ブラックウォルナットの無垢厚貼りフローリングのお手入れ|無垢の床を拭く前に読んでください
無垢の床材って、メンテナンスや掃除の方法はどうすれば良いのでしょうか?
こんな事を聞かれる事があります。
無垢では無い一般的なノンワックスのフローリングなら、クイックルワイパーでOK。
では、無垢の床は?
無垢の床でも、大きく分けてですね。
針葉樹(スギ、ヒノキ、マツなど)
広葉樹(ウォルナット、アカシア、チークなど)
この様に、ざっとですが2種類に分かれます。
針葉樹は比較的柔らかく、傷などもつきやすい無垢材。
これは葉山町に建てた家。
床は杉の無塗装仕上げですね。
この杉材の床は、肌触りがめちゃめちゃ良いのです。
裸足で歩くと、木肌の感触がたまらなく柔らかと言いましょうか。
温かみと言う言葉を使うと、無垢の杉床は温かい。
そう捉える方も居るみたいですから、あえて温かみとは書きません。
床が冷たきゃ、杉でもなんでも冷たいですからね!
これが良さでもあり、逆に。
傷を傷と捉える方には不向きですが、傷をあじわいと捉える方には。
リーズナブルな価格で選択出来る、肌触りの柔らかい無垢材です。
そして広葉樹。
広葉樹は針葉樹に比べて、堅い事が大きな特徴です。
こちらは三浦市に建つ家。
この床は、オールチークの100%無垢材で施工させて頂きました。
チークは高級車のハンドルや、クルーザーの細部に使われたりする木です。
広葉樹の中でもチークは傷もつきにくいですし、耐久性もある。
耐久性があるからこそ、広葉樹のチーク材は。
高級クルーザーの外装床でも、水に浸かってしまうデッキ材に使われたりもしています。
海水にジャブジャブ浸かるも、ひた走る(笑)
トランサムステップや、アウトデッキもチーク材。
海水にこれだけ浸かっても大丈夫。
これは海に通っている人であれば分かると思うのですが。
かなりの耐久性があると思って良いと思います。
見た目にも、高級感が現れる木材ですよね。
船などの場合は、日焼けや塩害により。
色がグレー色になっていきます。
気にしない方はそれで良いのだけど。
気にされる方の場合は、灰汁(あく)洗いで元の色を取り戻す事も出来ます。
船の場合は、そんな感じなのだけど。
私たちの業界では、無垢の木材に水分を加えるのを良しとしませんので。
ほうき、または掃除機でゴミを取り除いた後は。
乾拭きか、固く絞った雑巾。
それで拭きあげてください。
こんな方法を説明されると思うのです。
で。
実際に現場で大工だった私なので、それなりの持論がございます。
ありとあらゆる、素材に触って来ましたし。
独立をしてからは、現場の仕事で材料を使わなくても。
自分でお試しで購入して、実験を繰り返すオタクな大工でした。
無垢の材料ストック、あるだけで超ご機嫌(笑)
どんだけ木材好きなんだ・・・って思います。。
それだけに私が思うのは。
日本と、欧米の文化の違い。
ここに私は、着目をしておりまして。
日本と言えば、無垢の床の代表格としてお寺さんがございます。
お寺さんでは、お坊さんが硬く絞った雑巾で床を拭いたりしてますね。
日本のお寺さんは、床材などがほぼ針葉樹。
広葉樹は、あまり見受けられません。
では欧米はどうでしょうか?
欧米の一部では、土足の文化です。
日本の様に、靴を玄関で脱ぐ形ではございません。
それだけに、タイルやカーペットの床も多いのですが。
無垢のフローリングの部分は、無垢材にコーティングを施したモノを使っています。
古家などで、コーティングが剥がれてしまっていると。
それは再コーティングするか。
まぁ、気にしない方は、そのまま拭いたりしてるでしょう。
「それが無垢の良さだっ!」
そう言わんばかりにです。
外人さんはそーゆー方、多いですよね(笑)
話は戻して、この様に素材にこだわり。
お気に入りの無垢の床材を採用したとしましょう。
現実的に40坪の家を建てて、玄関や土間収納はタイルにしたとしても。
実際には35〜36坪ほどの、無垢の床が張られる事になりますよね?
その床全てを一休さんのごとく、膝をつけて拭くとするならば。
これがまた相当たる、労力だと思う訳ですよ。。
出来れば、もっと簡単に手入れが出来たらなぁ・・
とも思う訳なんです。
で。
これ、私が思うに自己責任ではあるのですが。。
私はご覧の様に、モップを使って掃除しちゃったりしています。
もちろん水気はかなり絞っておりますが、雑巾ではなく。
この様に枝(え)のお世話になった方が、楽に掃除する事が可能なんですね。
まぁ、でも。
動画にあるのは、私の仕事場でして。
無塗装のブラックウォルナットの、厚貼り単板フローリングです。
掃除をしてみると、水が真っ黒になり過ぎて。。
ここまで汚れていましたか。。
と、びっくりするほど。
掃除機で吸い込んだだけでは、まだまだ汚れておりました。
しっかりと水気を絞れば、このやり方でも良いのかと思います。
ではここで。
かなり水気を切る理由を解説したいと思います。
これは木材に水分が加わる事で、動きが出るからなんですね。
そもそも、木材はなぜに動いたり反ったりするのでしょうか?
