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自然素材をお勧めする訳|現場を知っているからこその根拠がある。

 
  2019/04/02
自然素材をお勧めする訳|現場を知っているからこその根拠がある。
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私が元々、現場で働く大工の棟梁だった事は。

 

このブログを永らくご覧になっている方なら、ご存知な事でしょう。

 

大工の中でも、こだわる大工と言うのは。

 

作業において、必ず手間暇かける事にもこだわれば。

 

素材に関しても、適材適所にこだわりを持ちます。

 

また昨今では、簡易的な作りを工期短縮の為に。

 

工場生産型の工法を採用しているハウスメーカーや工務店もあれば。

 

私たちの様に、現場でコツコツと作り上げていく工務店もある。

 

これ、それぞれの考え方の違いから来てるのだけど。

 

私の場合は三浦半島で育ち、半島や湘南で活動をして来ました。

 

そして、大工としても直接自らの手に取って家々を見て来ました。

 

こりゃー、やっちゃ駄目な造りだよな・・・

 

そんな思いから、自身がお勧め出来る工法のみで家を建ててます。

 

そのこだわりは、自然素材が流行っているから。

 

と言う事ではなく。

 

海に近いエリアは、昼と夜の寒暖の差が激しいから。
半島や湘南には、独特の湿気が多くあるから。
海と山に挟まれれば、自然と自然の融合になってしまうから。

 

こんな原因があるからこそ、素材をお勧めする理由があるのです。

 

海に近いエリアは、昼と夜の寒暖の差が激しい場合。

 

何が起きるかと言えば、外壁表裏に壁内結露が起きるでしょう。

 

表面は流れてしまうから、構造体に影響は無いけれど。

 

外壁の裏側に、結露水の逃げ道が無ければ。

 

逃げ場の無い水は必ず壁内に侵入して、構造体の木材を侵食したり。

 

断熱材は真っ黒になり、自沈する事により断熱力の低下も起きるでしょう。

 

それが快適かどうかと言えば、快適なはずは無い。

 

だからこそ、手間暇がかかったとしても。

 

自然素材である無垢の下地材を使って。

 

この様な外壁の通気を取るのを必ず行っています。

 

sizensozai-mukuzai-kodawari.jpg

 

見るからに手間暇の掛かる仕事です。

 

はっきり言って合板をペタッと張り上げて。

 

そこにモルタルを塗った方が施工性は良い。

 

けれども先ほど申し上げた様に。

 

外壁内の結露は、まず避けられない。

 

それに合板は木材の寄席合わせを、糊で接着してるだけの建材。

 

水に濡れれば、その性能は維持する事は出来ません。

 

それも耐力壁の計算に含まれる合板だとすれば。

 

その家の強度は一気に低下する事でしょう。

 

だからこそ水に強い無垢材を下地に使う。

 

それも、そこに溜まらず流れ出る様に。

 

また半島や湘南には、湿気が多くある。

 

湿気があればどうなるか?

 

ビニールクロスの家を想像してみて頂きたい。

 

ビニールクロスは別名壁紙と呼ばれます。

 

色彩を楽しむのであれば、それはそれで良いでしょう。

 

けれども、窓を開け放ち。

 

空気の入れ替えをしただけで。

 

外気は窓から室内に入り込みます。

 

そして湿気はそう簡単に出て行ってくれるモノではありません。

 

出て行かない湿気は、室内の上部に居座り。

 

壁紙を付着させる、糊の成分に影響をきたします。

 

すると、壁紙はどこかしらから剥がれだし。

 

見るも無残にペラペラっと剥がれて来るだけ。

 

糊を塗り直して、再度ローラーで擦ったとしても。

 

一時は良いだけで、また同様の事になる。

 

けれども、自然素材の珪藻土では。

 

室内の窓を開け放し、外気をしっかりと取り込んでも。

 

必要以上の湿気は、室内の天井や壁に塗られた珪藻土が吸ってくれるのです。

 

そして吸い込んだ湿気を、カラッとした空気に変えてくれるのが珪藻土のすごい所。

 

その効果を知ってるからこそ。

 

私は塗れる場所の全てに、珪藻土を塗れる様にした。

 

たいていはどこの施工屋さんも、珪藻土は壁のみで天井は塗らずに壁紙。

 

そのパターンが多いはず。

 

