漆喰や珪藻土の壁にカビが生えた!根本的なカビ対策110番
漆喰や珪藻土の壁にカビが生えたのを見て、あなたはどの様に行動するでしょうか。
グーグルなどで検索すればカビが生える原因や、とりあえずの対策を見る事が出来るかもしれません。
でもあなたは漆喰や珪藻土の壁に、カビが生える理由を知りたいのでしょうか。
それともカビが生えない様な、根本的な解決をしたいのではないでしょうか。
建築設計事務所であり工務店でもある中尾建築工房が、漆喰や珪藻土に生えるカビの根本的な解決方法を超簡単に説明しましょう。
Contents
1.家の漆喰外壁に発生するカビ
カビの増殖を促すのは、これらの条件が整った場合です。
■カビの増殖を促進する4大要素
- 栄養分
- 酸素
- 温度
- 水分が多い
この中でも人間がコントロール出来るのは、水分くらいでしょう。
その他のカビを促進する要素を抑え込もうと思っても、それは人間すら生きられない環境を作る事になりますので論外です。
そもそもカビも自然素材の一種です。
山にも生えておりますし、周辺の地面にもジメジメとしてれば生えるモノです。
そこに自然素材の漆喰壁があったとしましょう。
漆喰の外壁は、下地がモルタルです。
モルタルやコンクリートは、蓄熱をする性質を持ち合わせてます。
当たり前の話ですが気温の寒暖差があれば、日常的に結露を起こします。
ですから夜中から朝方にかけては、外壁が湿潤状態になるのは避けられません。
すると自然と自然の融合なので、当たり前の様にカビが発生するのは避けられないでしょう。
カビの発生するメカニズムについては、関連記事で詳しくご紹介をしておりますのでそちらをご覧ください。
「漆喰 カビ 対策」などで検索すれば、漆喰の成分何ちゃら、漆喰にカビが生える理由かんちゃらと。
なぜか成分の話が出てくる事が多い様に思います。
そんな成分の話よりも、カビを落としたい訳です。
そんな話を聞いて能書きを覚えたとしても、実際にカビの問題を解決する事は出来ません。
理論上では、この様にすれば外壁のカビを抑えられます。
- 家全体を空気で囲んであげる
- 寒暖差を与えない
この様にラッピングする事が可能なら、理論的にはカビを抑える事が出来るでしょう。
ですが実際問題としては、現実的では無いです。
抗菌作用のある外壁の素材もありますが、菌も害虫も免疫が増える生き物です。
立地によっては、家の外壁にカビを発生するのは避けられないでしょう。
どうしても外壁に発生するカビを避けたいのであれば、自然素材の外壁材は極力採用しない方がベストです。
2.室内の漆喰や珪藻土に発生するカビ(家の中心部の場合)
■家の中心部に生えるカビの原因
では室内の漆喰や珪藻土に、発生するカビはどうでしょうか。
実は私が建てている新築の家は、ほぼ100%に近い数字で珪藻土の天井や壁で仕上げています。
漆喰や珪藻土の壁には、調湿する効果がある事はご存知ですよね。
カビは水分が多いと、活性化します。
家の中のどこかにある水分が、カビを発生させているとしか言いようがありません。
家の中心部にカビが発生した場合は、雨漏りをしている可能性があります。
カビの発生を促すのは、水分や湿気です。
家の中に雨漏りした形跡は無いでしょうか。
雨漏りを修繕しない限り、カビを取っても再発するリスクがあります。
住宅設備からの漏水も、カビを発生させる一つの原因です。
給水菅からの漏水ならまだしも、排水管からの漏水ではたまったものではありません。
階上の設備器具に、漏水等の不具合は無いでしょうか?
これらもしっかりと確認しなければなりません。
実はあまり知られている事では無いのですが、地盤沈下による雨漏りも存在します。
戸建ての住宅の場合、多くは家の中心部に重量が掛かってしまいます。
そこが沈下してしまうと、当然ですが屋根も水平を保てなくなります。
沈下する前なら屋根勾配によって流れた雨も、沈下した部分に水が集まる事によって雨漏りが発生する場合があります。
床を歩いてみて、なんだか沈んだ感じのある場所の上から雨漏りしてはいないでしょうか?
この様に家の中心部分にカビが発生する場合、雨漏り、設備器具の不具合による漏水、地盤沈下による雨漏りの水分がある事によってカビが発生する原因として挙げられます。
3.室内の漆喰や珪藻土に発生するカビ(家の外壁部分の場合)
次に家の室内外壁周りの壁に、発生するカビの原因を探ってみましょう。
家の中にカビを発生させない為には、どうすれば良いのでしょうか。
家の中のカビを発生させない為に、必要だった事をおさらいしたいと思います。
- 家の中の水分をコントロールする
- 除湿機を利用する事で水分をコントロール出来る
- 漆喰や珪藻土の壁で調湿してもらう
あれ、でもちょっと待ってください。
あなたの家は、漆喰や珪藻土の壁なんですよね?
