愛犬と暮らす家は滑らない床やフローリングだけで良いですか?ペットのプロが選ぶ床材をご紹介します。
愛犬と共に、安心して日々の暮らしを過ごしたい。
家を新築される方で、愛犬と一緒に暮らす多くの方に相談を受ける機会が多々あります。
ほとんどの方のお話を聞いてみると
「床のフローリングが滑って、犬が脱臼や骨折するのが心配なんです」
この様に必ず心配されているのは、床のフローリングが滑ることによる関節病対策です。
人間が良くても、愛犬が滑って関節病になるのは嫌ですよね。
今回は家を新築される場合で、愛犬と共に暮らす滑らない床の素材選び。
ペットのプロであるペットシッターやブリーダーの家を設計して、新築の家を建てている中尾建築工房が愛犬と暮らす家で気をつけるポイントをご説明いたします。
Contents
1.なぜ合板フローリングは滑るのか?
フローリングの中で最もポピュラーとされているのが、合板のフローリングです。
ハウスメーカーの家や分譲住宅、賃貸住宅に採用される事が多い床材です。
採用される理由としては、とにかくリーズナブルに施工が出来る点に限るでしょう。
リーズナブルな事は良いのですが、常にフローリングメーカーはメンテナンスフリーを目指しています。
年々、高耐久性能の向上に努めてますので、さらなる滑りやすさや光沢重視に作られています。
合板フローリングは、ペットと室内で暮らす事を想定してはいません。
犬が暮らす家としては、最も滑って怪我をするリスクの高い床材と言えるでしょう。
愛犬と共に暮らす家を新築するのであれば、選択するのを躊躇してしまう床だと思います。
この他、愛犬と暮らす家にとってふさわしい床は無いのでしょうか?
2.合板フローリングの床で愛犬が滑らない様にする方法
合板フローリングだからと言って、犬が滑らない対策が出来ない訳ではありません。
- マット敷き
- コルク敷き
- コーティング
これらの方法があります。
それぞれメリットとデメリットを見ていきましょう。
■マット敷き
●メリット
- ホームセンターで気軽に買える
- 汚れたら、そこだけ敷き変える
●デメリット
- 敷くだけなので、マットが一枚単位でずれる場合がある
- 枚数が多ければ、敷くだけでも大変な作業になる
■コルク敷き
●メリット
- クッション性があり、滑らない
- 抜け毛が絡まない
- コルクの交換が容易に出来る
●デメリット
- 犬が掘ったらボロボロになる
- おしっこや唾液が染み込む
- 匂いがついたら落ちない
この様に、マット敷きもコルク敷きのいずれも同じ問題があります。
- ただ敷くだけなのか
- テープで接着するのか
- 糊付けでしっかりと固定をするのか
と言う問題もありそうです。
自分でも敷く事は出来そうですが、どちらも取り敢えず感は見受けられると思います。
この他、合板フローリングの上から、ペットが滑らないフローリング専用のコーティング材を塗布する方法があります。
■コーティング
●メリット
- とにかく滑らなくなる
- ワックス掛けが要らなくなる
- おしっこを漏らしてもシミにならず拭き取れる
- 部分補修が出来る
- 耐久性が高い
- モノによっては20年の保証が付く
●デメリット
- 施工費用が高い
- フローリングの下地がぶかぶかの場合は施工不可
- ビニル床の上は施工不可
- 階段は下地によっては施工不可
初期投資は掛かるのですが、後々手間暇が掛からない様にも思えます。
お手入れが要らない点では、コーティングのコストパフォーマンスは高い様に思えます。
3.無垢フローリングの床で愛犬が滑らない様にする方法
無垢のフローリングなら、犬は滑らなくなるのでしょうか?
