横須賀市野比『女性建築家の建てる家』軒の出無しの正しい造り方
中尾建築工房から割りと近いエリアに建築中の横須賀市野比『女性建築家の建てる家』
そろそろ外壁の左官下地が始まりまして、アスファルトルーフィングやラス網の施工段階に入ってまいりました。
現場の棟梁にリフォーム現場の段取り打ち合わせがありまして行く事にしたのですが、こちらのお宅は一般的なお宅と違って屋根の軒先が無い家になります。
湘南方面だと割りと軒先の無い家が多いかと思うんですけど、造り手の私達としてはちょっと心配な部分があったりするんです。
そもそも軒と言うのは建物よりも外に出っ張らせて造るモノになるのですが、何故に軒を出っ張らせるのか?
これは雨除けになると言う理由もありますし、屋根と言うのは軒先廻りから傷んでいくんですよね。
仮に軒先が50センチ程度建物より跳ね出していて、何十年も経過した頃には屋根の中でも棟や軒先が傷んでいたりします。
そんな時には棟や軒先廻りの屋根下地をリフォームの際に貼り替えたりするのが一般的。
これは私が大工の棟梁をしていた頃、かなりのリフォーム現場に携わりましたので良く分かるのですが、雨が侵入したケースもあれば、結露による場合も割と多いのです。
で、この結露水がどこかに貯まらず、流れていく分にはなにも問題が無いのですが、やはり抜けない結露水って言うのもあったりします。
そうするとまずは水が腐り始めます。
水が腐ると木造住宅の場合、木部になる野地板(のじいた)や垂木(たるき)、破風板(はふいた)、軒天(のきてん)等が腐った水によって腐朽菌に侵食されていきます。
侵食された木部は当然強度が無くなってしまいますから、屋根が弛んだりする原因になりますね。
ただ、通常の建物の様に、軒が建物よりも飛び出ているならなんの問題も無いんです。
では今回の様に軒の無い家になるとどうなるか。
もう直接、軒桁、棟木がやられてしまいますから、それはもう建物の瑕疵になってしまいます。
それでも意匠的にはその様なデザインにしたい場合、さぁどうすっか!
えぇ、ちゃんと考えて施工してますよ。
ただ出来ないって言うのではなくて、出来ますけれども、こ〜んな感じで造った方が良いですよーとご説明を差し上げております。
胴縁と縦に書かれている所は通気出来る層になっておりまして、外壁内部に空気が流れていきます。
そして一度は上まで透湿防風シートを張った後にFRP防水専用の下地を造りまして、その上にFRP防水を施して行きます。
そしてその上にザラ板を打ち付けて行き、外壁の防水になるアスファルトルーフィングを貼り付けて外壁を塗ります。
一般的には屋根にFRP防水なんて・・・と思われる工務店さん多いと思われますけど、この様に軒無しの家に限っては間違いなくやった方が良いです。
分譲住宅屋さんとかの場合は、こんな感じで作ってますよね。
これだと防水も無いですし、通気層も無い。。
赤い文字でこの辺が痛んでいくと書き込みましたけど、これなんだか分かる人〜
建物って言うのは、角が一番熱の影響を受けるから!
建築の中で熱橋(ねつきょう)って言葉があるんですけど、建物の柱や梁の部分の事を言ったりします。
普通の壁は壁があるだけの平面だけど、柱は4面ありますでしょ?
だから熱を特に受ける訳。
さらにそれが外壁の角の様に一面+一面=面が二面あると、さらに熱橋の影響が出るんですね。
良くマンションの北の角部屋は、超〜寒いって事聞いたり、カビが生えたりするなんて聞いた事ありませんか?
それ、熱橋の影響です。
中尾建築工房の建物は木造が多いので、空気層を設けて熱の影響を受けにくい状態にする。
そして結露水が発生したとしても、FRP防水で浸透させない様にする。
ま、こんな感じで色々と考えて施工させて頂いているんです。
特に海前なんつ〜のは、夏場も冬場も昼と夜の温度差が全然違いますからね。
やはり建物はデザインのみ優先ではなく、こういった地味目な部分の造り込みも大事だと思います。
この家は屋根が棟違いと言う屋根になるのですが、屋根の部分は全ての面をこの様に造られている形になりまーす!
今日も東京湾下浦沖は、輝かしい海ですな・・
こちらのお宅ではフローリングにローズウッドの無垢フローリングを採用しています。
和名で言えば紫檀(したん)になりますね。
すでに全面貼り上げてありますけど、今は養生がなされてしまっているので見れません。
でも貼り上げられた後のビジュアルはこんな感じになりまーす!
結構、木材の色が深い色を出す木ですから、この画像よりも表情豊かな感じになる予定!
横須賀市野比『女性建築家の建てる家』
完成が楽しみな一邸宅ですね!