藤沢市に建てる家造り|敷地調査編
なんだか最近、毎日の様にお問い合わせを頂いている中尾建築工房。。
たしか、消費税増税の影響で、もう少し今年は静かになるかな〜って予測だったんです。
でも、その予想を反して、かなりの問い合わせを頂いております。
なので私もほぼ毎日の様に、色んな敷地を拝見させて頂いている次第なんですよね。
そんな中、中尾建築工房で家を建てたオーナー様から、こんなご連絡を頂きました。
A山さん
『仲の良い友達がこれから土地を購入する前なんだけど、なんだかヤバそうだから、先に見てもらいたいんですよね。』
私
『なんだか最近忙しくてさ〜、まぁでも見るだけだったら、なんとか行けるか。。』
A山さん
『もう言っちゃいましたよ!不動産屋よりも詳しいから、絶対に見てもらった方がいいって(笑)』
相変わらずフィーリングとノリだけは、強烈な人ですよね•••
てな会話もありまして、早速直接私に連絡をして頂きまして、土地の住所を教えてもらった訳なんです。
現地を拝見しますと、さすがA山さん!
おそらく、一度は家を建てた経験上&元々持っているであろう野生の勘が働いた事が良く分かりました(笑)
こんな感じの敷地ですね。
ちょっと画像では、ぼんやりと隣の家を隠させて頂きました。
でも、このぼやかした家に元々あった、庭を販売している様ですね。
おそらく子育ても終わったし、ここまで大きい庭は要らないし、相続税対策も絡んで来ての、敷地分割なのでしょう。
こういった販売方法を不動産業界では『庭先売り』と言います。
んで、今回の土地は果たしてお勧め出来る土地か、そうではないのか?
先にぶっちゃけさせて頂きますと、お勧めする事は出来ない土地の分類に入ります。
その理由はと言うと。。
『立地は良いけど、購入されるであろう人にとって、資産価値的によろしくない!』と言う事です。
ではその中身の説明を追記してみましょう。
まず、この敷地は元々が母屋のあった庭になりますので、カースペースがありません。
建築確認を取得する為に必要な接道用件は、写メで撮影した前面道路からの接道になりますから、当然、正面の間知石ブロックと、その上にあるブロックを解体する必要があります。
そして大量に現状の地盤を掘削しますので、残土処分の量も大量になります。
でも、これだけであれば、まぁまだ良いのかなって思う節もありますよね。
例えばどうしてもこの土地に思い入れがあったりして、どうしてもこの土地を購入したい。
そんな場合であれば、理解した上で購入が出来ると思うんです。
でもお勧め出来ない理由としまして、私が気になったのは、こっちの部分なんです。
元々は庭だった事もありますので、おそらく南面になるのでしょうけど、南面だけはガッつりと敷地と隣地に高低差があります。
ざっと目検討で3.5m位はあるでしょうね。
これ、なにがよろしくないかって言うと、土留めの造り方がよろしくありません。
一般的にこの様な擁壁の事を二段擁壁とか言ったりします。
擁壁って呼ばれてはいるけれども、擁壁ほどの強度はおそらく無いかと思われます。
上部の間知石ブロック自体は、多少のガタはあったとして問題無いのかもしれませんけど、その下がよろしくありません。
なんだかうっすらと、横に、縦に目地の様なモノが確認出来ます。
それとなんだか海が荒れた時の様に、うっすらと斜めに曲がった線が見えますよね?
