逗子や葉山に移住をして注文住宅の家を建てる|土地探しで買ったら後悔する土地とは?
この記事を書いている中尾建築工房では、逗子や葉山に家を建てる事がとても多いです。
建築専門のアーキテクトなので不動産業を生業にする事はありませんが、クライアント様から相談される際に必ず土地を拝見する機会が多々あります。
そんな私が逗子や葉山に移住をして注文住宅の家を建てるなら、こんな土地は買わない方が良いですよ。
あとあと後悔しない為にも、逗子や葉山に詳しい私から失敗しない土地の選び方をご紹介させていただきます。
Contents
1.土砂災害特別警戒区域は買うな
皆さんは土砂災害特別警戒区域と言う名称を聞いた事がありますか?
まず最初に土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域についての解説を行います。
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域であり、危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると求められる区域で、特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われます。
*いずれも国土交通省土砂災害防止法の概要から抜粋
ちょっと文字だけで理解をするのは難しい方も居らっしゃるかもしれません。
下記に画像付きの解説もありますので、ご参考までにご一読頂ければと思います。
リンク先には画像と解説がありますが、この記事で一番大切なのはどこなのかと言う事です。
特別警戒区域では、住宅地分譲や社会福祉施設、学校及び医療施設といった災害時要援護者施設の建築のための開発行為については、土砂災害を防止するための自ら施行しようとする対策工の計画が、安全を確保するために必要な技術基準に従っているものと都道府県知事が判断した場合に限って許可されることになります。
特別警戒区域では、住民等の生命体又は身体に著しい危害が生じるおそれある建築物の損壊を防ぐために、急傾斜地の崩壊等に伴う土石等の建築物に及ぼす力に対して、建築物の構造が安全なものとなるようにするために、居室を有する建築物については建築確認の制度が適用されます。すなわち区域内の建築物の建築等に着手する前に、建築物の構造が土砂災害を防止・軽減するための基準を満たすものとなっているかについて、確認の申請書を提出し、建築主事の確認を受けることが必要になります。
急傾斜地の崩壊等が発生した場合にその住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれのある建築物の所有者、管理者又は占有者に対し、特別警戒区域から安全な区域に移転する等の土砂災害の防止・軽減のための措置について都道府県知事が勧告することができることになっています。
特別警戒区域内の施設設備にかかる防災工事や区域外への移転等に対しては、以下のような支援措置があります。
①独立行政法人住宅金融支援機構の融資(独立行政法人住宅金融支援機構法 第十三条)
地すべり等関連住宅融資は、特別警戒区域からの移転勧告に基づく家屋の移転、代替住宅の建設、土地の取得等に必要な資金の融資を受けられます。
②住宅・建築物耐震改修等事業による補助(住宅局所管補助制度)
特別警戒区域内にある構造基準に適合していない住宅(既存不適格住宅)を特別警戒区域から移転し、代替家屋の建設を行うものに対し、危険住宅の除去等に要する費用及び危険住宅に変わる住宅の建設に要する費用の一部が補助されます。(平成18年度より「がけ地近接等危険住宅移転事業」を住宅・建築物耐震改修等事業に統合)
③土砂災害のおそれがある区域からの移転促進のための税制(地方税法附則 第十一条(同法施行規則附則 第三条の二の十八))
(内容)土砂災害防止法の特別警戒区域内にある住宅の移転を促進するため、移転補助を受けて、区域外に新たに取得する住宅又は住宅用地については、不動産取得税の課税標準を5分の1控除します。(提供期限:平成22年3月31日まで)
- (要件)・土砂災害特別警戒区域外への移転であること
- ・住宅・建築物耐震改修の補助を受けていること
- ・既存不適格建築物であること
- ・建築物の除去を行うこと
特別警戒区域では、宅地建物取引業者は、特別の開発行為において、都道府県知事の許可を受け取った後でなければ当該宅地の広告、売買契約の締結が行えず、当該宅地又は建物の売買等にあたり、特定の開発の許可について重要事項説明を行うことが義務づけられています。
この様な規制があります。
簡単に言ってしまうと、注文住宅を建てる上で建物の工法が制限付きとなります。
木造住宅を建てる場合、擁壁を建てて建物を防護する必要があります。
もしくはコンクリートの住宅を建てて、危険な部分には窓を設けないと言う規制がかかります。
