私が中尾建築工房を造った訳
これから家造りをされる方に、ある事を聞かれました。
『中尾さんはなんで下請け大工さんから設計事務所+工務店を開業したんですか?』
あ〜、なるほど。
みなさんこういった事を思ったりするんだ〜なんて思いました。
聞かれた方には直接答えているのですが、実はこんな訳です。
私は29歳で大工棟梁として独立しました。
当時はとにかく仕事が忙しく、あちこちから仕事の依頼があったんです。
主に職人さんが口コミをしてくれるんですね。
あの大工さん良いよって。
でも、その仕事を依頼してくれる方達は一般のユーザーさんではなくて、不動産屋さんや建設会社さんだったんです。
最初の頃は『うわ〜、すっごい仕事量だ〜!』なんて思っていました。
でもある事がひっかかっていたんです。
結局は下請け大工の棟梁。
どれだけ良い仕事が出来ても『なぜこういった形の図面になっているのか?』とか『もっとこうすれば良いのに、なんでこんな形の図面になってしまうんだろう・・コストなんて大差ないのに・・』って思っていたんですね。
でもそんな事を元請けさんに提案してみても『そんなのめんどくさいからやらなくて良いよ』とか『そこまでする事ないんじゃない?』とか。。
言ってみると、下請け故に施主と直接打ち合わせは出来ない。。
でも引き渡しを終えたほとんどの方は『本当はこうしたかったのに、提案されなかったから出来なかった・・』って言う施主の方がとても多かったんです。
なんて言うか、造っていても張り合いないって言うか、それを聞いていればもっとこういう風に出来たのに・・・なんて思っていたんです。
だから大工棟梁として良い仕事が出来ても、自身の技術をどれだけ磨いても、何の為に造っているのかが分からないと駄目だと思ったんですね。
施主がなんのために家を建てて、何の為にこういった造りを希望されているのか。。
こういった仕事を出来る様にしたくて、設計事務所+工務店として動き出す決意をしたんです。
そしてその決意を固めるある悪習も学びました。
それはまた次回に。
私が中尾建築工房を造った訳2へ続く