無垢フローリングの種類はいかほど?〜無垢材のおすすめな選び方基礎知識講座〜
無垢材のフローリングを選ぶ際、あなたはどの様に選ばれるでしょうか。
実は無垢のフローリングには、膨大な種類があるのをご存知ですか?
そこで無垢材の知識は豊富な元大工であり、実際に自然素材の家を建てている中尾建築工房から。
おすすめな無垢材のフリーリングの選び方を、基礎からご紹介していきたいと思います。
1.無垢のフローリングの種類について
無垢のフローリングは、自然素材の家を建てるなら最も気にしたい部分かもしれません。
なぜなら直接素足に触れる素材ですから、肌ざわりを気にされる方はとても多いのです。
それと同時に傷がつきやすいなどを、想像される方も多いのではないでしょうか。
そこでまず、無垢のフローリングにはどの様な種類があるのかを説明させて頂きます。
無垢の木材には、ざっくり分けて2種類に分ける事が出来ます。
針葉樹と広葉樹です。
それでは説明を始めましょう。
■針葉樹とは
針葉樹はソフトウッドとも言われ、葉の先が針の様に尖っている樹木の事を言います。
根から幹、枝から葉へと、水や養分を吸い上げる構成がシンプルなのも針葉樹の特徴です。
水や養分を吸い上げる仮導管も非常に多く、木を支える事にも貢献をしています。
針葉樹は木の中に、無数の空気の孔が存在します。
空隙率(クウゲキリツ)と言われるのですが、空隙率が多い事から比重も軽い木だと言えます。
シンプルな構成で、仮導管も非常に多い。
比重も軽い事から、比較的柔らかに木だと言えます。
針葉樹の種類としては、540種と言われています。
■広葉樹とは
広葉樹はハードウッドとも言われ、葉は扁平な形をしている樹木の事を言います。
木自体の組織構成が非常に複雑で、細胞の種類や役割も分業されており、専門の細胞が存在するのが広葉樹の特徴です。
どちらかと言えば、人間の体の作りに近いのが広葉樹と言えるでしょう。
メインとなる導管から水や養分を吸い上げて、木を支えるのは緻密な繊維が担います。
複雑かつ比重も重たいので、ハードウッドと言われるのも理解が出来る事でしょう。
この事からも、多様な使い方が期待できるのが広葉樹です。
広葉樹の種類としては20万種と言われていて、圧倒的に種類多いと言われています。
この様に針葉樹と広葉樹には、それぞれ違いがある事がご理解頂けたでしょうか。
簡単に説明すれば、この様な形になるかと思います。
■針葉樹
- 柔らかい
- 軽い
- 扱いやすい
- 傷がつきやすい
- 油やヤニが多い
■広葉樹
- 硬い
- 重い
- 扱いにくい
- 傷が付きにくい
- 灰汁が出る
私はもともと大工の棟梁でしたので、これらの素材はたくさん触って来ました。
作業性が良いのが針葉樹、作業性が悪いのが広葉樹と言い換える事も出来ると思います。
大黒柱などで黒檀などの広葉樹を使う場合、墨付け自体は一人でなんとか出来ますが。
それを建てるとなると、それこそクレーンを使わない限りは起こす事すら出来ません。
針葉樹と広葉樹の違い、ご理解頂けたでしょうか。
2.世界的な無垢フローリングの考え方の違い
フローリングについては、世界的な考えた方と日本的な考え方に違いがあります。
世界標準で言えば、フローリングは土足履きでの対応が当たり前です。
日本はどちらかと言えば、靴を脱いで上がりますよね。
礼儀作法が全く違いますから、これはフローリング云々と言う問題ではなく文化に違いがあり過ぎます。
日本はもともと無垢のフローリングと言えば、お寺の縁側などにヒノキの縁甲板と呼ばれる板を張る事が多かったのです。
一般の家屋の場合は、ヒノキや杉の節のあるモノを採用していました。
私が小学校の頃の校舎などは、ヒノキの床板だった事を覚えています。
校舎では上履きを履いてましたから、床板は傷だらけでした。
節穴は抜け落ちていて、その穴にマグネットを付けた糸を垂らします。
すると何かしらのクリップなどが釣れたりして、喜んでいたのを覚えています。
この様に文化の違いがあります。
自然素材の先進国であるヨーロッパなどでは、ありとあらゆる商業施設に広葉樹の無垢フローリングが採用される様になりました。
タイルや石貼りの床は、メンテナンスコストが高くなります。
無垢のフローリングの方が、メンテナンスコストが安いと言うのが理由だそうです。