つまり自由度と言うのが無くなり、規制を守った上での制約付きの建物になると言う事。
また土砂災害特別警戒区域と言うだけで、不動産としての評価額は著しく安い単価になります。
つまり何も知らなければ、お安い坪単価で土地を購入出来る事になるので、あなたは浮かれてしまうかも知れません。
ましてや現在は高騰している逗子や葉山の土地坪単価から、はるかに安い坪単価に設定されますので、期待度は高まってしまうかもしれません。
ですが実際には土砂災害特別警戒区域から転居、移転を行う方には補助や税制面の優遇なども行なっている訳でして、そこから立ち退いた方が良いと言う事を国は推進している経緯があります。
もしもあたなが初めて家を建てる場合、これらの土地を取得してしまったら大変な事になります。
お金が湯水の如くあるのであれば良いのですが、家を建てる為の費用が通常よりも高額になってしまい、かつ制限も厳しいモノになる訳です。
なお2024年現在でもスーモやアットホームなどのポータルサイトを見る限り、まれにですがこれらの情報を掲載せずに販売されている物件もある事をご注意ください。
2.道路より道下の土地は買うな
逗子や葉山に家を建てる事を希望されている方の中に、道路よりも道下になる土地を購入検討したいと言う方が居らっしゃいます。
購入を検討されている理由を聞いてみる限り、皆さんおっしゃるの事があります。
販売されている価格が安いので、これなら買えるかなと思った。
不動産会社に聞いたら、ちょっと基礎工事や駐車場工事にお金が掛かると聞いたので、それなら予算にも合うのかなって思うんです。
なるほど。
では道下の土地のデメリットをご紹介しましょう。
道路よりも低い土地の為、フラットに建物に入る為には基礎工事を高く作らなければなりません。
また現在は鉄筋やコンクリートの高騰している中、これらの工事を行う事であなたが思うほどのコストアップでは収まる訳も無く、とてつもない割高な工事費が発生してしまいます。
駐車場を道路とフラットに作る為には、最低限鉄骨を用いた骨組みを作り、土間コンクリートを打ち流す事が必要になります。
当然の話ですが鉄やコンクリートは高騰中です。
さらに逗子や葉山と言うのは当たり前の様に塩害が多く発生しているエリアとなります。
メンテナンスを考えれば、家を建てた後に莫大な費用が掛かる土地と言い換える事も出来ます。
立地によっては塩害が厳しい場所もありますので、そこに鉄を持ってくる工事が必要なのかと言う事。
亜鉛メッキのドブ漬けを行う事で耐久性は増しますが、そもそもその場所でなけれなならないのかとプロのアーキテクトとしては思ってしまいます。
道下の土地は、なぜ道の下に土地があるのでしょうか?
そもそも論ですが、通常の土地と言うのは道路と平坦か、多少の高低差があるのは分かります。
ではなぜ道下の土地が生まれてしまうのかと言う事です。
道下はもともと家を建てる為の土地ではなく、農家の方が畑などに用いている場合や、所有者が樹木を育てる為に必要以上の擁壁工事をしていない場合が多々あります。
販売前はそもそも土地と言う様には見えなく、山林だった場合もあります。
そのため道の下にある土地自体が平坦では無い場合も多く、土地自体も傾斜敷地である事が多々あります。
つまり最初から家を建てる土地向けと言う訳ではなく、段々果たして家や果樹園、山林だった場合があると言う事。
それが所有者さんの都合で売りに出ているだけなので、そもそも住宅向けと言う訳では無いと言う事を認識しておきましょう。
排水設備を整える必要がある。
上水道は場合によっては敷地にあっても、これらの土地は道よりも下に土地がある訳です。
ですから排水を前面道路の本管に繋いで流す為には、ポンプアップなどの設備が必要となります。
当然の話ですが電気が止まればポンプアップ自体は停止をしてしまいますので、震災などが起きて電気が復旧するまでの間は全てを流す事が出来なくなってしまいます。トイレもお風呂も洗面やキッチンも水が詰まる状態になりますので、緊急時にはとてもリスクが高い事が予測出来ます。
まれに道下の土地の更に低い土地に、配管を繋いてある土地もありますが、人の敷地を借りている状態なので、取得時にはこれらが永久的に使えるのかと言う事も確認する必要があります。
ここであなたに問いたいのは、道下の土地が元々欲しかったのでしょうか?と言う事。
無駄なお金がかかり過ぎる土地になりますので、いくら安いと言っても初めて家を建てる方が手を出しても良いとは到底思えない土地と言えます。
3.高いコンクリート擁壁のある土地には注意
道路と敷地はフラットでも、車一台を止めれば3から5m近く高い擁壁を組んでいる土地などもよく見かける事があるかと思います。
これらの土地と言うのは、若いうちは元気に歩けるかもしれません。
ですがある程度の年齢になった時でも、その擁壁分の高さのある階段を登り続ける事は出来るでしょうか?
