ウッドショックの木材価格高騰-終息や見通しはこの先どうなる?
元大工棟梁で、現場をよく知る工務店の中尾建築工房の中尾です。
昨年から始まったウッドショックについて、NHKワールドニュースや日経アークテクチャーに取材を受けました。
ウッドショックの見通しが知りたい。
終息はするのだろうか?
見通しは立たないのだろうか?
その様に思うハウスメーカーや工務店、家を建てるお施主様は多くいらっしゃると思います。
不安があるため色々と検索しても、一向にこの先を書いてある記事など2022年4月現在はありませんよね。
たしかに見通しが立たないのは、不安があるかと思います。
家の建て時は、一体いつになるのだろうか。
そんな思いは払拭したいですよね。
そこで事情通の私がウッドショックの見通しや、今後の終息について先読みの解説をさせて頂きたいと思います。
Contents
1.ウッドショックの見通し
2022年4月現在では、ウッドショックの木材不足は解消されていると思います。
実際に私が資材を調達しているプレカット工場に確認をしますと、構造材のストックは充分にあるそうです。
ただし現在は構造用合板が不足となっており、構造用合板の入荷次第で構造材のプレカットを順次進めている様だと聞いています。
また構造材ではありませんが、木造住宅に必要なはがら材の不足が懸念されています。
そのはがら材は間柱です。
※間柱とは?
正角の105角材や、私の会社で採用している120角材の事を柱と言います。
木造軸組在来工法では、柱と柱の間に入れる薄い板材が間柱と呼ばれる板状の材料です。
間柱は455mmピッチで配置され、柱と同様に屋外、室内の壁下地となります。
つまり現状の課題であった構造材の木材不足は概ね解決されており、合板や間柱材によって上棟日が決められてる形です。
では実際に価格についてはどうなったのか?
これはこの記事にたどり着いた多くの方が、とっても気になる部分だと思います。
現在の木材価格は高騰したまま、高止まりをしています。
これは私の思う部分ですが、価格が元に戻る事は無いと思います。
重要な部分ですので、もう一度続けて言います。
価格が元に戻る事は無いと思います。
むしろ価格が戻ってしまった場合、それは世界的に大きな不況を意味する状態だと思います。
大きな不況になれば施主側としては、家を建てている場合では無くなってしまうかもしれません。
では何故、この様な説明が出来るのか。
ウッドショックに陥ってしまった時から、遡って解説して行きたいと思います。
2.木材価格の下がらない理由
まずウッドショックとはなんぞや?
この記事をご覧になっている方には、そんな方は居ないと思うのですが。
以前に私が書いたブログ記事がありますので、まずはそちらをご覧頂ければ幸いです。
2021年住宅用木材価格の高騰した理由|ウッドショックの解説をしたいと思います
リンク先ではほんの少しだけ、日本独特の個性について書きました。
すでにウッドショックを色々と検索されている方は、日本の買い負けと書かれている記事をご覧になっているかと思います。
でも買い負けをしていると言う感覚は、おそらく日本人固有の感覚だと思います。
買い負けと言うのはお互いに、肩を並べている状態で言える事じゃありませんか。
では実際に肩を並べているのかと言うと。
他国(資源国)から見れば、日本はそこまで貴重な顧客と言う訳では無い。
この様に思われていると、私は思います。
ここではヨーロッパを他国(資源国)として、理由を述べたいと思います。
- 品質にうるさい
- 価格にうるさい
- 高いと買わない
- 納期にうるさい
これが他国(資源国)から見た日本の印象です。
自国や自分の事は分かりにくいかもしれませんが、あきらかに他国(資源国)から見た日本とはですね。
こんな感じで思われていると言う事を、よくよく認識していただいた方が良いと思うのです。
○品質にうるさい
世界に比べて日本独特と言う考えがあります。
それは。
J-GRADE(ジェイグレード)
これは他国(資源国)が日本向けに、特別な目利きをした木材と言うグレードの木材になるのですが。
性格的にも品質的にも、細かい部分にこだわる日本人。
国民性と言っても良いのかもしれませんが、とにかく他国(資源国)に比べて細かい性分だと言う事は否めません。
品質にこだわると言う事は、それだけ資材に対して気を使うと言うことです。
ですから割り振りについても、細かい労力が付き纏う事になります。
私が大工時代のお話をしましょう。
私が勤めていた工務店では、今の様にプレカット工場での加工ではありませんでした。
下小屋(作業場)と呼ばれる場所に、材木屋さんが木材を運んで来てくれます。
土台の様にサイズと長さが一定の材料は、1パレット(50本)ずつ運んでもらっていました。
一本一本、バラで購入すると高く付きますので。
当時の土台は米ヒバを採用していたのですが、米ヒバの節の無い材料などは和室の造作材として使えます。
ですから50本の中から節が無く、素性の良い材料を選りすぐっておりました。
素性の良い材料は土台として使わず、半割にして日陰で乾燥させていました。
その分の手間隙は当然かかるのですが、造作材は格安で調達出来る事になります。
当時は経費を削減する為に当たり前と思われる作業でしたので、なんの疑いも無く選りすぐっておりました。
日本人の大工としては、こんな事は当たり前になってしまうかもしれません。
ですが資源国である他国はどう考えるでしょうか?
