
そ・し・た・ら・
懐中電灯で見たのですが、あるはずの土台や間柱の存在が確認出来ません。
本来は土台があるはずの場所に、ゴミの様なモノが積まれている様にしか見えません。
現場では必ず集塵機を持参しておりましたので、集塵機で内部を吸い取ってみると。。
すでに炭化した土台や間柱だったであろう、変わり果てた木材でした。
終わっています・・・
と言って良い状態です。
この場合ですと、通常ならお風呂を解体しての修理になります。
見る限り、お風呂側からの漏水により。
土台や間柱が腐っている様でした。
それを見てしまった施主さんは。
「もうお金を掛けたくないけど、これはやらないと駄目だ・・・よね・・?」
元請けにも連絡すると。
「ホントー?!追加が取れるから、見積もり出して!」
お前さんはそんなんだから、信用されないんだよ・・・
とは思いつつ、私なりに考えました。
本来なら無いはずの構造や、はがら材を入れ直しする必要があります。
でもお金も掛かる・・・
であれば。
玄関側の柱を利用して、特製の鉄骨金具を製作して。
それを画像の斜線部に入れ込みました。
つまり、赤線の部分は土台も無いし、間柱も無い。
あるのはお風呂側のタイル壁と、外壁のモルタルです。
保証を付けられる訳では無いけれど。
ある意味、大工の勘です。
予算を掛けない為には、こうするしか無いんですね。
応急処置ではあるものの。
あれから15年は経過してまして。
311の後にも連絡を取ったりしましたが、特に問題は無く。
おかげさまで、ゆっくり過ごせているとの事でした。
欠陥ではあるものの、懐事情を考慮すれば。
これで良かったのでは無いかなぁ。。と思います。
元請けさんはと言えば。
「お風呂の追加工事を提案したけど、取れなかった・・・」
と同時に施主さんに、バッチリ怒られたみたいです(笑)
と言う事で家のリフォームは、どこまでやるかの判断が重要なのだと思います。
本当に必要な工事は何なのか?
築年数が30年以上も経過していて。
たまたま強風が差して、その時だけ雨漏りしたら屋根の張替えが必要なのか?
しかも何年住むのか分からなければ、なおさらです。
今回の葉山の家は、お金を掛ければ掛けるほど。。
良くなる家ではありませんでした。
お風呂場だけでもなく、悪い部分は見受けられました。
ただ、お金が掛かり過ぎてしまう家でもあるため。
応急処置で済ませているのですが。
ご自宅でも、収益物件でも。
掛けて良くなる工事であれば良いでしょう。
でも。
掛けても掛けても、良くはならない建築物は存在します。
なので、まずはリフォームするかぁ。。
と思うよりは・・・
今後、ご家族がどの様に暮らして行って。
どんなライフプランになるかを検討してから。
業者に相談する方が無難。
慌てず、急がず、適切な判断が出来るとよろしいかと思います。
ちなみに私が「この家は。。もう・・・」と言う場合。
それはどうにもならんと言う事です(笑)