自然素材の家にはカビが生えないと聞きました〜地元工務店が教える正しいカビ対策
「自然素材で建てた家には、カビが生えないと聞いたんです。
だから私も自然素材の家を建てたいんです。」
こんなご相談を受ける事があります。
自然素材の家には、本当にカビが生えないか。
それではインターネット上ではなかなか見る事の出来ない生の情報を、地元工務店である中尾建築工房から正しい基礎知識をお教えします。
Contents
1.カビの生える自然素材の家はあるのか
これは私たちで家を建てた施主様からのLINEです。
「それはそれはお役に立てませんで😁
自然素材の家は木の香りがして最高です💞
結露もまったくしないです😚」
この様なご連絡を頂くと、日頃からしっかりカビや湿気の対策に取り組んで来て良かったなと思います。
なかなか施主側としては、言い難い事かもしれませんが。
「御社の自然素材の家は、カビが生えませんか?」
こう聞けるのであれば、何よりストレスを溜めずに済むかと思います。
自然素材の家は、確かに素材が調湿性能を持つモノばかりですから、カビが生えにくい印象を受ける事でしょう。
でも、本当にカビが生えないのでしょうか。
私が見ず知らずの方に、質問をされたとしましょうか。
「自然素材の家を建てれば、カビは生えないのでしょうか?」
「そんな事はありません、カビは生えます。」
この質問に対しては、自然素材の家はカビが生えないのではなく。
「カビは生えますよ」としか言いようがありません。
この様な内容をいきなり書いてしまうと、私たちに家づくりを依頼してくれたOBオーナーの皆様は驚いてしまうかもしれません。
「ちょっと中尾っち、うちの家はカビなんて生えてないじゃんよーー!」
いや、私はただ単純に嘘を付くのが嫌なのです。
正直に答えているだけなんですね。
ですから、質問を変えて頂きたいのです。
御社の自然素材の家は、カビが生えますか?
「そう言う事でしたら、中尾建築工房で建てる自然素材の家にはカビが生えません。」
この様に答える事が出来ます。
では自然素材の家にカビを生えない様にする為には、どの様な点に注意をすれば良いのでしょうか。
実は、ある約束事があります。
あまりここまでカビや湿気の対策を、書いている情報は少ないかと思います。
ですからじっくりと読み込んで頂ければと思います。
人工乾燥材の柱や梁を採用する事
最低ラインで樹脂の複合サッシを採用する事
断熱材の施工はしっかり行う事
調湿性能の高い無垢材や珪藻土を採用する事
家の構造体を空気の層で包み込む事
これを守れるのであれば、カビや湿気とおさらばする生活を過ごす事が出来るでしょう。
なぜに言い切れるのかと言えば、これが私たちが建てている自然素材の家になるからです。
ではこれらを理解して頂く為にも、詳しい解説をして行きたいと思います。
2.人工乾燥材の柱や梁を採用する事
自然素材の家をPRしている工務店はたくさんあると思うのですが、木の露出をとにかく多くする工務店があったとしましょう。
画像にある様な日本家屋は、大工だったら誰もが腕を振るいたくなる家です。
もともと日本の家々は、この様な家ばかりでした。
それが時代の変化により、住宅に対して断熱の性能を求める様になりました。
自然素材の家を建てるどの工務店でも、断熱をしっかり行っていない工務店は無いと思います。
ただし、この様な風合いを持つ自然素材の家を建てている場合は、構造体の柱や梁には天然乾燥の木材を採用していると思います。
天然乾燥材は雨風に当たらない場所で陰干しをしている様なモノです。
急激に乾燥をさせる事はしないので、木目も非常に綺麗ですし色合いも綺麗です。
ただし天然乾燥では、柱や梁の中には多くの水分が残っています。
カビにとって水分と言うのは、カビが増殖するための格好の条件です。
ですからこの様な天然乾燥材を使っている場合、当たり前の話ですが柱や梁にはカビが生えます。
分かりやすいのは、この様な家を建てている現場を見てみる事です。
梅雨時や秋雨前線の時期に、天然乾燥材で建てた家を見学してみると分かるのですが。
- 外気は湿気が盛りだくさん
- 柱や梁の中にも水分は豊富
たったこれだけの条件が揃っただけで、柱にはしっかりとカビが生えてしまうのです。
これが天然乾燥材で、自然素材の家を建てた場合に起こる現象です。