製材を終えたカンピン材J-GRADE(ジェイグレード)を日本に送る為に、他国(資源国)は材料を選りすぐって材を振り分けする事になります。
※カンピンとは?
丸太の様な原木ではなく、ラミナ(挽き板)とも違い、角材や梁材として完成された材の事を指します。
完成品を省略して、カンピンと呼ばれたりします。
集成材の柱や梁材などで、この様な通称を呼ばれたりします。
ですが日本向け以外の材料は、そんな事をする必要がありません。
梱包を解く必要も無く、パレットごとに積まれた木材をユニック車で移動させ、コンテナに詰め込む事で作業は終わります。
ではその手間隙などを価格に反映しているのかと言えば、実際にはそんな事はありませんでした。
職場の同僚やお友達関係でも、こんな感じの方ってどう思われますか?
性格が細かくて、いちいち文句を付けると言う感じになってしまう訳なので。
まぁ、お付き合いが長く出来るかと言えば、ばっさり切ってしまった方が良いのでは無いか?
その方がお互いに気が楽だと思うのは、きっと私だけでは無いと思います。
日本人が他国に比べて、品質にうるさいと言うお話ですね。
資源国から見ればうるさい事を言わずに、値引きもせず購入してくれる国が優良顧客となります。
品質にはうるさく、余計な手間暇もかけさせる。
さらに、買わない時にはちょっとしか買わない国ってどうなんだろう。
日本はそう思われても致し方ない状態になってしまっている訳です。
そんな国は優良顧客とはならず、ただのめんどくさい顧客になってしまっていると言う事を覚えておきたいですね。
○価格にうるさい
価格にうるさい事と、高いと買わないは=なのかもしれません。
品質に拘った素材をディスカウントして、今まで他国(資源国)と交渉をして来た日本と言う事なのですが。
それが日本国内の企業努力と言えば、確かにそうなのかもしれません。
その努力のおかげで高品質な木材で、安価に家を建てられた方は少なく無いと思います。
ですが日本人はそれで良いのかもしれませんが、他国(資源国)としてはいかがなモノでしょうか?
これだけ良いモノを作っているにも関わらず、価格はずっと据え置きにしないといけないし。
価格が据え置きだったら採算が取れる様、もっとたくさん購入してくれれば話も進展するかもしれない。
けれども日本の商社は、価格が高い時には購入を控えてしまう。
つまりお互いの信頼関係がしっかりと結べているのか?
そんな部分には疑問が残ってしまいます。
○高いと買わない
需要が多い時なら買ってくれるが、需要が落ちてくるなら日本は購入を控えてしまう。
もしくは価格が下がるまで仕入れてくれないのは、日本の商社の販売努力が足らないのではないか?
