建て替えか?それともリフォームリノベーションか?
建て替えで家の新築する方もいれば、古くなった家のリフォームやリノベーションを検討される方が居らっしゃいます。
そもそも、建て替えやリフォーム、リノベーションを検討する理由は何でしょうか?
- 使いにくさを改善したい
- 設備が古くなった
- 高齢になり、使い勝手が悪くなった。
- ライフスタイルが変わった
- 息子(娘)夫婦と同居する事になった
こんな理由がある様です。
この他にもリフォームや、リノベーションを考え始める理由は多々あるかと思います。
建て替えか
それともリフォームやリノベーションか
中尾建築工房は代表者が元大工
実際に自らの手で現場を触り、ありとあらゆるリフォームやリノベーションをして来た経験があります。
リフォームやリノベーションの情報は、ネット上にたくさんありますので。
元大工として業界の誰もが多く語らない、リフォームやリノベーションに向いている家の特徴についてご説明させて頂きます。
Contents
1.立派な住宅にも弱点があった
地方や半島の家に多いのですが、地元の大工さんに依頼をして
何十年も前に建てられた立派な住宅があります。
柱は立派なヒノキの4寸角
土台にはクリの4寸角
梁には杉の太鼓梁や、大黒柱にはヒノキの1尺角
見るばみるほど大工であれば、誰もが手に取りたくなる素材ばかりです。
屋根も入母屋造りや、合掌造りが目立ちます。
立派な瓦を乗せ、重厚感すら感じる佇まいの家々です。
パッと見るだけでは、贅沢な造りだけが目立ちます。
この様な住宅の場合でも、リフォームやリノベーションを依頼される理由は
- 間取りがとっても使いにくい
- 設備が古過ぎる
- 夏は暑く冬は寒い
などが聞かれます。
昔の住宅は動線優先ではなく、無駄な材料を使わず建てられた家が多いのです。
贅沢な材料ばかりですので、部材を必要以上使わない為にも。
制限された間取りばかりが多かったのです。
木材に関しては良いモノを選んでも、間取りや設備は軽視される傾向が強かったので。
すべての無垢材の呼吸を妨げない為にも、断熱性すら軽視される傾向がありました。
つまり無垢の木に関しては素晴らしい材料ばかりでしたが、それ以外は軽視されている建物が非常に多いのです。
見た目は立派でも住む人の使いやすさや、予算のバランス配分を考慮していない造りとも言えるでしょう。
この様な住宅は構造体がしっかりとした住宅ですから、リフォームやリノベーションが出来ると思いがちですが。
実はこれらの住宅で依頼される事が多いリフォームは、屋根や外壁からの雨漏り修理です。
なぜ立派な住宅なのにも関わらず、雨が漏ってしまうのか?
実はこの原因、地盤の良し悪しにありました。
2.リフォーム・リノベーションを選ぶなら、地盤を軽視してはいけない
様々な家を見て来た私が思うのは、まずは構造体よりも地盤が果たして強いかどうかを見ます。
ただでさえ立派な造りの住宅は、とても重量があります。
そもそも建物を支えうる地耐力があるか?
