大工技世界頂上決戦|日本vsドイツ
先日、たまたまテレビを見てたら、こんな番組を放送していました。
大工技世界頂上決戦|日本vsドイツ
日本もドイツも、どちらも技術や素材に関してはこだわりのある国と言う印象が私の中にはあるのだけど。
ドイツ人のこだわり半端ねーと言うのは。
ドイツの天然素材で造った珪藻土の開発に私も絡んでいたので、良く知っている。
この大工技世界頂上決戦|日本vsドイツ。
番組的には、前半戦と後半戦に分かれているのですが。
前半戦は、角材に穴を開けるスピードを競っていました。
結果、日本の大工さんがぶっちぎりで勝利!
写メは撮れなかったのだけど、さすがだなぁと思う傾向。
どちらも電動工具は使わないで、あくまでも手工具のみの作業です。
そして写メを撮り出した後半戦。
勝負種目は継ぎ手強度対決。
この継手と言うのは、日本の大工で言う仕口(しくち)の中の1つでありまして。
既成品の木材は、たいていの場合3、4mにカットされているので、それを長手方向に木材を組み合わせる技術の事。
この継手対決と言う事になると、私が真っ先に思ったのは。
金輪継ぎだべな・・
と思いました。
案の定、日本最強の継手と呼ばれる金輪継ぎが登場!
対してドイツの継手は、シュロッス・ア・ラ・アクセルと呼ばれる継手方法。
金輪継ぎが勾配を取る事に対して、シュロッス・ア・ラ・アクセルは平らに継ぎます。
これ、とっても似ている工法だと思うのですが。
日本の大工は、なんだかんだと斜めが好きです。
仕口自体に勾配を用いる事がとっても多いですし、今でも耐力壁と言って。
斜めに筋交いを入れる事で、木造住宅の場合は強度を取ったりします。
材料は赤松材。
ヨーロッパでも、日本でも、赤松材は植林されている木材なのですが、かなり加工がしやすい木材になります。
実際に日本の市場で出回っているのは、欧州赤松材が多いので、国産赤松材の利用頻度は若干少ない。。
いずれにしても赤松材は、ノミ切れも良くて加工のしやすい木材である事に間違いはありません。
これが日本の金輪継ぎを再現したモノになります。
ちょっと木材の素生が良さ過ぎる・・・かな。。と思ったりもしたのですが。。
ちょっと画像では分かりにくいのですが、こちらがドイツの最強継手であるシュロッス・ア・ラ・アクセル。
ここで大きく違うのは、継手に対しての込め栓方法。
これ、私も驚いたのですが、日本の込め栓が縦方向に造るのに対して。
ドイツの方は、逆の発想で横方向の木目になる込め栓を造るました。
日本人は込め栓を叩き入れる際、込め栓が潰れない様にと木材の木目方向は全て縦と決まっています。
ところがドイツの方は真逆。
なるほどなー、確かに接合された際には。
全ての木目方向が揃う事になるので、これは確かに素晴らしい発想だなと思ったんです。
そして日本の金輪継ぎをプレス機に入れまして、力を掛けていきます。
木材の強度を法則で説明すると、専門家曰く9KNで破壊に至るはず。
との事でしたが、日本の金輪継ぎは10KNまで耐えました!
それに対して、ドイツのシュロッス・ア・ラ・アクセルは。。
なんと日本の10KNを大きく上回る13.7KNで破壊に至りました!
実に素晴らしい記録だと思います!!
私が見ていて思ったのは、仕口の強度もさる事ながら、木材自体の素生にもよると思いました。
あとはなんと言っても、ドイツの技術の柔軟さが。
この結果になったのでしょうね。
結論的には、前半戦は日本の勝利。
後半戦はドイツの勝利。
なので結果は。。
引き分けとなりました。
見ていて思ったのは。
日本の技術も素晴らしいですし。
ドイツの技術も大変素晴らしい。
だから甲乙付ける必要なんか、全然無くて。
こうゆう職人さん達と一緒に。
予算とか全然関係の無い、こだわった仕事がしたいな〜(笑)
なんて思った朝でした☆
ちなみに金輪継ぎは伝統工法の1つになりまして。
梁や柱のサイズが大きくなればなるほど。
マニアックな噛みあわせを造る事が出来る継手になりますが、今時は。
ほとんど使われる事の無い、継手の1つだったりします。
なんだか久しぶりに、ノミとげんのう、ノコギリを持ちだして。
金輪継ぎを造りたくなって来ちゃいました(笑)