その割に品質にはうるさいし、コストについてもやかましい。
日本がそんなにわがままな言うなら、なにも言わずに値引きもしなくて良い中国やアメリカに売ってしまった方が良い。
そう思われても仕方がないと言うのが、ウッドショックが始まってしまった時の物量に反映されています。
日本国内向けの前年比100%だった木材量を、40%ダウンの60%まで下げられてしまったのです。
この情報はウッドショックの話題が大きくなる前に、私たちの様な事情通では問題の話となっていました。
○納期にうるさい
これはウッドショックが始まってしまった後にも言える事ですが、日本の商社や大手プレカット会社は在庫数を無限に持っている訳ではありません。
そこまで物量をストックしなくても納期に間に合わせてくれれば、無駄な固定費を使わなくても良いと言う考えです。
ですが資源国は輸出をしたくて、港の倉庫に日本向けの木材が大量に置いてはあるものの。
港のある地域がロックダウンされていれば、積み下ろしの作業をする事が出来ません。
船に載せる為のコンテナも無ければ、人が居ても積み込む事は出来ません。
ですからウッドショックが始まった頃、資源国の港の沖ではこんな事が起こっていました。
船に積み込むコンテナも無いし、それらの作業をする人も居ない。
港に着岸して荷物を降ろす事が出来ないから、沖合で停泊するしか方法が無い。
こんな状態になるのは、日本だけの問題では無いのかもしれません。
ですがコストダウンをする際には、厳しくする部分は厳しくしたとしても。
どこかで調整出来る様にしないと、その関係は長く続く事はありません。
価格を徹底的に下げるなら、物量は数年単位で契約してもらう。
原油が上がってしまって、船便のコストが高くなった場合も安定的に購入する。
そんな約束があるなら、資源国に見限られてしまう事も無いでしょう。
ですが。。。
品質はうるさい
価格にうるさい
高いと買わない
納期にうるさい
これでは逃げ道と言うモノがありませんので、資源国から見限られてしまうのは否めないと思います。
事実私の取引のあるプレカット会社などは、ウッドショックが始まってもウッドショックと言いません。
価格についても提示された価格をそのまま購入し、安定的に購入する事を約束しています。
倉庫についても大幅にストック出来る様、増設を試みていると言う話を聞きます。
これであれば信頼関係が築けると思いますので、供給量が減ると言う事は無いでしょう。
現に購入を見合わせている商社もありますが、資金力のある商社やプレカット会社は購入をし続けています。
高くても材料自体が調達出来て、本当に良かったね。
こんな会話になるくらい、資源国との友好的な関係が大切な事がよく分かります。
逆に安くなるまで購入を見合わせている会社の場合、今後は取引が可能かどうかも分からないと言う事にもつながるかと思います。
この様に価格が高くなる場合、需要と供給のバランスがあると思うのですが。
仮に日本全体が買い控えを起こしたとしても、価格が下がる事は無いでしょう。
なにせアメリカ、カナダ、中国、ヨーロッパとの関係性は、ウッドショック の記事でご説明した通りの構図になっている訳です。
この画像は前回のウッドショック 記事にて、とっても分かりやすい関係だと反響の高かった画像です。
日本が買わなければ、世界中の国々に全てを持っていかれるだけの話だと言う事を覚えておきましょう。
3.円安ドル高の問題
このタイミングで円安ドル高になるかと思ってしまうのですが、単純に円の価値が下がってしまっていますよね。
この記事を書いている2022年4月末時点で、1ドル=130円74~84銭と言う円安の状態になっています。
ちょうど一昨日、会計事務所の担当さんとお話をする機会がありました。
その際には120円台後半ではありましたが、130円台になると言う話を聞いていました。
その二日後にはしっかりと大台の130円台になってしまっています。
円が安くてドルが高い場合、国内の輸出産業としては良い条件なのかもしれません。
ですが住宅などの建築資材においては、輸入する製品がとても多い様な気がします。
全世界で共通の為替であるならまだしも、円安ドル高になっている以上は資材を割安に出来る条件ではありません。
これもウッドショックの木材価格高騰が落ち着かない条件とも言えるのではないでしょうか。
4.ロシア・ウクライナ問題
現在ロシアとウクライナでは、報道されている様に紛争になってしまっています。
これらの国も資源国でありまして、特にロシアは単板材(構造用合板や構造用LVLの原材料)、や下地に用いられる赤松材などの資源国です。
強度を重視する材料に用いられるのは、おもに唐松の単板材が多いです。
構造用合板は主に木造の屋根下地材や、床の下地材として利用されています。
また合板の様な接着材を多様して、構造材に採用している建材もあります。