これは木が成長する過程にリンクしています。
木には表も裏もありまして。
木表(きおもて)
木裏(きうら)
なんて言ったりします。
そもそも、山に生えてた状態では。
木は倒れない様、大地にしっかりと根を張り。
成長に必要な養分だったり、水を吸い上げます。
さらには葉っぱから二酸化炭素を吸収して、炭素を幹や枝に蓄えていきます。
葉は、しっかりと太陽の光もがっつり吸収して。
不要になった枯れ葉は、地に落ち新たな栄養源として。
再度、根から吸収されるんですね。
良く出来てるんですよ、木の成長って。
自らは動けないけど、そんな成長の仕方もあるって事です。
で。
木は倒れてはいけませんから、木の中心部分はよりしっかり。
繊維の密度も濃くなります。
そして外側になるに従って、逆に水を循環させる導管が多くなりますので。
木の表面に行くほど、水分が多くなるんですね。
実際に手で触りますと、木の中心部分は硬い。
木の表面部分は柔らかい。
こんな印象と言えば、伝わりますでしょうか。
つまり木は水や栄養、太陽の光を成長の糧としてる訳ですが。
外に外にと、成長する習性があるんです。
ここで丸太を見てみると。
木の内側の年輪は細かくて、繊維が細かそうな事が分かります。
外側の白太(しらた)部分は逆にスカスカって感じですよね。
吸い上げた水を送る導管もありますから、これは当たり前のお話です。
画像に長方形の板に見立てた印を入れましたが。
木の外側が木表。
木の内側になる方が木裏。
成長の過程で、木は外に動く習性があるから。
一般的には、木表側に動こうとするんですね。
そして、木から製材された木材になりますと。
ある一定の乾燥をさせるのですが。
木材の4面が一定の水分を受けるだけなら、さほど反ったりする事はありません。
が。
木材の一面だけ、濡たりすると。。
画像の矢印方向に、動こうとする訳なんです。
ご覧の様に、反りが出ておりますですね。
これは元々、どの程度の反りだったかって言うと。
こんな感じ。
これは4面を濡らして、タオルで拭き取った形です。
材の端がほんの少しだけ、へっこんでる程度。
濡らす前と、動きは全くありません。
でも片方だけ濡らしてしまうと。
ご覧の様に、大きく反りが出る事になります。
木材の持つ水分量と、乾燥状態によって。
バランスが崩れると、この様に反りを出すのです。
ま、どこまで反りを気にするかって話にもなりますけど。
今回は反りの実験で使った木が、ナラの窓枠材になります。
特に固定された訳でもなく、自由に動ける木材です。
すでに貼られたフローリングは、釘などで固定してある状態。
表面の見える部分だけ、お手入れする事になりますよね。
ナラ材の実験では、4面濡らすと反りは出ず。
一面だけ濡らすと、バランスを崩して反りが出る。
つまりフローリングの施工後は、一面だけを濡らす事になるから。
反りが出やすいので、びしょびしょにしてはいけません!
と、各フローリングのメーカーさんは言いたい訳なんです。
これが木材の持つ、反りや動きのメカニズムです。
では私の部屋の床は、どの様になったかって言うと。
ご覧の通り。
反りはございませんでした。
でも私は思うんですけど。
無垢材なのだから、反りがあっても良いかと思うんです。
どの無垢材も、個性は必ずありますので。
それを教育的指導するって事は、なかなか出来る事ではありません。
住宅を建築する場所だって、湿気の多い場所もあるだろうし。
逆に過乾燥になってる場所も、中にはあるかと思いますのでね。
素材はしっかりと日本の技術で、製材して加工され商品となってますから。
あまり細か過ぎると、それこそ無垢材の良さを楽しめないと言えるでしょう。
むしろ完璧を求めたいなら。
最初から無垢材は選ばない。
その方が良いと私は思います。
ちなみに。
これは中尾建築工房のお座敷にある、分厚いブラックウォルナット(100%無垢)のテーブルです。
日本の大工の常識では、見せる側には木の表を見せる。
そう意識づけられますので。
ご覧のテーブルは上が木表。
先ほどの反りの向きと、同じ様に反っています。
これが問題あるかと言えば、私的には全く問題ないと思います。
だって、本当の無垢ですから(笑)
と言う事で、無垢の床をお手入れする方法の知識として。
共有して頂ければと思いまーす!