と言う問題が一つのポイントになります。
今でこそ新築の家を建てる時には、地盤の調査を必ず行います。
ですが昔は地盤調査の必要が無かった。
これが最大の原因です。
地盤調査がほぼ義務となったのは、今からさかのぼる事12〜3年前の一昔前からです。
それ以前に建てられた家は、地盤調査が義務ではありませんでした。
地盤の調査をする事なく建てられた家は、当然荷重の掛かる部分もあれば荷重がさほど掛からない部分もあります。
荷重が掛かれば掛かる場所ほど、地盤が弱ければ沈下を起こします。
構造体が部分的に沈下する事で、水平を保つ事は出来なくなります。
その歪みによって、屋根や外壁から雨漏りが生じる事に繋がります。
逆に地盤が安定していれば、屋根や外壁からの雨漏りは起こりにくくなります。
3.リフォーム・リノベーションを選ぶなら、基礎の状態を知る。
実際にリフォーム会社に相談をすれば、軽視されているのが住宅の基礎部分です。
「ここは地盤が固いから、大丈夫でしょう」
そんな事を言われて、リフォームを選択されている方も居るでしょう。
ここで建築の基準について、振り返ってみたいと思います。
新耐震基準(1981年施行)以前の住宅では、基礎は無筋コンクリートが当たり前の様でした。
基礎の形式も、今時の様なベタ基礎では無く独立基礎です。
基準通りに守られている家は良いのですが、1 9 9 0 年代初め頃までの既存木造住宅の布基礎の多くは無筋コンクリート造です。
家の解体現場で良く目にするのが、無筋のコンクリート基礎。
鉄筋が入っているコンクリートに比べて、いとも簡単に壊れますし少しの衝撃で折れてしまいます。
昔の大工から伝わる言葉には、こんな言葉があります。
家は土台が最も大事
この土台とは構造体の土台の事を指すに見えますが、土台の下の基礎の事も含めています。
もっと言えば、さらに下の地盤も大事。
家は地盤と基礎、そして土台が最も大事と言う事です。
日本は地震大国でもある事から、その様な言い伝えが職人の中には根付いてます。
ですが実際問題、リフォームやリノベーションを検討するのは、新築後30年〜40年を経過した家ではないでしょうか?
この年代の多くは地盤調査もされておらず、多くの家が無筋コンクリート造の基礎です。
4.建て替えか、リフォーム・リノベーションか?
2018年に大阪で起きた震災では、ブロック塀の倒壊により尊い命が失われました。
築年数が古い住宅で、1981年(昭和56年)の新耐震基準導入前の家では倒壊も多く見受けられました。
倒壊する原因を見てみましょう
- 屋根が重たく、壁量不足
- 土台の蟻害、腐食があった
- 基礎の強度が足りない
- 耐力壁のバランスが悪い
こんな原因があります。
ここでも基礎の強度が足りてない事が、倒壊に至る原因の一つに上がっています。
さらに土台のシロアリ被害や、雨漏りによる腐食もあります。
永きに渡って家々を見て来た経験のある私は、たくさんのシロアリ被害や雨漏りによる腐食を見て来ました。
その様な状態になっている家に対して、リフォームやリノベーションの提案をする事は出来ません。
リフォームやリノベーションをするなら、家の状態をチェックしてからにしましょう
- 地盤は安定している地盤であるか?
- 基礎の外周を目視、床下に潜って基礎の状態を確認
- 土台や柱にシロアリや雨漏りによる腐食が無いか
これらがクリア出来ているのであれば、リフォームやリノベーションを行っても良いでしょう。
リフォームやリノベーションの提案を受ける前には、必須のチェックポイントです。
もしもこれらを一切見ず、提案をしてくる業者はあなたの財産を重視はしておりません。
自社と個人の利益のみを優先してますので、その様な業者は選ばない様にしましょう。
逆にこれらの条件をチェックしても、クリア出来ない場合があると思います。
そんな時は、無理してリフォームやリノベーションをするのはやめましょう。
後から高額な追加工事が出てしまう場合が多々あります。
チェック項目を確認して、不安が残る場合は建て替えをお勧めしています。
5.まとめ
赤ん坊が立ち歩きを始める頃って、足腰もしっかりしてないですからフラフラしてますよね?
人は育つ過程で筋力も付きますし、どんどん成長して行きます。
でも住宅は建築後、以降は経年劣化していくばかりです。
ですから
- 安定した地盤
- 構造をしっかりと支える基礎
- シロアリの虫害や、雨漏りによる腐食が無い
その上で丈夫な構造体であるなら、リフォームリノベーションは有効だと思います。
大きな地震が来ても、それに耐えうる丈夫さがなければ安心して住める家にはなりません。
これらがあって初めて、使い勝手の良い間取りや設備。
快適に暮らすための断熱性に、大切な資金を使うべきだと私は考えます。
いかがでしたでしょうか?
リフォーム会社の営業マンが絶対に教えてくれない、現場をよく知る大工の本音をまとめさせて頂きました。
大切な資金を無駄にしないためにも、建て替えなのか。
それともリフォーム、リノベーションなのか?
選択をする情報源として、ぜひ参考になさってください。
中尾建築工房は今後も一般の方にとって、縁の下の力持ちとして建築に関わる様々な情報を提供したいと思います。