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中尾建築工房で家を建てる|こだわっていた軸組のポイントとは?!

 
  2021/06/03
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現在設計中の方の中には、中尾建築工房がどの様な木材で家を建てていたのか?

 

在来工法なのは分かるけど、構造材の詳細については知らない・・・

 

コロナ期とも重なっていた(今もだけど)ので、細かい詳細説明が出来てない部分もありまして。

 

あまりご存知無い方も居らっしゃるかと思います。

 

今、置かれている状況は前回のブログ記事でご説明差し上げましたので、今までどこにこだわりを持っていたのか。

 

また現在進行形の状態は、どうなっているのだろうか。

 

そんな事を説明させて頂ければと思います。

 

 

1.軸組(横架材)に関して

 

基本的に中尾建築工房の軸組は、横架材と呼ばれる梁(はり)や桁(けた)をダグラスファーと呼ばれる材料を採用していました。

 

オール国産材でも良かったのですが、ダグラスほど強い強度を持つ梁は存在しないのではないか?

 

これは大工だった私が言うくらいですから、とっても木目の詰まった木材です。

 

事務所に来て頂いた事がある方ならば、梁材の見本を見た事、触った事があるかと思います。

 

たった30cm程度の長さなのに、あれだけの重さがあるんですよね。

 

しかもサンプルを作って10年以上も経過してますので、相当な乾燥の状態にあるんです。

 

さらには漆喰の調湿効果で、乾燥状態が進んでいてもあの重さです。

 

どれだけ目のつまった木材なのかが、分かるかと思います。

 

一般的には3m、4mの規格の長さで作られてはいるものの、長尺モノと言って長い梁材もオーダーすれば、割と時間が掛からず出来てしまいます。

 

またダグラスはアメリカからの輸入材を広島の会社が一手に引き受けて、丸太の仕入れから製材、乾燥、仕上げの工程まで一括して安定供給をしていました。

 

乾燥させる乾燥窯も良いモノを使っていますし、こんなにデカイ梁の水分を抜くのに、ここまで目の詰まった材料を仕上げられるのは凄い技術だなと。

 

最初に私がダグラスを手に取ったのは、大工の棟梁として現場で働いていた頃になります。

 

乾燥材なのに、なーんだって、重てー梁だな・・

 

どんだけ目〜詰まってる木材なんだよ・・

 

かちこち過ぎて、鑿(のみ)の刃がすぐ切れなくなっちゃうな・・

 

ロングスパンの製材も出来るのか・・

 

これが最初にダグラスを触った私の印象です。

 

昔から職人が大変だと言う素材と言うのは、施主にとっては良い材料だと言われて来ました。

 

そんな感じで説明すれば、この素材がいかに耐久性のある素材なのかが分かるかと思います。

 

では国内には、その様な木材があるのか無いのかと言うお話しですが。

 

日本は主に杉材を多用しておりまして、梁に関しても杉材を選んで使っています。

 

和歌山の某木材商店などは、梁と柱はオール杉材でプレカットまで一貫している所もありますし。

 

私の持っているネットワークに、東北の森林組合連合会があります。

 

そこでは杉もありますけど、梁には赤松の梁などを使われています。

 

もちろん私も使った事があるのですが。

 

ダグラスほど強いとは到底思えない。

 

また問題点として、乾燥の技術がそこまで達していない。

 

ここに問題がありました。

 

逆を言ってしまうとダグラスを扱っている製材会社ほど、大規模な乾燥設備を有している所が少ないとも言えるんですね。

 

それ故に私は好んで、軸組となる横架材にはダグラスを採用していたのです。

 

2.軸組(柱材)に関して

 

柱に関しては中尾建築工房も国産の杉材を採用しているのですが、実はここにも細かいこだわりがありました。

 

昨今では四面とも背割れの無い柱が出て来てますけど、もともと無垢の柱材には背割れと言って柱のある一面のみ、柱の芯の部分まで割れを施すのです。

 

その割れた部分がある事で、他の面に割れを生じさせない昔ながらの技術があります。

 

ですが中尾建築工房で建てている家と言うのは、湘南や三浦半島に建てる家に適している様にするため、室内は漆喰を塗って仕上げています。

 

では柱に背割れが入っていた場合、どんな事が想定出来るのか?