高い階段をいくつになっても登れると言う方は、買っても良いかもしれません。
そもそも高い擁壁のある土地は、なぜその様な擁壁を築造する形態になっているのでしょうか?
じつはこれらの土地と言うのは、もともとは斜面であったり崖地であったりする事が多いのです。
これは逗子や葉山のみの話では無いのですが、横浜市などでもよく見かける土地になります。
中には道路とフラットにビルトインガレージがコンクリートで築造されており、その上に家を建てている建売住宅などもあります。
ではそのコンクリートは、一体いつまで耐久性があるのでしょうか?
現行のコンクリートの法定耐用年数は47年と言われています。
法定耐用年数自体は減価償却の計算のために設けられているモノなので、47年経過したら使えなくなると言う訳ではありません。
では仮に2倍の期間を使えるとして、100年経過をしたらいかがでしょうか?
もしもコンクリートの安全性が証明出来ない劣化がある場合は、擁壁自体を作り直すと言う費用が発生するかもしれません。
一度壊して改めて作る費用が発生しますので、当初よりも大掛かりな費用が発生する事になります。
どんなに小さい敷地であっても数百万円から数千万円にも上る費用が掛かるとして、将来的な事を考えるとお買い得な物件となりますか?
そしてその擁壁分の階段は、いくら時間が掛かっても段数が減る訳でもありません。
私にはとてもじゃありませんが、お買い得には見えない土地と言う事になります。
この様な土地を購入されるなら、土地を購入すると言うよりは斜面を購入しているから、いずれは擁壁を復旧する事がある事も考えて土地の購入を計画された方が良さそうです。
4.山を背負っている立地の土地も要注意
逗子や葉山は海もあり山もある、独特な湘南の避暑地と言えます。
葉山は地名自体に山がありますから、当然ながら山を切り崩しての開発行為により住宅地が生まれているエリアです。
ではどこも山を背負っているにもかかわらず、なぜ山を背負っている立地に注意が必要なのでしょうか?
直近では2021年に葉山のジョナサンのある通りから見える大峰山が、崖崩れを起こして緊急の工事が行われました。
崩れた崖のある場所は土砂災害特別警戒区域でした。
神奈川県土砂災害警戒情報システムのマップ上では今現在指定をされていなくとも、今後指定されてしまう場所と言うのは実際にあります。
これはすでに葉山にお住まい方であれば。
あー、あそこの事かぁ。。
ってお分かりになるかもしれません。
集中的な豪雨のせいか崖がくずれてしまっていると言うよりは、崖が滑り落ちてしまった状態でした。
逗子や葉山には土留め自体が、未整備の状態になっている場所があります。
仮に神奈川県が急傾斜の工事をしているならまだしも、未整備の場合は山肌が露出している事が多々あります。
そこに集中豪雨が起きてしまい、崖が崩れてしまう可能性もあります。
ここで実際にご紹介をするのは10年ほど前に、山を背負っているエリアに家を建てた方のケースです。
当時は建築確認申請を出す上で、とくになんの指定もなかったけれども、近隣で崖崩れを起こした為に土砂災害特別警戒区域にしてするか否かで、神奈川県と住民とで協議を進めているそうです。
家を建て替えようと弊社に依頼をされたのですが、その土地は前面道路は道路と平坦であっても裏に回ると高低差がかなりあり、土留めが全くありませんでした。
安全性を考えると土留めが必要なのですが、建て替えを強く希望されていたので順を追って諸々の安全性のことなどを説明した事があります。
その結果、少し距離のある山を背負っているこの土地は、場合によってはいずれレッドゾーンに指定される可能性も無きにしも非ずと言う事をお伝えしました。
それまでは一先それらのリスクを気にせず、建て替えのプランばかりを夢に描いていたクライアント様は計画の中止をお願いする連絡が来ました。
背負っている山が未整備の場合、今はなにも無かったとしても、いずれはなんらかしらの区域に指定されてしまうかもしれません。
それであれば最初からリスクを回避する意味でも、山が崩れない様な防護壁がある場所、もしくはどう考えても災害リスクの無い土地を選ばれた方が良いのでは無いかと思います。
5.前面道路が歪んでいたり周囲の工作物が倒れている立地は避ける事
ちょっと上の画像は極端になりますが逗子や葉山に土地を探している際に、道路やブロック積みの上にあるフェンスが歪んでいる場所を見た事は無いでしょうか?