これを見る限りですと、おそらく資材不足の頃に造られたモノって感じに見えます。
通常、このサイズの擁壁を造る場合、型枠のサイズは小さいモノでも1820×910のサイズが適正です。
1820×910が、どの程度のサイズかって言うと、畳一枚分ね。
でも、これはおそらく三分の一のサイズの型枠で抑えているみたい。
なので横に、縦に、無数の跡が付いている訳なんですけど、それはまだ良しとしたとします。
問題になるのが、コンクリートを打設した際に、ミキサー車の一台目で入れたコンクリートと、二台目に入れたミキサー車のコンクリートの間に時間が経ちすぎてしまっています。
通常、コンクリートの打ち込みには規定の時間があります。
なので、現場では、時間との戦いになるのが一般的。
この波模様になっている部分は、一台目と二台目のコンクリートを打ち込むのに、間があったのでしょう。
これが出てしまうと、強度的にも問題があります。
これでは一枚の擁壁とは言えず、打ち継ぎした部分から水が混入すれば、内部の鉄筋も腐食します。
普通なら、こういった打ち継ぎを出したくないので、現場での段取りは時間との戦い。
今ではバイブレーターなどでガンガン撹拌出来るけど、当時はまだバイブレーターも無いので型枠を叩きながらの打ち込み作業だったかと思うんです。
でもその結果がこれ。
これでは強度的にも安心は出来ないですし、ジャンカもひどい。。
これも相当よろしく無いんです。
私のライダーキックによって、ぽろりとこぼれた石もありました•••
通常、こういったジャンカが出てしまう時には、やはり補修を行います。
でも、時代のモラルがそうさせたのか、今ではこんな仕事は通用しないのが一般的。
仮にこの様なジャンカを造ってしまったら、必ずすぐに補修を行います。
いわゆるコンクリートの打ち込み不良なんですよね。
これをそのまんまにしておけば、当然水もしみ込みますし、水がしみ込めば内部の鉄筋も腐食する事でしょう。
なので普通であれば、ジャンカの浮いてしまった部分をこそぎ落として、新たにモルタルで補修を行います。
当然モルタルも剥がれない様に、下塗りは必須になります。
これらを見てみると、初めて家を建てる方にとって、買いやすい物件か、それとも否かって言えば。。
当然、否になります。
だって考えてみて下さい。
この土地を買うと言う事は、この土地がクライアントさんにとっての資産になる訳でしょ?!
資産になると思って、住宅ローン組みつつ、必死になって支払ったとしましょう。
でも、後から負の資産だった事に気づいた瞬間、おそらくご主人や奥様は、相当モチベーションが下がる事になるかと思います。
これ、仮に造り替えたとすると、きちんと工作物の申請を行った上で、藤沢市型の擁壁の造りを行わなくてはなりません。
公共工事並みの擁壁を造る形になるので、当然工事費用は高い訳です。
でも造り変えるなら、それなりに資産となるでしょうね。
造り変えないで、家を建てる場合は、この土地の場合、地盤改良工事が必要になります。
この地盤改良工事がまたネックでして、もしかするとこの敷地で、この土留めであった場合、割と高めの地盤改良工事が必要になってくると思います。
リーズナブルな地盤改良工事もあるんだけれども、その分、改良杭の穴を造る際に発生する、土圧に土留めが耐えられないかもしれません。
なので土圧をあんまり掛けなくても、打ち込み事の出来る地盤改良工事が必要です。
この規模ならおそらく100万円は超えてくる改良工事代金になるかもしれませんね。
それに私がこの土地を負の遺産と言いたい理由は、まだあります。
地盤改良工事を行うってことは、将来的に更地で土地を売るって事になった場合、その改良工事杭は、引き抜く必要があります。
建物付きで売るなら、引き抜く必要はありませんけど、更地で売るなら地中埋設物扱いになりますので、必ず抜く必要があるんです。
深めに打ちこんだ基礎なども、その対象となります。
つまりは、そんな事しているだけで、とてつもない費用がかかる土地ですし、初めての家造りで、そこまでリスクを抱える必要は無いんじゃないかなって思うのです。
こういった古い土留めは、品質もおそらく資材不足の時代でしょうから、たいした良材を用いて造っている訳ではないと思います。
施行品質もおそらく同じ事が言えるでしょう。
そして地盤改良工事は必須と来てますから。。。
『こんな土地、勧める不動産会社の人の神経を疑いたい!』
って意見ですかね•••
しかもお隣が売り主って事は、後から高額な工事費が発生した時に、お隣に文句を言う訳にも行かないですからねぇ•••
住む前から、隣人トラブルなんて、相当最悪だと思います。
ま〜、私は不動産会社上等の人なので、別に業者の方に、なに言われても良いんです。
不動産会社の方にお仕事を頂いている訳でも無いですし、基本悪徳不動産会社は敵だと思っていますので。
もうちょっと『ちょっくらまじめに誠実な仕事しろ!』って感じですかね。
とまぁ、今回はA山さんのご友人との事でしたので、すぐに現地に伺いました。
このレベルだと、おそらく上下水道も未引込みでしょうしね。
いや〜、色んな土地がありますけれども、この土地に関して言えば、怖いこわい••って感じでしたよ〜