それなら漆喰や珪藻土の持つ調湿作用で、室内の水分は無くなるはずではないでしょうか。
おかしいですよね。
それでは家の外壁側に生える、カビの原因も探ってみる事にしてみましょう。
■家の室内外壁側に生えるカビの原因
家の室内外壁側も、雨漏りの危険性が無い訳ではありません。
室内外壁側は屋根からも雨漏りが起きますし、外壁自体からも雨漏りするリスクがあります。
窓の周りから、雨だれみたいなシミは出ていないでしょうか。
家の中の室内外壁側に住宅設備があれば、やはり家の中心部と同様に漏水の可能性があります。
このあたりの内容は全く中心部と同じですので、気をつけて見てみたいところです。
いかがでしょうか。
該当する箇所があれば、即刻工務店に依頼をして修繕を行いましょう。
それでも原因が分からない。
雨漏りの跡も無い。
住宅設備からの漏水でも無い。
一体どこに、水分の元があるのか分かりませんね。
室内を、よーく見渡してみてください。
何かカビの増殖を促す様な、水分を持っているモノは無いでしょうか。
実はあなたの目に見えない水分が家の中に存在するからこそ、漆喰や珪藻土にカビが生えるのです。
それはどこかと言うと。
今まさにあなたの家の外壁の中に、見えない水分があるかもしれません。
壁の中は石膏ボードを剥がさない限り、中がどの様になっているかが分かりません。
安易に建てた家の場合は構造用合板に直接アスファルトルーフィングや、ラス網を取り付けて壁を塗っている家も見かけます。
この場合は日々起きる外壁の結露水が、壁体内にも及んでしまっています。
室内側から石膏ボードを剥がして、壁の中を見る事が大切です。
断熱材が濡れていたり黒くなっている場合は、壁体内結露が原因かもしれません。
見えない壁の中に水分がある事を知れば、施主にとってはショッキングな出来事かもしれません。
ですが多いにその様な事例がある事をご紹介していきましょう。
この画像は以前にリフォーム依頼を受けた、高気密高断熱住宅の屋根が結露を起こした現場です。
通気の確保がなされておらず、屋根下地の野地板が結露でびしょ濡れの状態でした。
水分は拭き取ってありますが、しっかりと野地板にはカビが生えてしまっています。
この例の場合は屋根裏ですから、外壁と同じ様に屋根裏に登らない事には原因が分かりません。
まさかと思うかもしれませんが、実際に結露として水分が発生していれば、壁の中には湿気と水分が滞留している状態です。
断熱材も濡れていたり、周囲の木材だって腐食が始まっているかもしれません。
目に見えない壁の中こそ、恐ろしいカビの温床になる事を覚えておいてください。
4.各ご家庭での対処療法
■各ご家庭での対処療法
それでは漆喰や珪藻土の壁に、カビが生えた場合の対処療法を各ご家庭ごとに説明して行きましょう。
漆喰や珪藻土のカビに悩む方は、何も持ち家の一戸建ての方だけではないと思います。
パターン別に今後、どの様に暮らしていけば良いかをまとめてみましょう。
賃貸の家の内装が漆喰や珪藻土の場合、とりあえず大家さんに教えてあげてください。
賃貸の家が自然素材の家の場合、大家さんは長期の海外出張をしてたりするケースがあります。
壁体内で結露を起こしている事すら分からず、家の腐食はそのまま進行してしまいます。
「こんなブログを見たんだけど・・・」
仲介の不動産会社さんにお話をして、大家さんに届く様にしましょう。
すぐに対応してくれるなら、そのまま入居されても良いかもしれません。
ですが対応してくれないなら、その家から引き払ってしまう選択肢もあるかと思います。
壁体内の結露があると言う事は、概ねカビに囲まれて過ごしている状態と同じです。
自然素材の家でも健康被害に合うリスクが高いですから、引き払う選択肢も残しておきましょう。
購入したマンションをリノベーションして、漆喰や珪藻土にしたとしましょう。
マンションはコンクリートで建てられておりますので、比較的蓄熱しやすく結露も起こしやすい構造体です。
高階層の部屋なら、壁内結露の水分も蒸発してしまうかもしれません。
でも低階層の部屋の場合、蒸発されずに床から45センチ程度にカビが生えているなら。
それは壁内結露を起こして、石膏ボードの裏側にカビが発生しています。
床から近い石膏ボードを、部分的にカットしてみましょう。