ここでは逗子と言うより葉山寄りの話になるのですが、葉山は名前の通りに地名に山と言う文字がある事から山がある事は想定されています。
この山がしっかりとした地盤である事なら問題無いのですが、中にはそうではない地域も存在しています。
実際に土地の価格が安い事から土地を購入をし、色々と依頼先を探して中尾建築工房で家を建てた方が居ました。
すでに土地を購入されておりますので、地盤改良工事などを徹底して行い引き渡しを行なっています。
その建物自体が今すぐにどうにかなると言う訳ではないのですが、後付けで土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されてしまう事も実際にはあります。
この様になってしまうのであれば、最初から土地を見た時にある程度の見分けが出来ると良いかと思います。
それは道路に陥没した形跡があったり、ブロックの亀裂やフェンスの倒れがある場所です。
そんな場所にある古い建物の多くは、かなり地盤沈下が進んでいたり、建物自体が垂直には立っておらずに傾いてる家がある事を知っておきましょう。
実際にその様な建物の所有者から相談を受けましたが、はっきりと安全性に欠ける旨をお伝えしたところ。
その家は現在空き家の状態となっており、樹木や雑草に覆われた廃墟の様になってしまっています。
6.あなたが購入した土地はいずれ子孫の財産
ここまでで土砂災害、道下であったり、高低差のある土地、山を背負っている土地など、色々と注意をしなければならない事を述べさせていただきました。
私がなぜこの様な説明をするかと言えば、あなたが購入した土地と言うのはいずれ子供やお孫さんに相続されたりはしないでしょうか?
これらの土地と言うのは取得後にメンテナンスの費用が割高になる事が多い事、またあなたが高いお金を支払ったにも関わらず、いざ相続した際にはたいしたお金にはならない事。
下手すれば負の遺産になる可能性が最も高いと言う事です。
私たちは子供も居ないし、誰かに相続とかも考えてないから、私たちが生きている間に楽しめれば良い。
こんな考えの方にとっては、これらの土地は周りの景観も良いでしょうし、場合によっては海を見下ろす事も出来る立地が多いです。
ここではごく一般的な予算をお考えの方を対象に私の見解を述べさせて頂いています。
私の会社でもこれらの土地に家を建てている方も居らっしゃいますが、すでに土地を購入された後だったりします。
すでに決断されてしまった方に、この説明をする事はなかなか出来ませんので、対策を前提としたプランを提案するしか無くなってしまいます。
ですがまだ土地を購入する前であれば、これらのリスクを知っておく事で回避をする事が可能だと思うのです。
これから逗子や葉山に移住をして注文住宅の家を建てようと思ってる方には、必読として書かせていただいた次第です。
ぜひあなたが人生で大きな決断をされた大切な資金が、目減りをする事なく受け継がれていく事が出来れば幸いです。
7.まとめ
いかがでしたでしょうか。
昨今では様々なエリアから逗子や葉山に移住をしたいと言うお問い合わせを多く頂いております。
現在住まわれているエリアからだと、物件情報が出てもすぐに見に行く事が出来ないかもしれません。
お買い得な物件ほど、ほとんど人知れず売り買いされて行きますし、物件の割に高い物件ほどスーモやアットホームの様なポータルサイトに出続けています。
このため中尾建築工房では徹底したヒアリングを行った上で、お望みの立地や環境などを再認識していただいた上で、エリアを確定してもらってます。
そしてそれらの物件が人知れず出た場合はどうするかと言うと。
即決断を出来る様な現地からメリットデメリットや、アドバイスを説明した動画をLINEやDropboxを利用してご覧いただいております。
もちろんクライアントであるあなたと私たちの信頼関係が最も大切になりますので、コミュニケーションをしっかりと取れる方のみが対象となります
もしもあなたが逗子や葉山に移住をして、注文住宅の家を建てたいなら中尾建築工房にもお声がけください。
逗子や葉山の環境に適した、塩害や湿気に悩まされない家をご提案差し上げたいと思います。