 

背割れのある柱が動く事で、漆喰にクラックが入ってしまうと言うデメリットがあるのです。

 

なのでかれこれ14年ほど前から、九州は宮崎産の飫肥杉(おびすぎ)と言う柱を選んでいました。

 

こちらも水分を抜く技術は長けており、なにより飫肥杉は他の杉に比べて耐久性が高いのです。

 

日本には多くの杉が植林されてはいるものの、あまり樹齢の高いモノはありません。

 

戦後に植林された50年〜60年程度の杉材が多いでしょう。

 

ですが飫肥杉の森林には歴史があり、古くからの杉林があります。

 

杉なのにも関わらず油分はありますし、造船の材料にも使われるなど。

 

多分私が知るうる中で、国内で一番耐久性のある杉と言ったら飫肥杉だと思っています。

 

赤身の耐久性たるや、他杉の3倍はあると言われていますし。

 

シロアリに対しても強い。

 

まぁ文句なしの杉材だと思います。

 

またここで東北の材料との比較にはなってしまうのですが。

 

私たちの暮らす湘南や三浦半島では、構造に関しては東北の材料が合わないかな。。

 

とも思っています。

 

その理由は温暖化にあります。

 

私が大工の時代から言われていた事ですが、温暖化の進行具合が顕著ですよね。

 

私も国産材を利用するはしりだったのですが、どこの国産材を使おうか悩んだ時期がありました。

 

コスト優先だったら信州の材料を。

 

ただし寒かった信州にも、松喰い虫の侵食を受けてました。

 

それまでは寒い場所に松食い虫は生存出来ないと言われてましたが、温暖化を受けて北上しているのだとか。

 

それを聞いた私はこう考えたのです。

 

せっかく新築の家を建てたのに、フローリングの中から松食い虫の死骸とか出て来たら嫌だろうな・・

てか洒落にならんだろうな・・

 

そんな理由がありまして、近場の信州の材を使う事なく極寒の岩手の材料を積極的に使っていました。

 

そうなんです。

 

ここで言いたいのは温暖化対策も含めて、構造材は南の温暖な場所の材にしようと思っていました。

 

いずれ湘南や三浦半島も温暖化が進めば、東北の材料はあまりの気候の違いに耐えられないんじゃないか?

 

であれば南の飫肥杉を選んだ方がいずれ風土も似てくるだろうし、湘南や三浦半島独特の湿気にも順応してくれるはず。

 

そんな思惑もあってか、柱は宮崎の飫肥杉を採用していたのです。

 

誤解の無い様な説明をしておきますが、内装材に関しては東北材でもだいじょうぶです。

 

その理由は材料の厚さにありまして、フローリングや窓枠の様な薄物であればしっかり乾燥させる事が出来るんです。

 

でも構造に関する材料の場合は太くて、高さもある材料を乾燥させなければなりません。

 

そこまでの乾燥の技術は無いと言う事で、私は材料の選択をしていたと言う訳なのです。

 

あれから14年経過して思うのは、やっぱり思惑通りに温暖化が進んでますし、夏の暑さはとてつも無い暑さになっています。

 

そもそも相模湾に毎年キハダマグロが入って来るぐらいですから、その温暖化の進み具合はより一層深刻だと思います。

 

飫肥杉の産地は日南ですから、湘南や三浦半島以上に湿気の多い地域です。

 

湿気のある地域で育ち、耐久性も高い素材です。

 

私が飫肥杉を使わない理由は無いと言うくらい、素材としてはビッタリな材料と言う説明が出来るのです。

 

なので飫肥杉を使っていて良かったと思ってました。

 

3.軸組(土台材)に関して

 

土台には和歌山の檜を使っていましたが、ここに関しては乾燥したモノではなく、シロアリ対策を施す為のの天然乾燥材を使っていました。

 

乾燥材には天然と人工がありまして、ここまで説明して来た梁や柱は人工乾燥になります。

 

けれども床下となる土台部分に関しては、天然乾燥を選択しています。

 

その理由は中尾建築工房の建てる家は、床下の通気性がとても良いのです。

 

床下点検口を開けると分かるのですが、かなり風が通っていて檜の優しい香りがします。

 

檜は油分が大事なので、人工乾燥させてしまうと檜が檜でなくなってしまいます。

 

通気が良い場所の木材は、時間の経過と共にさらに乾燥してくれます。

 