無垢のフローリングは、ざっと2種類に分類されます。
- 広葉樹の無垢フローリング
- 針葉樹の無垢フローリング
広葉樹の無垢フローリングは、表面が硬い素材が多いです。
針葉樹のフローリングは、表面が柔らかい質感を感じ取れます。
■広葉樹のフローリング
●メリット
- 表面が硬いので、傷が付き難い
- 自然な素材なので、舐めても安心
- 犬が掘っても削れない
●デメリット
- 素材が硬いので、犬にとっては足への負担が掛かる
- 走り回って転んだ場合、素材が硬いので関節病になりやすい
- 滑りやすい
■針葉樹のフローリング
●メリット
- 表面が柔かいので、傷が付くとより滑り難くなる
- 自然な素材なので、舐めても安心
- 肉球から出る脂を吸収する
●デメリット
- 傷が付きやすい
- シミが付きやすい
- 犬が掘ったらボロボロになりやすい
この様にどちらもシミにはなりますし、汚れも付着しやすいです。
広葉樹も針葉樹も硬いか、柔らかいかの差でしかありません。
強いて言えば、針葉樹の無垢フローリングは傷が付く事によってなじみ易いと思います。
人と犬と家の経年変化が楽しめるのであれば良いのですが、とにかく新築のイメージを持ちたい方には無垢フローリングは不向きだと思います。
参考までにですが私の会社でお引渡しをしている愛犬家の方たちは、無垢のフローリングをお選びになられます。
どちらかと言えば、針葉樹の杉無垢フローリングを選択されている場合が多いです。
皆さん誰もが、人と犬と家の経年変化が楽しみ、なじむ事を心がけているそうです。
でも、無垢のフローリングに嘔吐等の汚れがついたらどうしよう・・・
そんなお声もあるでしょう。
そんな時は家庭にあるモノで、嘔吐の汚れを消す方法があるんです。
4.ペットのプロが選ぶ最適な床材とは?!
ここまで合板のフローリングと、無垢のフローリングについてご説明をさせて頂きました。
建築のプロである中尾建築工房は、様々な床材やフローリング材を採用して来ました。
また冒頭に記載させていただいた通り、ペットシッターさんやブリーダーさんの家も携わらせて頂いております。
ペットのプロが選んでいる、最適な床とは?
答えは、ビニル床シートです。
ビニル床シートにも、様々な種類があります。
- 単層ビニル床シート
- 複層ビニル床シート
- 発泡複層床シート
- フロテックス床シート
これらすべてのビニル床シートが望ましい訳ではありません。
それぞれ特徴を説明させて頂きます。
■単層ビニル床シート
単層無垢(塩ビ)である事から歩行や重歩行に対して耐久性が高く、耐摩耗性に優れたビニル床シートです。
単層無垢なので表面が硬い事から、指で押しても凹みません。
表面の仕上げも劣化しにくいですが、犬にとってはツルツルの仕上げが多いのでNGとなります。
■複層ビニル床シート特にオススメ
単層に比べて複層なので、クッション性があります。
表面仕上げのテクスチャーが凸凹しているデザインが多いので、犬はとっても歩きやすいですし滑りません。
耐久性に関しても文句の付けようがありません。
シミも付きませんし、お掃除も楽に出来ます。
飼い主にとって、最も安心出来る床だと言えます。
■発泡複層床シート次にオススメ
複層に発泡を入れる事で、さらにクッション性があります。
ただし複層に比べて滑りにくいかと言えば、そうではありません。
複層の様に凹凸があれば良いのですが、あまりそこまでのテクスチャーはありません。
■フロテックス床シート
カーペットと硬質床の両方の良さを持つ床シートです。
表面の仕上げはカーペットなので、犬の歩行には問題ありません
水洗いが可能ですが、抜けた毛がついた時の掃除が困難とも言えます。
あまりお手軽に採用出来るモノではありません。
どのビニル床シートも犬用ではありません。
滑りにくい観点から表面にテクスチャーのある、複層ビニル床シートをお勧めさせて頂いております。
これらのシートは医療・福祉・介護施設、文教施設、公共施設などの居室、廊下、教室、トイレなどに採用されている素材です。
耐久性の高い表層と発泡層の二層を組み合わせて作られているので、衝撃に対する吸収性がとても高い床材です。
ペットシッターさんやブリーダーさんの家は、床材について何度も打ち合わせをして来ています。
若い時ならまだしも、老犬になればどうしても粗相は付き物です。
ですから結局お選びになるのは、意匠性と安全性の高い複層ビニル床シートです。
5.まとめ
この他にも住宅用で採用されているクッションフロアにも、ペット対応の様な商品はあります。
価格的にはリーズナブルなのですが、手で実際に触れてみると耐久性の面で不安が残ります。
どんなペットでも対応出来るブリーダーさんや、ペットシッターさんには不向きなので今回は割愛させて頂きました。
どの床を選ぶにしても犬種の問題もありますし、一頭なのか多頭数なのかによっても変わってくると思います。
今回は愛犬が滑らない床と言う事でご紹介をしましたが、ペットと住む家には匂いの問題もあるかと思います。
天井や壁面に消臭効果のある珪藻土も組み合わせると、室内がさらに心地良い空間になりますのでオススメですよ。
ぜひ愛犬のためにも、ご参考になさって頂ければ幸いです。