構造用LVLと言う、繊維方向を揃えて貼り合わせた合板の様な建材です。
木造軸組材(梁、柱など)として大変優れており、特に梁として使用した場合に鉛直荷重に対し高い曲げ性能を誇っていると言われる材料です。
生産自体は日本国内ですが、原料はロシアやウクライナから入って来ます。
つまり紛争中である事から、原料となる材が入って来ません。
PEFCによる「紛争木材」の定義は以下の通りだ。「武装集団、あるいは、武力紛争に関与する文民政権またはその代表者によって取引された木材であり、その目的が紛争の永続化または個人的な利益のために紛争状態を利用することにある場合」。紛争木材は森林認証されず、PEFC認証を受けた製品全てに使用できないことになる。
2022.03.15 日経クロステック/日経アーキテクチュアから抜粋
ロシアからも輸出を禁止し、紛争木材となる事から、今までの様に材を輸入する事が出来ません。
そのせいもあって構造用合板や高強度LVL、天井などの下地材はロシア産を期待出来ないと言う事になります。
これらの木材や建材以外にも、建築に関わる素材をロシアは持っています。
セメントを製造する際の燃料となる石炭も、ロシア産が多く採用されています。
ウッドショックの観点で言えば、外れてしまう素材だと思います。
ですが住宅業界の素材としては、切り離せる素材ではありません。
ロシアから石炭の輸入が止まるために、セメントの材料費も上がってしまう影響が出るのは否めません。
紛争自体がいつ終息するかも分かりませんし、紛争が終わったからすぐに輸出再開と言う訳にもいきません。
ロシアに対しての制裁は紛争が終わっても継続されるでしょうし、その間に指を加えて待っている訳にもいきません。
するとどこかで代替品を調達する事になります。
それらは今までの様なコストになる事は無く、確実に需要が上回ります。
ですから価格自体が下がると言うのは、考えにくいと言う事になります。
5.国産材へのシフトは可能か?
輸入する木材が高騰しているのであれば、国産材に切り替えれば良いんじゃない?
日本には杉や檜が取れるし、花粉症対策にもなるんじゃない?
私は花粉症では無いので、そこはなんとも言い難い事ではあるのですが。
ですがおっしゃる通り、国産材に切り替えられなくは無いんです。
実際問題、私も国産の材料を採用しておりましたが、物の見事に国産材の価格が上がってしまいました。
理由としては輸入材が高騰した。
いつもは輸入材のみで家を建てていた会社も、国産材に振り向いた。
どうしても木材が必要な会社ばかりですから、木材市場の競り(せり)では自ずと価格が上がって行った。
おかげさまでわたしたちが採用していた杉や檜の材料も、モノの見事に価格が高騰する事になりました。
また国産材を扱っている会社はあれども、ここまでの急激な需要を見た事がある会社はどこにも無いと思います。
それに対応する人員も居りませんし、ウッドショックの直前には伐採する本数にも制限を掛けています。
ですから急な出材には対応も出来ませんし、日本の山々には木々があっても効率良く伐採出来る形にはなっていません。
斜面も厳しいですし、アメリカやヨーロッパの様に運搬しやすい平坦な道が少ないのです。
さらにアメリカやヨーロッパの様に、先を見て植林されて来た訳でもありません。
あくまでも戦後の日本を復興させる職業の一つとして、政治家に勧められて植林されて来た訳です。
そこには先を見据えた計画などは無く、単純な票集めのための補助金を出す程度です。
とりあえず植えている訳でして、継続して安定的に出材を市場に出す様な仕組むになっている山が多いとは決して言い切る事が出来ません。
さらには人員も高齢化しており、若い人材が不足しています。
国産材を本気で推進するのであれば、林業家をはじめとする方たちが安定した収入が取れる仕組みに変えないといけなくなります。
- 出材を簡単に出せる道を作る
- 人員を増やして行く
- 人力のみでは無く伐採設備も完備する
- 切りっぱなしではなく植林も行う
- 伐採された樹木を安定して購入してくれる仕組みを作る
それこそアメリカをはじめ、ヨーロッパのフィンランド,スウェーデン,ドイツ,オーストリアなどから学べる事はたくさんあると思います。
今すぐの需要に応える為には、これだけの課題がありますので。
すでにある程度の販売量を誇っている国産材会社は数社あれども、それだけの数では到底輸入材の全てを代替する事は出来ません。
実際にはすべてを国産材にシフトをするのが難しいと言う、厳しい現実がある事を覚えておいて頂ければと思います。
6.住宅業界の過去に学ぶこと
現場で働いていた大工の棟梁時代から今に至るまで、職人さんたちとはいろいろな話をしています。
冗談めいた話もしますが、資材の話もしたりしています。
その中でも現場あるあるな話になるのですが。
そう言えば価格改定の連絡って来るけどさ。
上がりはするけど、下がった事って今まであったっけ?
