ナチュラルな天然素材の珪藻土はどこまで色彩の濃淡を出せるのか?!
『なんだか中尾さんならやってくれそうな気がしてます』
これ、一番プレッシャーになるんですよねぇ・・
実は現在、部屋の無かった所に部屋が出来て、その部屋の天井や壁をナチュラルな珪藻土で仕上げたいというお宅があります。
これは、普通に良くある感じですよね。
でも実はなにげにふつーじゃなくて、色彩にこだわりがあるのです。
ただ単に白色のフレッシュな珪藻土で仕上げるなら、頭も使いせん。
だって、この珪藻土をドイツのマイスターと共に造り上げたのは私ですからね。
素材の良さも殺さずに、日本の気候とニーズに合う珪藻土を仕上げた事にはかなりの自負がある訳です。
ところが。。。
いやー、まいったなぁ。。
こんだけ濃いのは、天然素材の珪藻土と相性の良い顔料では出ないよな・・・
と、正直に、そして声を大にして言いたい所ではあるが。。
『なんだか中尾さんならやってくれそうな気がしてます』
だから、それがプレッシャーなんだってば・・・
とは思いつつも、なにもやらずにただ否定をするのは中尾建築工房イズムに反する訳です。
まずはやってみて、そしてくじけながらも立ち向かう!
この精神が大事な訳です。
一昔前に単身で青森まで行き、『日本中で一番安く青森ひばを買いたい!』って言っていた頃が懐かしく思い出します。
あの頃は夜行の寝台列車、大好き男だったなぁ。。
ところが業界的に出回っている顔料では、結果が出ない事は分かっている。
唯一たよりにしていたメーカーにも『青をメインに黒と赤を混ぜて、青を70%以上混ぜれば、なんとか出るでしょう。でも顔料をいっぱい使うのでサンプルも造れないですから、御社でサンプリングをお願いします』とご回答。
たしかにごもっとも。
なので建材メーカーをあきらめ、文房具系の顔料で色合わせを試みる!
まず、この中からなら、どの顔料だろう。。
でも、どうみても立てている9番の顔料だな。。
なので20gの顔料を2つ購入して、事務所に帰って早速珪藻土と混ぜてみる。
この辺りでは屁のつっぱりだわな。。
まぁまぁ、色が入って来たかな。。
1瓶目を入れ終わって、2本目も投入!
ここまで色が入ると、もはや珪藻土ではなくなり『やぁ、はじめまして!顔料君!』と言いたくなる。。
ここまでの調色経過は珪藻土30%に対して、顔料70%
あとは乾燥後にどれだけ色が引くかだな。。
そう思いつつ、板に塗ってみた。
端っこは水分も飛んで、乾燥してきたね。
そしてさらなる硬化をまった結果。。
見ての通り、色は出ませんでした。。
Kさん、熱い中尾建築工房でも、この色合いは出ない様です・・・
と言う事で、やはり天然素材の珪藻土では、このクラスの色合いを出す事は不可能です。
しかもこの顔料、20gで1600円以上もしました。
×2だから3600円でしょ。
この部屋を仕上げるのに30kgの珪藻土を使うから。。
顔料代だけでも数十万円もするんです!!!
と言う事で、ふつーにこんなのは却下となるでしょう。
しっかもね。。
この珪藻土って、色を濾過する力もあるんです。
以前に私が珈琲を窓枠に置いておいて、ひっくり返した事がありました。
その壁は珈琲色にしみ込んだのですが、時間が経つにつれて色がどんどんひきました。
今では『そういえばここが珈琲こぼした場所だよね?!』って言う位、珈琲の色が抜けてしまう事があったのです。
Kさんが実際にナチュラルな珪藻土の家に住んでしまったので、その良さから珪藻土を望んで頂く気持ちは良く分かります。
でも、やっぱりこのお宅は珪藻土ではなくて、私がデザイン色にこだわる時に用いている色彩豊かなポーターズペイントをお勧めします!
頑張ったけど、無理だったー
ごめんねKさん、珪藻土ではどう頑張っても無理だわ・・・