でも、湿気を対策するのであれば。

 

天井だって、塗らない手は無いのだ。

 

そして、半島独特の海や山からの湿気。

 

これに影響して来るのは、確実に洗濯物の乾燥度合い。

 

sizensozai-mukuzai-kodawari2.jpg

 

海周辺の洗濯には、午前中が勝負。

 

午後になれば、海よりも地上が温かくなる為。

 

風は海から陸に吹いてくる事になる。

 

その風が吹く前に、乾燥してくれれば良いのですが。

 

そんなに上手くは乾燥しないので。

 

私は出来る限りの場所に珪藻土を塗りあげて。

 

室内でも洗濯物を干せる環境を整えた方が良い。

 

そうお伝えさせて頂いております。

 

ちなみにビニールクロスを施工する工務店で、クロスが剥がれたとクレームを入れると。

 

必ず言い返されるのは。

 

「室内干し、しませんでしたか?ダメですよ!」

 

と逆に言い返されてしまうでしょう。

 

特に自然素材の家が良い。

 

そう思わなかった主婦の方の、リノベーション相談を受けた時など。

 

私の説明から、全面珪藻土。

 

さらにお子さんが多い事から。

 

こんなモノまで、製作をしてしまった事例もある位。

 

sizensozai-mukuzai-kodawari3.jpg

 

これはクリーニング店にあるハンガー。

 

大量の洗濯物があるご家庭で、製作させて頂いたモノになります。

 

完成時には、奥様が涙ぐんで喜んでいたのを今でも覚えています。

 

これらも湿気が大量にある三浦半島や湘南独特の家に抱える問題。

 

それを自然素材で解決出来るなら。

 

そう思って、今まで採用を続けて来た経緯があります。

 

またすべてに於いて、自然素材が良いか?!

 

そう言えば、そうではありません。

 

自然と自然の融合は、管理のなされていない山々と一緒。

 

これは私が常々、言い続けている言葉です。

 

例えば山と言っても。

 

管理されている山々は、樹木も間伐されて。

 

日差しも通る事から、すべての植物が生き生きとして見えるでしょう。

 

sizensozai-mukuzai-kodawari4.jpg

 

けれどもその反面。

 

管理のなされていない山々と言えば。

 

sizensozai-mukuzai-kodawari5.jpg

 

木々や竹は、立ちながらも腐れを持ち。

 

シロアリなどに侵食されつつ、常に湿気でじっとしている状態。

 

すでに死んでる木々もあるから、そこはもう腐食の嵐でしかなくなる。

 

これらの木々を倒して、すべてをチップにして。

 

腐葉土を作るのが目的ならば、まだしも。

 

これを家に例えたら、どうなる事だろう。

 

これはもう、倒壊レベルではなかろうか?

 

だからこそ、外気に接する部分には、自然と自然の融合は行わない方が良い。

 

と、常々言い続けている訳なのです。

 

これらのすべては、大工の棟梁だった私が。

 

実際に古い家々を、この目で見て来て。

 

自らの手で、家々を治療をして来たからこそ言える事。

 

素晴らしい山々の樹木を見て。

 

山の活かし方、山の殺し方を見て来たからこそ言える事。

 

だからこそ必ず理由があって、その造りにこだわりを持つ。

 

地域の建築設計事務所として。

 

地域の家を建てる工務店として。

 

このこだわりだけは、永遠に持ち続けたいと思います。

 

でもね。

 

もしも渋谷の一等地にね。

 

中尾建築工房の家を建てるとしたら。

 

私はぶっちゃけ、オススメしません(笑)

 

アスファルトジャングルに、乾燥しやすい家を持って行ったら。

 

それこそ過乾燥になり過ぎて・・・

 

女性は、お肌が荒れちゃいますからね(笑)

 

と言うことで、自然素材をお勧めしたり、お勧めしなかったりする根拠は。

 

実際の現場を見て来た者だからこそ。

 

発する事の出来る言葉なのですね。

 

 


お客様の声に耳を傾けると、どうやら自然素材で家づくりをした方たちの多くが、最初から「自然素材で建てよう」と決めていたわけではないようです。様々な住宅展示場や見学会に足を運び、実際に見て触れて、比べた結果、「やっぱり自然素材がいい!」と感じてくださっているのです。

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