カビに悩まされる新築購入はNG!〜後悔しない家づくりをご紹介します。
家を新築して、カビに悩まされている方から相談を受ける事があります。
古い家ならまだしも、35年のローンを背負った新築なのに、手に入れた住まいがカビだらけ・・・
これでは泣くに泣けませんし、後悔してもキリがありません。
家の中で発生したカビは、ご自身やお子様の健康被害に繋がりますし、家具や衣類もダメにしてしまいます。
最悪の場合は家まで・・・
そこで自然素材の新築を設計施工している中尾建築工房から、カビだらけになってしまう新築購入を回避する、とても重要な知識をお伝えしたいと思います。
Contents
1.新築なのにカビが発生する原因とは?
家の中にカビが生える原因は、古い家でも新築でも同じです。
でも気分的には古い家ならカビも仕方がないけど、新しい新築の家にカビが出るのはとてもショックですよね。
少しの違いを説明すると、昔の家に比べて窓や断熱の強化がされているところでしょう。
窓や断熱が強化されているのに、なぜ新築の家にカビが生えるのでしょうか?
まずはカビが繁殖する為に、必要な条件から解説したいと思います。
■新築の家でカビが繁殖する為に必要な条件
- 栄養分
- 酸素
- 温度
- 水分が多い
●栄養分
カビにとっての栄養分が家の中には沢山あります。
壁紙の接着に使われているでんぷん糊も、カビにとっては格好の栄養となります。
木材や合板もカビにとっては好物です。
これらすべての栄養源を絶つのは、不可能に近いでしょう。
●酸素
カビも呼吸が出来ないと活動が出来ません。
ですが人間も呼吸が出来ないと死んでしまいますので、酸素を無くす事は考えられません。
仮に酸素を無くしたとしても、カビの胞子は死滅しません。
活動が止まっているだけで、酸素を与えれば活動を再開します。
ある意味でカビは人間よりも強い生命力を持っていると言えるでしょう。
●温度
カビが発生しやすい温度は0〜45度と言われています。
洗濯乾燥機などでは60度に設定されていると思います。
弱いカビならこれでも死滅させる事が出来ます。
カビには100度を超える高温で、長時間加熱しないと死滅しないカビもいます。
100度を超える温度では衣類なども痛みますので、やはりカビは強い耐久性を持っていると言えます。
●水分
水分はカビにとって必要なモノです。
水分が無いとカビは活性化する事が出来ません。
空気中に漂う湿気も、結露などで発生する結露水もこの中に含まれます。
これらの条件が揃うと、古い家でも新築の家でもカビが発生します。
こうしてみると掃除するだけでも、カビの栄養源を減らす事は出来ない事が分かりますね。
酸素も人が生活する上では必要ですし、温度も寒すぎたり、熱すぎたりでは人が暮らす事が出来ません。
では、どうしたらカビの活性を抑える事が出来るかと言えば。
水分
空気中の水分や、結露による結露水は、やり方次第で抑える事が出来そうです。
2.空気中の水分を抑える為には?
空気中の水分にはどの様なケースがあるでしょうか?
■空気中の水分
- 湿気
- 結露による水
主にこの二つになります。
■湿気
湿気は空気中にある湿った空気です。
湿った空間はカビが増殖する格好の条件になりますし、ジメジメしていて居心地が良いとは言えません。
湿気がこもりやすい家ではフローリングの上を、靴下を履いて歩けば足跡がついてしまいます。
空気中に湿気がある事で、壁紙なども糊の成分が効かなくなり、壁紙が剥がれてしまう現象を起こします。
■結露
外気と内気の温度差があるときに発生する水滴の事です。
グラスの中には冷たい水、室内は湿気のある暖かい部屋の中だとします。
この温度差により、グラスの外回りに水滴が発生するのが結露です。
この水分をなんとかしないと、家はカビの温床になり兼ねません。
ここで考えなければならないのは、新築の家にはカビや湿気の対策を、最初から考えて作られているのでしょうか?
実はそこまで考えられている訳では無いと思います。
ハウスメーカーの家は全国展開する仕様の他、寒冷地仕様と言う建物があります。
特に風土を考慮して住宅を販売している訳ではなく、寒冷地以外はほとんど共通の仕様で建てられています。
湿気の対策やカビの対策を相談すれば「換気扇を回してください」の一言で終わってしまうでしょう。
3. 24時間換気で湿気は排出出来るのか?
びっしょりな窓の結露は、本当に嫌なものですよね。
毎日これを拭き続ける生活なんて、とてもじゃありませんが大変な労力です。
小さいお子さんを育てながら、窓拭き、枠拭きなんてやってる暇も無いと思います。
今時の家はほとんどがペアガラスを採用していて、窓ガラスの結露はほとんど無いと思います。
しかしそれだけでは、カビの活性を高める水分を無くす事は出来ません。
実は住宅には建築基準法で決められた、24時間換気と言う換気方法があります。
■24時間換気とは?!