と言う話が出たりするのです。
※一般的に新築やリフォームを請け負う職人さん達は、材料持ちと呼ばれる材工価格で工事を請け負っています。
私が大工の棟梁時代は木工事も材料持ちがほとんどでしたが、昨今では大工さんの材料は工務店が支給する場合がほとんどです。
材料持ちの職人さんたちと話をすると、面白い事が分かります。
例えば板金屋さんとの会話です。
そう言えば板金の材料(屋根や外壁のガルバリウム材など)ってさ、上がる連絡は来ると思うんだけど、下がる連絡って来た事無くないですか?
て言うか下がった時も無くないですか?
んー、そう言えば。。
たしかに上がる時は電話やファックスで連絡来ますよねー
だけど下がった時。。。
え〜っと、今まで下がった時ってあったっけかなぁ。。
材料の値段が下がった事はたしかに無いですけど。。
板金ゴミを溜めておいて鉄屑屋さんに持っていくと、予想以上にお金が貰える時はありますね。
つまり鉄の単価が上がる時は分かるのだけど、下がる事を経験していないので。
それらの実感が湧かないと言う意見です。
そして基礎工事を担当している職人さんと話をしても。
基礎の鉄筋とかってじわじわ上がる事はあっても、値段が下がった時ってあるんですか?
ん〜、社長のところだと値上げの分をもらっている訳ではないけど、ちょこちょこと上がってはいますよねぇ。
材料は少しずつ上がってはいるものの、ポンプ車などはずっと上げずに居てくれているから。
だけど今回みたいな状態になってしまうと、上げないと手間賃も出ない様になってしまうしなぁ。
そうそう、材料が下がった話だけど、ちょっと記憶の中には残ってないですね。
やはりこちらも上がる事は記憶に残っていても、下がった試しが無いと言うのが本音の様です。
事実私の会社の基礎屋さんも、かれこれ13年以上は価格の改定を行わずに来てくれました。
ですが現在は原油も上がれば、鉄も上がってしまっています。
ですから昨年に鉄筋分の値上げを承諾して、継続して作業に当たってもらっています。
全ての材料が上がってしまった歴史はあれども、下がった歴史が無いと言う事でした。
過去の鉄や原油の価格が上がったり、下がったりするチャートは見て取れるのですが。
実際の現場で下がった際の価格は反映されておらず、その下がった分はどこに行ってしまったのか。
住宅業界での過去の歴史を学ぶ事で、過度に価格が下がると言う事は期待しないでおいた方が良いと言う根拠となるでしょう。
7.ハウスメーカーやパワービルダーの存在
ここまでで注文住宅を建てたいと思い、しばらくは様子を見ようと思っている施主の方も居らっしゃるかと思います。
ですがしばらく待っていたとしても、思う様に価格は下がらないと思います。
その理由の一つにハウスメーカーや、パワービルダーの様な存在があります。
ハウスメーカーは住宅展示場などに出店したり、ありとあらゆるポータルサイトに広告を出している営業会社とも言えます。
経費を掛けた分だけ受注を取って、建物を建てて行きます。
これらハウスメーカーは住宅の販売と現場を建てる事が仕事ですから、途中で止まる訳にもいきません。
キャンペーンやイベントなどを設けて、とにかく集客を行う事でしょう。
つまりハウスメーカーの場合、受注を止めると言う事が出来ません。
受注を止めないためには。
売り続ける
建て続ける
仕入れ続ける
と言う形を取らざる得ない訳です。
そしてパワービルダーの方はどうでしょうか?