代表的な例で言えば年間で3200万人が利用をする、ノルウェーのオスロ空港なども無垢のフローリングを採用しています。
最近の傾向では日本国内でも、その様な動きが見られる事があります。
羽田空港の増設された第二ターミナルのショップ&レストランの通路は、広葉樹のフローリングで仕上げられています。
日本が世界に見習っている事が、この事からもお分かりになるかと思います。
3.無垢のフローリングの種類について
こちらの画像は葉山に建つ、赤身が多い杉のフローリングの家です。
丸太のロットが良かったせいか、節がほとんど見られないフローリングです。
この章から画像を少しずつアップしますので、参考にして頂ければ幸いです。
先ほど広葉樹の種類だけなら、20万種類があると述べました。
これ、全部知りたいと思いますでしょうか。
私ですら知らない針葉樹や広葉樹がありますから、これを知ったら学者並みだと思います。
そこで今回は私が扱った事のある、フローリングをそれぞれ書いてみたいと思います。
■針葉樹
- 国産杉
- 国産桧
- 国産唐松
- ヨーロピアンパイン
- 青森ヒバ
針葉樹の杉や唐松、ヒノキに関しては、コスト面で言えばほとんど同じです。
その代わりに価格を同じにする為、幅や厚みの加減を行っておりました。
ヨーロピアンパインは、それより若干高い印象を持っています。
青森ヒバに関しては、針葉樹の中では断トツの効能を持つだけではなく、お値段もお高いフローリングです。
私がお勧めしているフローリングは、木の香りを楽しみたいなら青森ヒバ。
青森ヒバまでとは言わなけど、香りを楽しむならヒノキ。
とにかくお値段重視で選ぶなら、杉や唐松をお勧めしている感じです。
葉山町に建つ、杉のフローリングの家です。
針葉樹の中で、肌さわりがもっとも良いのが杉です。
無塗装の杉のフローリングの肌さわりは、とにかく気持ちが良いと言えます。
その代わりに傷も付きやすいのが、杉のフローリングの特徴です。
横須賀市に建つ、パインフローリングの家です。
オーナー様の強いご要望で、パインのフローリングを施工させて頂きました。
輸入材になるのですが、ヨーロッパのパインを丸太で仕入れて、日本国内でフローリングの加工をしている材料です。
中国などで完成された、安いパインのフローリングもあります。
ただし匂いが、消毒液の匂いが若干残ります。
おそらくコンテナ詰めした際の消毒の匂いでしょう。
それでは安全性が無いので、あえて国内で製材出来るパインのフローリングを選ばせて頂きました。
葉山町に建つ、唐松のフローリングの家です。
唐松材は針葉樹の中でも、わりと固めな材料です。
唐松は枕木などにも採用されるくらいですから、フローリングに採用するのは硬さ的に良いと言えるでしょう。
ただし松ですから、松ヤニを多分に持っています。
暖かい場所ではヤニを吐き出しますので、それが嫌いな方の場合はお勧めできる材料ではありません。
葉山に建つ、ヒノキのフローリングの家です。
畳の向こうに貼られているのが、ヒノキのフローリングになります。
そしてフローリング材を腰壁に貼ってしまったのですが、この腰壁に貼られているのが青森ヒバのフローリングになります。
どちらも香りを楽しめる材料ですから、このスペースに宿泊される方は、よく眠れると言われます。
以前に鬱になりやすく、枕が変わっただけで眠れない女性がお越しになられたそうです。
電車の時間が無くなってしまい、急遽宿泊する事になったのです。
この部屋の香りで癒されて、朝までしっかりと眠れて、良い目覚めをしたと言う事でした。
針葉樹はこの様な感じでしょう。
それでは続いて、広葉樹の方も見て行きたいと思います。
■広葉樹
- ウォールナット
- ブラックウォールナット
- オーク
- チーク
- アカシア
- チェスナット
- メープル
- 国産鬼胡桃(オニグルミ)
広葉樹にはそれぞれ硬さは違いますが、概ね硬いのは間違いありません。
ですからどちらかと言えば、無垢材の木目がお好きなモノを選ばれた方が良いでしょう。
色合いが濃いのをお好きであれば、ウォールナットやチークになるでしょう。
変則的な木目で、変わった雰囲気ならアカシアが良いでしょう。
明るい雰囲気にしたいのであれば、メープルなどもお勧めが出来ます。
どれも傷は付きにくいですし、耐久性もあります。
横須賀市に建つウォールナットのフローリングの家です。
