平屋を新築で建てたい!失敗しないポイントをご紹介します
平屋建ての家に住みたいと言う方が増えています。
ゆったりとした敷地の中で、緑を眺めながら縁側で外の景色を楽しみたい。
動線をワンフロアにする事で、家事や移動を楽にしたい。
昔ながらの平屋に住みたい。
みなさんこの様な、理想のお話を話してくれます。
そんなリクエストにお応えするべく。
一級建築士事務所で特定建設業許可を有する中尾建築工房から、平屋のメリットとデメリットを交えながら解説させて頂きます。
1.平屋を建てる前に知っておく事
日本の家はかつて平屋建てばかりだったのに対して、昨今では2F建てや3F建ての住宅が多く建てられています。
首都圏の様に都心に近いエリアほど、敷地の坪単価は高くて、なんとか買える程度のサイズに小さく分割されて来ています。
私たちの住む神奈川県では都内に近い場所ほど、敷地の販売は3F建てを想定しての敷地設定にされています。
都内に近ければ人気もありますし、売り地が出ればすぐに売れます。
そんな土地事情から、昔に比べて平屋を建てる方は少なくなったと言えるでしょう。
地方では敷地のサイズは100坪なんて当たり前かもしれませんが、首都圏エリアの土地事情を考えるとなかなか手が出にくいの現状です。
また首都圏で平屋を建てられそうな敷地があったとしても。
プライバシーの観点も考えたいところですよね。
例えば、隣地の御宅も平屋であれば、さほど問題は無い様にも思えます。
ですが実際問題としては、2F建てや3F建ての家が周りに建っている事が想像出来ます。
この場合、上から覗き込まれてしまうプライバシーを防ぐ問題もあります。
では平屋を希望する方は、どうすれば満足の行く平屋を手に入れる事が出来るのでしょうか?
まずは平屋のメリットデメリットを見ていきましょう。
2.平屋のメリット
では、まず最初に平屋のメリットからご紹介をしていきます。
■機能性が高い
階段を持たないワンフロアになりますので、機能性はとても高いと言えます。
ワンフロアの例で言えばマンションも同じです。
ですがマンションと平屋では採光面を考えると、平屋の方が圧倒的に窓が多く付けられます。
■地震に強い
耐力壁の問題もありますが、2F建てや3F建てに比べて平屋建ての方が安定感があります。
建物が高くなればなるほど、揺れは振り子の様に大きくなります。
ある意味、平屋は災害に強い家ともいえるでしょう。
■階段が無い
子育て世代の家として、階段が無い事は大きなメリットと言えるでしょう。
小さい子供が居ても、階段に柵を設ける必要がありません。
「子供が階段から転落したらどうしよう・・・」
そんな心配をする事から解放されます。
■移動が楽
平屋は間取りのすべてがワンフロア。
食事を取るダイニング、ゆったりとくつろぐリビング、バスルームなどの設備、就寝する寝室も、すべてがワンフロアで完結するので移動がとっても楽になります。
■老後も安心
2F建てや3F建ての家に比べて、平屋は階段がありません。
怪我をするリスクも減ります。
ヘルパーさんに手伝ってもらう時にも、平屋の方が楽ですよね。
■メンテナンスコストが安い
積雪地帯の場合なら、とんがり屋根にするので話は別です。
平屋を建てるならゆったりとした屋根にする事で、屋根や外壁のメンテナンスコストは2F建てや3F建て比べて安くなります。
足場の必要も無くなりますし、すべて脚立と足場板、はしごでの作業が可能です。
この事からも平屋を建てるなら、メンテンスも考慮してゆったりとした勾配の少ない屋根にしましょう。
平屋はとてもメリットがありますね。
3.平屋のデメリット
それでは続けて平屋のデメリットも見てみましょう。
■平屋の家は2F建てに比べて高くなる
同じ延べ床面積30坪の平屋と、2階建てがあったと想像してみてください。
平屋の方はワンフロアで建てられますから30坪の家になります。
2階建ての方は建築面積15坪で、1F15坪、2F15坪=30坪の家になります。
2つの30坪の家を上から見た分には、平屋の方が大きいのがお分かりになるでしょうか?