パワービルダーとは、建て売り分譲を専門にしている会社となります。
大きな土地を仕入れて多棟数を建てられる分譲計画を行い、そして建物を建てて販売を行っています。
もともと大きな資金力を持つ会社もあれば、上場して投資家から資金集めて分譲計画を行なっている会社もあります。
これらの会社もハウスメーカーの様に、止まる事が出来ません。
用地を仕入れる資金を確保するためには
とにかく用地の仕入れを行う
少しでも棟数を建てられる計画にする
材料入ればとにかく建てる
そして完売させる
と言う形を取らざる得ない訳です。
止まって終えばハウスメーカーもパワービルダーも売り上げ自体も立ちません。
すると決算の際、投資家から資金を引き上げられてしまう事になるでしょう。
ですからハウスメーカーもパワービルダーも同じ様に、一旦受注を停止すると言う事が出来ないと言う事になります。
しばらくは様子を見ようと思っている施主の方も居らっしゃるでしょうが、それをあなたが行なったとしても。
市場は止まらず、需要が尽きない状態である事を覚えておいて頂ければ幸いです。
まとめ
ここまでお読み頂きましてありがとうございます。
と言う事で一時は落ち着くかと思われたウッドショックですが、2022年現在も高止まりを維持している状態です。
待っていても価格が下がる理由が、正直言って見当たりません。
価格が上がる予想もある程度は出来るのですが、それはハウスメーカーさんやパワービルダーさん、地域の工務店さんによってもバラバラだと思うのです。
ですからここでは敢えて坪○万円UPと言うのは、控えさせて頂きたいなと思います。
その代わりに家づくりを計画されているなら、住宅ローンの対策をしっかりと行う事。
現在の家賃を無駄に支払わない様、効率よく家づくりを進める事。
分からない事は自分で覚えようとせず、その道のプロにアドバイスをもらって速やかに判断する事。
これがウッドショック渦中である現在の家づくりにおいて、必要だと思われるポイントとなります。
コロナと同じでは無いにせよ、ウッドショックが元の価格に戻るのかと言えば、戻れる要因よりも戻らない要因の方が多い様に思います。
現にこのブログ記事を書いた3日後には、日経クロステック/日経アーキテクチュアで、この様なニュースも出ているくらいなので。
建材・設備27社、値上げ一覧表 ウクライナ危機でさらなる“雪崩”も
原油の価格が落ち着かないと、ありとあらゆるモノの価格が上がってしまいます。
あとはロシアとウクライナ事情ですよね。。
ロシアとウクライナの紛争で合板などが不足されているのは、ウッドショックの第二波と言えるのかもしれません。
むしろここまでの流れを見ていて、私は第三波、第四波の波が来ないかの方が心配をしています。
私自身も設計を半ば放置していた自邸になりますが、プレカット屋さんと連絡を取りつつコストを確定させる為に作業を開始しているくらいです。
と言う事で、ウッドショックの終息や見通しはこの先どうなる?と言うブログ記事を更新させて頂きました。
これから家作りを検討される方には、ぜひとも参考にして頂ければ幸いです。
ですがくれぐれも○○キャンペーンや、土地をお持ちでない方も、間取り作成いたします!と言う根拠のないPRにごまかされない様にお気をつけくださいませ。
ウッドショックはあなたの家づくりのゴールではありません。
その先にある家族との生活や思い出作りに、重きをおいて家づくりを進めて頂ければ幸いです。