そこからカビ臭い匂いがするなら、そこは石膏ボードを剥がす必要があります。
この手のマンションで私が結露対策をする場合、水分の量を見てみる事にしています。
大した状態で無ければ、新しい石膏ボードの裏面と表面に炭の塗料を塗ります。
石膏ボードに塗られた炭で調湿出来る程度なら、点検口を設けてしばらく様子を見ます。
2週間程度様子を見て、カビの匂いがしないなら室内の仕上げを行うと良いでしょう。
症状がひどい場合は、石膏ボードに炭の塗料を塗っただけでは結露水を吸い切れません。
炭の塗料+部分的に改め口を設けて送風します。
換気を促す事で、多少なりとも結露水を飛ばす効果があります。
もしくはあまりにもひどい場合は、物件を買い換える事も視野に入れても良いかと思います。
新築で家を建てて漆喰や珪藻土の壁にカビが生えた場合は、すぐに新築を依頼した工務店に連絡を取りましょう。
新築した家に10年保険が付いていると思いますが、10年の保険には結露による腐食は対象外となります。
ですから工務店は、結露は保険対象外と逃げてしまうかもしれません。
そこで真摯に向き合う工務店なら、まずは室内側の壁を部分的に撤去しましょう。
おそらく結露水でびっしょりな状態であれば、軸組の木材を乾かす必要もあります。
結果的には外壁の全てを剥がして、下地から通気層を取り直して復旧する工事が必要になります。
少しでも早い対応をする事で、軸組の腐食の影響を防ぐ事に繋がります。
この場合は建築設計事務所で、家の瑕疵を専門に調査をする会社を頼りましょう。
結露による瑕疵を工務店に立証する事で、対応を促してくれると思います。
調査会社に依頼をすれば、出費は避けられないかもしれません。
でも家を結露水で腐らせてしまう事を考えたら、少しでも早く対応させる為にも調査会社を頼りましょう。
最悪の場合、弁護士も併せて工務店に挑む可能性もある事を覚えておいてください。
本来なら瑕疵保険で結露による腐食も、10年の保険で対応出来る様にするのが施主の保護や保全になるはずです。
それをしない理由は結露は家を利用する方によって、室温を異常に上げたりする方も居るからと言う理由です。
ですが寒い日に24時間換気を回したり、窓を開けて換気をすれば暖房効率が悪くなってしまいます。
ただただ、寒い部屋に暮らせば良いと言ってるのが、今の10年の瑕疵保険と言う事なのでしょう。
5.施主を守りきれない10年保険だからこそ
■現行の保険では守りきれていない
かつて姉歯一級建築士が耐震偽装を行って、その頃から保証だった10年保証は10年の保険に変わって行きました。
現行の保険では、屋根や外壁の結露による腐食は保険の対象外です。
ですから気をつけなくてはならないのは、それらのノウハウがある施工業者を頼るしか方法がありません。
建ててしまった方は、工務店と話し合いを設けて修繕をしてもらうしかありません。
窓のグレードが低くて結露を起こす場合などは追加費用が掛かったとしても、樹脂製の窓に変更する等が必要になるかもしれません。
窓ガラスには樹脂製のペアガラスを選択する事で、外気と室内の間に空気の層が出来ます。
この場合は窓の結露も起こりませんし、結露水が構造体に及ぶ事もありません。
それと同じ様に、外壁と構造体に空気の層を造りましょう。
外壁が結露を起こしても外壁と構造の間に、空気の層を用いる事で壁体内結露を防ぐ事が出来ます。
室内の漆喰や珪藻土に生えるカビの相談は、左官職人さんでは答えが出ません。
漆喰や珪藻土のメーカーでは、カビを抑える方法を教えてはくれるのでしょうが、それはその場の付け焼き刃療法にしかなりません。
カビ取り業者は、カビが発生するメカニズムは熟知していると思います。
ただし商売ですからカビ取りが再発すると分かっていても、業者で対応出来る方法での対策しか有りません。
5.まとめ
家の中の漆喰や珪藻土に発生したカビに悩んだら、是非地元に精通している建築設計事務所や工務店にご相談下さい。
カビの撲滅には、建築の知識が無い業者では永遠に解決出来ない問題です。
なんならこのブログ記事を見せながら、相談するのも1つの手です。
この記事が拡散される事で、左官のプロ、漆喰や珪藻土メーカー、カビ取り業者の知識が増す事を祈ると共に、カビの生える根本的解決が出来るウェブサイトが増える事を祈ってます。