さらに土台に関しては青森ひばと言う材料も、取り扱う事の出来るネットワークがあります。

 

湿気の多そうな場所であれば、青森ひばの土台を選べば間違いない。

 

青森ひばだけに関しては、他木材と段違いなすごい木材なので。

 

青森ひばに関しては、こちらから詳細をご覧になってみてください。

 

 

それらの理由がありまして、軸組となる木材を選んで来た訳なんですね。

 

それだけにここに来て、ウッドショックとは。。。

 

4.中間報告

 

ここまで読んでいただくと、それ相応にこだわりを持って新築の注文住宅のみを建てて来ました。

 

なんの木材でも構わないと言う意図では無く、理由があって素材を選んで来た経緯をご紹介させて頂きました。

 

ですが今まさにまったく、先が見えない状態が続いています。

 

世の中も全く同じな様で、私が先日書いたブログ記事に対してのアクセス数が半端無い事になっています。

 

 

 

これは直近30分で、どれだけの方が中尾建築工房のホームページを訪れたのかを、分析しているアナリティクスです。

 

左上の数字は直近30分で、中尾建築工房のいずれかのページを見た人数。

 

右側の記事別数字は、直近30分以内で読まれた記事数の人数です。

 

記事を見る限り、前回のブログ記事がとっても読まれていると言う事になりますね。

 

おそらく同じ業者さんが見てらっしゃる方が多い様なのですが。。

 

記事を読んだ最後に、この記事が気に入ったらFBのいいねをしよう!となってます。

 

そこの数字もジワジワと上がって来ているので、どの建設会社もどの工務店も。

 

住宅に関わる全ての業者さんが、同じなのだなと言う事が分かってしまいます。

 

現在は4寸材をそもそも作ってくれるのか?

 

標準的な3.5寸しか作らないのだろうか?

 

金額的には一体いくら上がるのだろうか?

 

納期はどうなるんだろうか?

 

こんな答えすら回答が出て来ません。

 

こんな時期に慌てても仕方がありませんので、また新たな情報が入り次第に情報をアップさせて頂きたいと思います。

 

 

5.今後の建築材料について

 

この画像は昨日取材が行われた、NHKのおはよう日本と言う番組の取材風景です。

 

時間的には5時間ほど、ノンストップの取材がありました。

 

全てが使われる訳では無いのですが、私が話をしたのはこんな感じの事になります。

 

輸入材の高騰から始まり、今では建て売り住宅会社数社が国産材を買える様になる団体を発足しています。

 

話を聞く限りでは国産材を活用して、林業の後押しをしそうな話に見えるけど。。

 

早い話が木材だったらなんでもいい。

 

外材の価格が高騰するなら、国産材でとりあえず間に合わそう。

 

そんな意図にしか見えない気がします。

 

これは職人時代から建築業界を見続けてきた私の思う所ですが、日本は外材に頼り切って来ていて、国内の林業自体が廃っていると思うのです。

 

それは最近のアメリカ材や、ヨーロッパ材の価格高騰だけの話ではありません。

 

実際問題北洋材(ロシア)材や南洋材(マレーシア、インドネシア、パプアニューギニアなど)の材料も上がって来ているのです。

 

各国々が価格を上げたりするのは、国内の森林を守ためでもあります。

 

もちろん政治的や意図的に利益を得る為に、その様な名目を言って来る国があるかもしれません。

 

いずれにせよ世界的に外材が上がり続けて来ている訳でして、そんなに高いなら買うとか買わないとか。

 

そんな事にしか目を向けていなかったので、足下の国産材には目を向けてなかった訳です。

 

つまり日本はモノづくりの国であるけど。。

 

先進国である様に見えているけど。。

 

住宅業界に於いては、私は発展途上国と言っても良いのでは無いだろうか。

 

ここで考えなくてはならないのは、外国産材を買わないと言う事では無いと思います。

 

もちろんコロナ禍の中で、国産材を見直す動きも始まっています。

 

国産材を見直すためには、林業として産地の山を開発する必要があります。

 

  • 如何に山から木を簡単に下ろす仕組みを作るかが必要。
  • 刈りっぱなしの林業では廃れてしまうので、植林や維持管理の出来る林業にする必要。
  • 林業を育てるためには若者が林業を始められる魅力が必要。

 