平成15年以降に建築されている家では、シックハウス症候群の対策として、建築基準法により24時間換気が義務付けられています。
各居室に給気口を設置して、浴室やトイレの換気扇から強制的に空気を外に出し、新鮮な空気を室内に取り入れる事です。
空気の流れを良くする為に、室内のドアは10mm程度の隙間を開けて取り付けがなされています。
この隙間がある事によって、空気を換気扇で引っ張るのが24時間換気です。
ほとんどのハウスメーカーが、カビや湿気対策の相談をすると、この「換気をしてください」と言われておしまいです。
ですがこの換気は、カビや湿気対策に100%有効とは言われてません。
やらないよりは良いのでしょうが、根本的な解決に至る事は無いでしょう。
そもそも換気について住宅では、一番リーズナブルな換気方法を採用していています。
換気の種類についても、ここでチェックをしてみましょう。
■24時間換気の換気方法は第三種換気
換気には第一種、第二種、第三種と種類が分かれています。
- 第一種は給気と排気のどちらも機械で強制的に行う換気方法です。
- 第二種は排気を自然排気にして、給気を機械で構成的に行う換気方法です。
- 第三種は排気を換気扇で引っ張る事で、自然な空気を給気口から取り込む換気方法です。
主に住宅で採用されているのは第三種換気です。
ZEH住宅なら第一種換気を全熱交換型で採用する場合がありますが、これは極めて稀な例です。
換気にも色々と種類がありますが、そもそも住宅の換気は低いランニングコストで換気する第三種換気です。
夏は熱く、冬は冷たい自然な空気を、給気口から取り込んで、換気扇で換気をしています。
24時間換気は建築基準法で取り付けが義務化されてますし、常に換気を続ける事が前提になっています。
しかし24時間換気には、マイナス面もあります。
- 炎天下の夏=熱い自然な空気を給気口から取り込みます。
- 深々と冷えた真冬=冷たい自然な空気を給気口から取り込みます。
いかがでしょうか。
夏は熱いからエアコンをかけて、涼しくしますよね。
冬は寒いから、室内を暖めている訳ですよね。
それでも熱い、寒い外気を取り込まないといけない家だなんて・・・
ですから24時間換気を止めてしまう方も居る様です。
梅雨時にも外気には多量の湿気がありますから、それを取り込まなくてはならないなんて理不尽にも思えてしまいます。
ハウスメーカーに相談して「換気をしてください」と言われても、カビや湿気の対策にならない事がお分かりになられたかと思います。
4.新築の家を建てるなら、自然の空気と自然の素材で対策
では湿気やカビ対策をする上で、どの様な方法が有効かを説明していきます。
- 基礎は防湿して、床下には常に新鮮な空気を入れる
- 窓ガラスは樹脂枠と複層ガラスを採用
- 構造体と外壁の間に空気の層を造る
- 断熱欠損しない断熱施工を行う
- 室内の内装材は調湿する素材を選ぶ
これ、実は私が新築の家を依頼される場合、絶対ですとお願いしているポイントです。
簡単な解説をそれぞれさせて頂きますね。
■基礎は防湿して、床下には常に新鮮な空気を入れる
基礎は防湿をする事で、地面からの湿気を対策します。
床下には常に新鮮な空気が入る様にしましょう。
メンテナンスの為に、床下すべてを通れる様に人通口も必要です。
冬場でも新鮮な空気を床下に取り込みますので、床断熱材は高性能な断熱材を選択しましょう。
■窓ガラスは樹脂枠と複層ガラスを採用
窓ガラスは今時なら、複層ガラスを採用しない家はほとんど無いと思います。
断熱性のあるLow-E複層ガラスを採用して、サッシのフレームとなる枠は内部だけでも樹脂にしましょう。
複層のガラスの間には空気やアルゴンガスを注入すれば、より高断熱の窓にする事が出来ます。
そうする事で内部には結露水の発生はしません。
仮に外のフレームがアルミでも、外の結露水は外壁に流れてしまいます。
■構造体と外壁の間に空気の層を造る
家の中でも屋外になるのが外壁や窓です。
窓は先ほど述べましたが、ここが最も重要な部分だと思います。
構造体と外壁の間に空気の層があると、外壁の結露を外壁のみで完結する事が可能です。
発生した結露水は、そのまま外壁を伝って下に流れてしまいます。
構造体には影響しませんし、結露水も溜まりません。
■断熱欠損しない断熱施工を行う
断熱材はどれを使っても問題ないと思いますが、あくまでも外壁と構造に空気の層がある事が絶対条件です。
若い頃に大工棟梁の経験があるのですが、リフォームでは外壁や内壁を開ける事があります。
ほとんどの家々は断熱材に結露水がびっしょりと着き、繊維系の断熱材は真っ黒になったり、自沈してたりです。