工事中だけならまだしも、天然乾燥材の水分はなかなか抜け切る事はありません。
ゆっくりと乾燥して行きますから、新築後5年程度までは水分が抜け切らないでしょう。
その間は室内の内装材が漆喰だろうが、珪藻土だろうが、調湿作用があろうが無かろうが。
そもそも論で、構造体に水分が残っている訳です。
漆喰や珪藻土で、調湿し切れるモノでもありません。
ですから天然乾燥材を使って建てている自然素材の家の場合、しばらくはカビや湿気とお付き合いをする事が前提となります。
逆に私たちの場合は、乾燥材を採用して自然素材の家を建てています。
乾燥材は強制的に水分を抜きますので、見た目は燻製の様な色合いになってしまいます。
ですがカビだらけの家にするよりは、乾燥材の方が施主様にとっては安心出来る素材だと思います。
ですからカビの生えない自然素材の家を求めているなら、天然乾燥材で建てている工務店は選ばない方が良いと言う事になります。
見た目は天然乾燥か人工乾燥か、なかなか区別がつかない事でしょう。
ですんでヒントを申し上げてしまいますと。
「見た目的にも昔の家だな。。」
「ものすごい梁が入っているな。。」
「大工さんのこだわりが凄すぎるな。。」
そんな印象を受ける家が、しばらくカビや湿気とお付合いをする家と言う事です。
3.最低ラインで樹脂の複合サッシを採用する事
窓についてもあまりにも安普請な窓では、カビの原因となる結露の防止をする事が出来ません。
ですから最低ラインで、アルミと樹脂の複合窓は取り入れたい所です。
窓自体は一つの窓に値段が付いてるものですから、むやみやたらに窓を付けるのはどうかと思います。
必要であれば必要な所に、しっかりと断熱性能を持つ窓を採用する事にしましょう。
そういった窓を採用する事で、今まで悩まされていた結露からは解放をされる事になります。
怖いのは家の建てる価格を下げる為に、これらよりもグレードの低い窓を採用している場合です。
窓もグレードを下げれば価格は自ずと安くはなりますし、逆にグレードを上げればその分も価格に反映されてしまいます。
カビの無い自然素材の家を建てるなら、窓の性能もしっかりと考えておく様にしましょう。
4.断熱材の施工はしっかり行う事
カビの無い自然素材の家を建てるなら、断熱材もしっかりと行って頂きたい作業の一つです。
どの工務店でも、断熱材を適当にやっていると言うアピールはしないはずです。
価格が高いとか、価格が安いとかの問題ではありません。
どの断熱材でも、昨今ではしっかりとした性能を出せる様に作られています。
ただし取り付けの作業をする方が、しっかりと断熱の施工を行っているかは微妙です。
私が大工の見習いだった頃、親方衆の繊維系の断熱材の入れ方はそれこそ酷いモノでした。
梱包から出したら、壁に詰め込むだけ。
まるで断熱と言う大切な性能を無視しているかのごとく、とにかく突っ込んだだけの荒技です。
本来であれば繊維系の断熱材は、しっかりと付属のシートをきっちり貼らなくてはなりません。
そのシートをプラスターボードを貼る事で、断熱材がズレない様にするのが鉄則です。
ですが工務店の職人によって、手間賃が少ない工務店の場合は、断熱材の施工を適当に行っているところも見受けられます。
職人同士の話の中では。
「手間がねぇんだから、そこまで出来ないべ」
こんな会話が横行してしまうほど、断熱に関してのノウハウが無い工務店もあります。
また昔堅気の大工の棟梁では、断熱材は仕事の中には入らない。
そんな考えを持つ大工の棟梁も居ました。
それらの大工が残した住宅が、昨今の古い家です。
家の中に居るよりも、家の外の方が暖かい家を作ってしまっていました。
ですから断熱材は何を選んだとしても、しっかりと施工して気密性を確保する施工が必要となります。
ここは施主が調べる訳にもいかないでしょうから、依頼をしたいと思っている工務店の断熱材を聴いてみる事をお勧めします。
繊維系の断熱材の場合は、断熱材の施工マニュアルを見て、マニュアル通りに施工をしてくれるのかを確認した方が良いかと思います。
5.調湿性能の高い無垢材や珪藻土を採用する事
構造体や窓、そして断熱材の定義を行って来ました。
カビとは無縁の自然素材の家を建てるなら、どれもなくてはならない素材です。
そして自然素材の家らしい分野まで、たどり着く事が出来たと思います。
ここでもやはり、無垢材なら乾燥材を採用する事です。