これらの現実逃避をしてれば、外材に依存し続けるしかありません。

 

課題はたくさん残ってますし、大変なコストが掛かります。

 

それらの材料を使って、国民が家を建てられる経済にする事がなにより大切だと思います。

 

外材の高騰も、しばらくは続く予測が想定されていますが。。

 

価格が高いから買わないと言う方向ではなく。

 

それらの材料を購入して、国民が家を建てられる経済にする事がなにより大切だと思います。

 

外材も買い続け、世界との商流を切らさない様にする事は、島国である日本にとっては必要な事だと思います。

 

むしろ本気を出したら素晴らしい品質の材料が出来る訳で、世界が驚く様な材料を作れるかもしれません。

 

つまり輸入も輸出も、いずれも出来る様にして、林業を育てる段階に来ているな。

 

私の予測では、そんな未来が望ましいのではないかなと。

 

思ってしまった訳であります。

 

ひとまずは現在着工中の逗子市の現場で木材が調達出来るのだろうか。

 

それによっても変わって来るかと思います。

 

現在は当社比になりますが、予測される構造材の木材価格を記載させて頂きます。

 

あくまでも予測なので、実際はもう少しお安いかもしれません。

 

テレビ向けとして、あまり安くは言えない部分もありますし。

 

かと言ってどうするとコストが上がりやすいのか。

 

そんな説明も必要だと思いました。

 

ので超ざっくりだけど、なるほどー!

 

そんな説明をさせて頂きたいと思います。

 

5月入れの場合で35坪の家を建てた場合、35〜50万円のコストアップになりそうです。

 

7月入れの場合の家を建てた場合、70〜100万円のコストアップになりそうです。

 

この幅には理由がありまして、規格の材料で建てる場合は低いコストアップになります。

 

間取りの制限を掛けずに、広いリビングなどの部屋を作れば高いコストアップに近づきます。

 

木材は規格の長さで3mや4mの長さがあるのですが、中尾建築工房は割と大スパンで圧倒的な広いリビングなどを作る事が多いのです。

 

そうすると規格材の長さでは、その空間を生み出す事が出来ません。

 

5mや6m、はたまたそれ以上の長さの木材を使わなければなりません。

 

規格の間取りであれば、梁のサイズが300mmの梁成で済むのですが。

 

大スパンを飛ばす間取りになりますと、梁成が390mmや420mmになったりしますので。

 

規格外の寸法となれば、特別寸法価格と言う形になるので平常時でも特寸価格となる訳です。

 

そこにウッドショック禍と言う事になりますと、もれなくお高い特寸価格となりますから、高いコストに近ずくと言う事になる訳です。

 

つまりプランニングによっては、その様なコストに差があるのだと言う事を覚えておいて頂ければと思います。

 

ここで令和3年6月3日付けで、実際に取引されている木材価格の情報が届きましたので改訂させて頂きます。

 

6月半ば上棟の価格上昇率

 

現在基礎工事養生期間中のお宅のプレカット見積もりが届きました。

国産杉柱1.35倍

国産檜土台1.41倍

米松梁1.13倍〜1.52倍

筋交・間柱材1.6〜1.8倍

野縁1.83倍

これらが実際に納入された木材の価格上昇率です。

延床面積36坪弱の家になりますが、構造材以外の木材も上昇しております。

その価格はざっと63万円ほど価格の高騰が見られました。

長物の規格外材寸法以上のモノの価格が上昇するのは読めてましたが、小口径の材料の高騰率もかなりのモノである事が分かります。

 

 

この様に概ね価格の情報率は予測と近い形で上昇を続けています。

 

納材のスケジュールに関しては、予定通りとなって上棟が可能となりました。

 

いずれにしても今のところは国産材も外材も、価格の高騰が起きています。

 

中尾建築工房の梁だけが、価格高騰している訳ではありません。

 

なので外材を国産材に切り替える選択は、今は検討しておりません。

 

では明日のおはよう日本、番組の方をご覧頂ければウッドショックのご理解も深まるかと思います。

 

その後の価格はどの様な推移をするのか。

 

上がるのか、下がるのか。

 

これはまだ未定です。

 

また現段階でのウッドショックは、これからが本番です。

 

お待ちいただいてる皆様には、くれぐれも慌てないで頂ければと思います。

 

ひとまず現段階での詳しい詳細でした。

 


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