こうなると断熱材の性能は発揮も出来ませんし、カビの温床となる原因にもつながります。
【注意!】とにかく安い家の場合は、大工さんの賃金も少ないケースがほとんど。
正規の施工をしていないケースも見られますので、こう言った部分も大きなポイントです。
■室内の内装材は調湿する素材を選ぶ
室内の内装材は必ず調湿出来る素材が良いかと思います。
窓も開けるでしょうし、湿った空気も入り込んでしまいます。
その湿った空気を家電や24時間換気に頼らず、家の内装材に調湿してもらうのです。
天井や壁には調湿効果の高いヨーロッパ製の珪藻土。
無垢の床貼りや部分的な板貼りも有効です。
いかに新築の家を造る上で、空気の層を造る事が有効かお分かりになったかと思います。
こうしていれば寒い冬でも、寒い外気を取り入れなくとも良くなります。
24時間換気を使うなと言ってる訳では無いですが、使わなくても室内には綺麗に調湿された空気で溢れています。
カビの問題で一番怖いのが、壁体内で結露が発生する事です。
壁の中を見る事は、一般の方ではないでしょう。
カビは壁の中にある断熱材にも発生しますし、石膏ボードの裏側にも付着します。
必ず外壁と構造に空気の層がある事が絶対条件ですから、これをしっかりと対策しているハウスメーカーを検討する事です。
サッシも安いモノでは無いので、たくさん窓を付けずにポイントを押さえて配置する事です。
珪藻土も、そんなに安いモノではありません。
モノにもよりますが、珪藻土はビニールクロスの5〜6倍は掛かってしまいます。
予算にもよるでしょうが、自分で壁塗りをする方法もあります。
剥がれたりカビが付いたりする壁紙よりも、珪藻土は湿気を吸い取る機能性の材料なのだと覚えておいてください。
この章ではカビの発生を妨げる、湿気の対策について書きました。
絶対に忘れないで頂きたいのですが、どれか一つ欠けても駄目です。
壁だけ珪藻土にすれば良いと言われる方も居ますが、現場上がりの元大工としては絶対にお勧め出来ません。
壁体内で結露を起こしていれば、カビは石膏ボードのすぐ裏まで来ています。
そこに自然素材の珪藻土を塗れば、自然と自然の悪い融合になってしまいます。
確実に珪藻土にもカビが発生すると思って下さい。
逆を言えば、珪藻土の壁にカビが生えると言う事は、壁体内の結露か、雨漏り、漏水が生じしていると言う事です。
5.地域に合った素材と風土を知る会社で家を建てる
永きにわたって日本の家は自然の山に生えた丸太を使い、地元の大工さんに家の依頼をするのが当たり前でした。
■当時の家
- 土台や柱、梁やはがら材などは、すべて無垢の木
- 壁は漆喰を使った壁や土壁が当たり前
その頃の家には、昨今の家の様な健康被害などは皆無でした。
それが何故、工業化された製品ばかりで家を建てる様になったのでしょうか?
実は日本の経済を押し上げる為に、生まれてきたのが新建材やハウスメーカーです。
今から50年ほど前は、日本の住宅は絶対的に不足していた状況でした。
国の後押しもあり、民間のメーカーが大量生産にシフトし出したのです。
■住宅不足を解消する為に取られた施策
- 合板のフローリングや壁紙
- 燃えない壁
- 化学塗料や防腐剤
- 様々なアスベスト類
ありとあらゆる住宅建材の数々。
大量生産出来る工場のラインを整えて、工業用製品として生み出したのです。
その結果は半世紀が経つ前に、健康被害を訴える人が増え出しました。
物流が流れれば景気も良くなりますし、日本人は敗戦の悔しさから高度経済成長期を迎えた歴史があります。
ですが頑張って作り上げた新建材の家で、今日ではシックハウス症候群を訴える人も増えて行きました。
風土に合わない家に住まう事で、カビや湿気に悩まされる人たちも増えました。
建築の歴史と日本の歴史を振り返ると、そろそろ原点回帰する時代を迎えているのではないかと思います。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
私たちが活動エリアとしているのは神奈川県です。
湘南と言われる海に近いエリアなどは、とにかく湿気が多い地域です。
また関東の様な比較的暖かい地域の中にも、スポット的に寒い場所は存在します。
特に山を背負った麓や谷戸に、この様な場所はありがちです。
カビの生えない新築の家を望まれるなら、ぜひ地元の風土を理解した家づくりをしている建築家や工務店に相談してください。
あなたの健康が害されない事を祈ってます。
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