ローテブールにはブラックウォールナットを採用していますので、フローリングとのバランスが良いと言えます。
メンテナンスをしない様、コーティングされたウォールナットのフローリングです。
三浦市に建つチークフローリングの家です。
チークは船の部材にも採用される様な、耐久性が高くて強度もある素材です。
自然塗料でオイルフィニッシュ仕上げにしますと、より一層の木目の高級感が出るのが特徴です。
葉山町に建つ、ブラックウォールナットのフローリングの家です。
ブラックウォールナット独特の木目が、個性を主張しているのが見て取れます。
オイルについてはあまりツヤを出し過ぎないのが、最近の主流となっています。
ツヤ有りよりもマットな塗料で保護する方が、ブラックウォールナットらしさが出ると思います。
メープルは、とても明るい印象を受ける素材です。
高級感よりも明るいフローリングを選ばれました。
控えめなメープルフローリングのおかげで、ウォールナットのダイニングテーブルが思いっきり主張をしています。
葉山に建つ、チェスナットフローリングの家です。
色合いに関しては、あえて自然塗料を3色で色分けをしています。
テクスチャーのある色合いを求めておりましたので、敢えてこの様に仕上げた家になります。
横須賀市に建つ、アカシアフローリングの家です。
アカシアは一本の丸太から採れたモノでも、この様に色合いにムラがあります。
この個性がお好きな女性建築家の方がクライアントでしたので、敢えてアカシアを採用してフローリングを強調しました。
この様に広葉樹のフローリングにも、様々な色合いがあります。
私が個人的に好きな無垢のフローリングは、うづくり仕上げを施されたエイジングされたオークのフローリングが好きです。
これはサンプルしか無いので、この画像を見て頂くしか出来ません。
私の家が建てたら、いつかお見せ出来ると思います。
この様に様々な無垢のフローリングがあります。
ぜひ、あなたのピンと来るフローリングがあると良いですね。
4.メンテナンスも考慮しましょう
無垢のフローリングを選ぶ際、メンテナンスを考慮した方が良いかと思います。
お子さんが走り回ったり、ペットが居たりする場合は、床もそれなりに汚れています。
基本的に掃除をするのは、掃除機で吸い取る方法です。
掃除機で吸い取れない汚れを取るなら、乾拭きをする方法がマストになります。
それでも中には、この様な意見を申される方も居ます。
「水拭きがしたい!」
そうですか。。
決して駄目と言ってる訳では無いのです。
あくまでも自己責任と言う事であれば、固く絞った雑巾で水拭きするのも良いでしょう。
実際に私も、水拭きするのがダメとは言ってはいません。
一休さんと言う漫画の中では、一休さんたち修行僧が縁側の雑巾掛けしているシーンがあります。
あれはヒノキの縁甲板だと思いますが、お寺などの場合は木が反っていても問題ありません。
住宅の場合も無垢材ですから、反りが起きてしまう事もあります。
私の会社の社長室のフローリングは、ブラックウォールナットの厚貼りフローリングです。
本当の無垢ではないのですが、実験で施工を行う事にしました。
そして試しに、モップで水拭きをした経験もあります。
反りや隙間は見られませんし、いまだに問題なく使っています。
ただしこれらはくれぐれも、自己責任でお願いしますとお伝えをしておきますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
無垢のフローリングには、様々な種類がある事が分かりました。
ですが新築の家を建てる時は、フローリングだけを決める訳ではありません。
フローリングを優先し過ぎて、他の部分のコストを極端に抑えてしまえば。
全体的に、アンバランスな家にも成り兼ねません。
ぜひバランスの取れた、自然素材の家を手に入れてください。
一番オススメなのは、フローリングをあなたが選ぶと言うよりは。
新築の依頼をする建築家や、工務店の方に相談すると良いでしょう。
あなたのお気に入りのテイスト知っているプロであれば、選んで良いフローリングか。
それとも似合わないフローリングかを、回答してくれると思います。
そしてあなたが気に入る、無垢のフローリングの家を手に入れましょう。
お気に入りの無垢フローリングが、あなたを毎日ご機嫌にしてくれると思います。