- 平屋は屋根も30坪の大きな屋根が必要
- 平屋は基礎も30坪分の大きな基礎が必要
2階建ての方は15坪の1F面積に、15坪の2F面積乗せるだけです。
- 2階建ては屋根の大きさは、15坪分のみ
- 2階建ては基礎の大きさは、15坪分のみ
この事からも2F建てと比較をして、平屋のコストが高くなると言えます。
■部屋数を増やすには広い敷地が必要
4つの部屋がほしい場合、2階建てなら1階と2階にわけて部屋を作ることができます。
しかし、平屋の場合は同じフロアに部屋を作るため、その分だけ広い敷地が必要です。
土地が余っていて安い地域であるなら、ゆったりとした造りの平屋も可能ですが、土地代の高い都心の場合は土地の購入も難しくなってくるでしょう。
■プライバシーの確保がしづらい
昔の平屋間取りは、それぞれのスペースに二重の役割を持たせる事が多いです。
居間で食事を取り、居間で就寝する。
この様にする事で必要以上の部屋数を持たない平屋が多いのですが、これは家族のコミュニケーションが取りやすいことがありました。
その反面で個のプライバシーを確保する事が難しいのも平屋の特徴です。
敷地がとても広くて部屋数が取れるなら問題もありませんが、なかなか現実的ではありません。
■陽当りの確保が難しい
間取りの要望すべてを詰め込み過ぎると、陽当たりに注意をする事が必要です。
間取り上で独立した部屋を真ん中に配置すると、採光通風が取りにくい場合があります。
細長い形状の建物であれば、どの部屋にも窓を設けられて採光も通風も確保出来ます。
建物中心部が他の部屋に囲まれてしまう形状の場合、採光と通風に配慮する必要性があります。
敷地のスペースにゆとりがある場合なら、回廊型の間取りにする事で中庭ゾーンからの採光や通風の確保が出来ます。
トップライトも採光面では有効ですが、急な雨降りの締め忘れに注意する必要もあります。
■防犯のうえでは不安
平屋に開放感のある大きな窓をつける場合、プライバシーの確保に問題が出て来てしまいます。
それを隠すために塀などを建てれば、泥棒の隠れ蓑にもなりますので、防犯面でも注意が必要です。
プライバシーの確保をしつつ、防犯性能も確保するためには。
- 平屋外側の窓は、侵入しにくい高窓で侵入を防ぐ
- 回廊型の中庭を設置して、大きな開放感のある窓を取り付ける
- 大きな窓上には覗き込まれ防止対策として、庇を取り付ける
こうする事で防犯面も、プライバシー面のどちらも対策が可能となります。
いかがでしょうか?
意外にもメリットも多ければ、聞いてみないと分からないデメリットがあるのもお分かりになるかと思います。
4.理想の平屋にたどり着く為に必要な事
平屋のメリットやデメリットをご覧頂きました。
この様に見てみると平屋を建てる為には、コスト面も割高になりますし、敷地の大きさも広めにある事が理想です。
さほど無い敷地の中に、無理やりプランを詰め込みすぎるのも問題です。
平屋を希望される方の多くは、単身の方かご夫婦二人の方がとても多い様に思います。
家族の人数が少なければ、それぞれのスペースに役割を持たせても良いかと思います。
家族は多ければ多いほど、部屋の数を多くする事が普通の対応になるのでしょうが。
地方であれば可能でも。
首都圏エリアの土地事情を考えると、やはり現実的では無い様に思えます。
それでも平屋をあきらめない。
そんな方はこの先のポイントも考えてみてください。
■立地も譲れず、平屋も譲れない場合
かつての日本の家と同じ様に、それぞれのスペースに二重の役割を持たせる事もお勧めです。
そうすると事で家族のコミニケーションも当たり前の様に取れます。
4人家族以上で平屋を希望されるのであれば、是非このあたりもプランニングに生かして頂ければと思います。
■立地は譲れる場合
広くてゆったりとした敷地が買えるエリアを検討しましょう。
敷地にゆとりがあれば平屋建てでも、外部からの視線などは気にならなくなります。
■立地も譲れず、平屋も譲れず、二重の役割は嫌な場合
決して建てれない訳では無いですが、販売されている敷地を2〜3、3〜4宅地ほど多く買う事で可能でしょう。
ただしかなりのお金が出て行く事になりますので、ファイナンシャルプランナーに相談する事も大切です。
平屋を検討する方は、立地と平屋のどちらが優先かを検討する事が大切ですね。
平屋の家を建てるか、2F建ての家を建てるかで検討している方も見かけます。
家を建てる最初の予算を守りたいなら、2F建ての家を選ぶ方が多いです。
ですが建てた家に何年住まわれるでしょうか?
最初は初期投資に費用がかかるかもしれません。
屋根や基礎のコストアップで、ざっとですが+150万円だっとしましょう。
中庭を作れば窓も多めに付けたり、外壁面積がざっくり増えたりで、ざっと+200万円だっとしましょう。
建てた家に40年暮らすと考えた場合
平屋は外壁が2F建てに比べて少ないです。
外壁塗装を三回塗ったとしても−50万円×3回=150万円コストダウン出来ます。
こう考えると平屋が高いか安いかは。
あなたの平屋好き度合いにも、よるのでは無いかと思います。
5.まとめ
平屋はこの様に、バーカウンターを付けて建てるこだわりの平屋もあります。
いろんな平屋がありますよね?
いかがだったでしょうか?
少子高齢化が進んでいる中、少しずつではありますが平屋を希望される声が増えて来ています。
今はまだ主流とまでは行きませんが、10数年後にはさらにニーズも増えてくると思います。
敷地の広さや採光の確保さえ出来れば、平屋は贅沢でもあり機能性の高い日本の家です。
いずれにしてもあなたが平屋の家で、どの様なライフスタイルを手に入れて
どの様な将来を想像出来るのか?
ここがとっても重要です。
まずは平屋のメリットとデメリットを考慮しながら。
ぜひ平屋ライフを満喫する為にも、最良の平屋を手に入れてください。
平屋と相性の良い、無垢材や自然な素材もオススメですよ。