無垢材については、乾燥してない材料を探す方が大変かもしれません。
私の長年の大工の経験からも、内装の無垢材で乾燥材では無いモノと言えば青森ヒバくらいのモノです。
青森ヒバは、ヒバ油と呼ばれる油に価値があります。
ですから乾燥させて、油を抜くのは価値を下げてしまいます。
それ以外はたいていの場合、人工乾燥された材料ばかりです。
ですから無垢材については、とくに問題が無いでしょう。
そして内装の漆喰や珪藻土になるのですが、私の経験では漆喰と珪藻土の仕上げでは珪藻土の仕上げに分があると思っています。
私の会社では、イタリアの漆喰を珪藻土風に塗って仕上げる様にしています。
中には漆喰のパターンを気に入って、フラットの漆喰仕上げにして欲しいとリクエストもあったりします。
ですが漆喰は、金鏝できっちり抑えてしまう塗り方です。
珪藻土はふんわりと仕上げて、イタリア漆喰の持つ多孔質の穴を塞ぎません。
ふんわりと仕上げる事で壁材の面もたくさん取れますので、ふんわりと仕上げる珪藻土の仕上げがオススメです。
工務店さんによっては、天井を壁紙にする工務店もある様です。
おそらく剥がれた際のクレームが嫌なのでしょう。
私の会社は創業以来、天井にも壁にも珪藻土を採用してここまで来ています。
ですが天井の珪藻土が剥がれた事もありませんし、皆さん珪藻土で良かったと仰れられています。
家の中で生活が始まれば、窓も開けるでしょうし玄関だって開け閉めもするでしょう。
室内に入った湿気を調湿させる為にも、天井や壁面には高性能な漆喰や珪藻土を採用する事をお勧めしています。
6.家の構造体を空気の層で包み込む事
そして最も大切な部分に入って来ました。
今までの章を全て守ったとしても、最後の部分を守って頂けない場合はカビとは無縁になりません。
画像のボトルをご覧頂けると、この章で私が説明したい事が分かるかもしれません。
ここでは家族で、ラーメン店に食事に行ったと想定してください。
メニューを注文する前に、水が配られると思います。
そしてラーメンを食べながら、配られた冷たい水を飲もうとすると。
グラスの周りには、びっしょりと結露水がつく事になります。
そんな経験なら、誰でもした事があるのではないでしょうか。
この画像はラーメン店などで採用されている、デュアルウォーターピッチャーと呼ばれる商品です。
このピッチャーは二重構造になっておりまして、入っているお茶の中には大量の氷で冷やされています。
そしてラーメン店では暖房を掛けつつ、火なども使って店内は暖かい空気に包まれています。
先ほどのコップの冷たい水と同様に、外側に結露水が出てきてもおかしくはありません。
でもこのピッチャーはデュアル構造になっておりますので、空気の層で結露を止めています。
空気の層で中と外を遮断する事で、結露に悩まされる事はありません。
住宅の結露問題をラーメン店で例えるのは、私くらいかもしれません。
でも理屈は全く同じなのです。
私の会社で建てている自然素材の家も、どの家でも必ず空気の層を採用する様にしています。
縦に打ち付けた木に対して、横に無数の板を張り巡らせて行きます。
これらの上にアスファルトルーフィングやラス網を張り、モルタルの外壁を塗って行きます。
モルタルで仕上げた外壁が結露を起こすのは、避けられない現象です。
ですがこの様に空気の層を外壁の裏側に設ける事で、構造体や室内への結露は避けられると言う事になります。
手間暇は掛かってしまうのですが、これは避けてはいけない造作仕事です。
場所によって空気の層の厚さを変える場合もありますが、この様なアイデアを採用する事でカビを防げるのだと言う事を覚えておいてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
自然素材の家でも条件によっては、カビが生える事が分かったかと思います。
声を大にして言いましょう。
カビを無くしたいなら、水を何とかするしか無いのです。
ですからあなたが自然素材の家を建てる場合、ただ単純に自然素材の家を依頼するのではなく。
カビで散々な思いをして来たのでしょうから、カビの生えない自然素材の家を手にしてくださいね。
あなたの建築地が神奈川県内であれば、中尾建築工房が家づくりのお手伝いをする事が可能です。
カビの生えない自然素材の家を、しっかりとあなたに引き渡す事をお約束します。