注文住宅で家を建てる〜気になる新築費用の基礎知識〜
注文住宅で家を建てようとすると、様々な情報を集めて理想の家を建てたくなりますよね。
外見のデザインだったり、室内の素材選びだったり。
とても便利な設備にだって、気を取られてしまうかもしれません。
そして最も気になるのは、注文住宅で家を新築する際の費用や価格も気になったりはしないでしょうか。
そこで注文住宅専門の中尾建築工房から、注文住宅を新築する際に気になる費用や価格の答えを公開したいと思います。
Contents
1.注文住宅を建てるなら坪単価は無視しなさい
はっきり言って、坪単価表示に特別な意味はありません。
あなたが注文住宅で新築の家を建てる場合は、お金を支払わなくてはなりませんよね。
だから最初の段階で、自分が払える範囲で収まるのかが気になるかと思います。
そこでハウスメーカーや工務店が明示するのが、坪単価と言う魔法の言葉です。
「坪単価が出てるんだから、建てる坪数に対して単価を計算すれば良いんでしょ?」
あなたはこの様に思っているかもしれませんね。
確かにその様な計算方法が、私も真っ当だと思います。
あなたが延べ床面積で、30坪の家を建てるとしましょうか。
仮に坪単価が50万円のハウスメーカーであれば、単純に50万円×30坪で計算をすれば良い訳です。
坪単価50万円×延べ床面積30坪=本体価格1,500万円也
そしてご自身で計算をして、色々と話を進めて行くと。
なぜかハウスメーカーに算出された資金計画書の欄には、合計で2,500万円也
きっとあなたは驚いてしまうかもしれませんね。
坪単価50万円って、書いてあるやないかーい!!
住宅展示場内のハウスメーカーで、思わず叫びたくなってしまうと思います。
この例の様に坪単価と言うのは、全く当てにならない単価です。
坪単価の表示があるのは、ハウスメーカー側の都合による単価です。
ハウスメーカーはラジオやテレビコマーシャル、インターネット広告などでお客様を集めたいのです。
広告宣伝をする上で、誘導する先は住宅展示場になります。
住宅展示場まであなたを連れて来るきっかけに、めちゃくちゃ安い坪単価を明示しているのです。
これがいわゆる、坪単価と言われるモノになります。
私の趣味で言い換えますと、私は魚釣りが大好きです。
魚は餌で釣るのですが、注文住宅の坪単価は魚釣りの餌と同じです。
つまり坪単価と言うのは、ハウスメーカーがあなたを誘惑する為にある餌だと思ってください。
最初から高い坪単価を明示すれば、お客様は集まらない。
ハウスメーカーもそれは分かっています。
世の中の需要喚起を促したり、あなたの重い腰を上げさせる為にあれこれ考えての坪単価を明示します。
ですから、その単価では家が建ちませんので、坪単価を見てハウスメーカーを選ぶと言うのは。
正直なところ、無駄な作業をするだけです。
ですからあなたに、ここで覚えて頂きたい事は。
「坪単価は無視しなさい」
と言う事になります。
2.坪単価の明示はあくまでも本体価格のみ
坪単価は無視しなさい。
こんな事を言われても、坪単価でしか価格を測るモノがありませんよね。
でも、ちょっと待ってください。
あなたは家を建てる上で、あれもこれも全て込み込みの価格を知りたいんですよね?
それであれば、このまま続けてお読みください。
実はハウスメーカーの明示している坪単価は、本体価格だけの事を指しています。
本体価格とは、一体何の事でしょうか。
■本体価格とは。
単純に工場で生産された箱を、あなたの土地に置いたとします。
その箱代が、本体価格と言われるモノになります。
この本体が、いわゆる住宅商品のラインナップになります。
箱を置いただけでは、生活する為のインフラも整備されてはいません。
ですから本体価格だけでは、家としての機能を果たしませんから別の費用が発生する事になります。
本体価格だけでは、見た目の家にはなってるものの生活をする事は出来ない状態と言う事が分かりました。
では本体価格以外に、どの様な費用が掛かってるのでしょうか。
■付帯工事費用
本体価格に付帯する工事の費用が掛かってきます。
建物の本体に付帯する内容の工事を指します。
- 確認申請費用
- 設計料
- 仮設電気工事
- 仮設水道工事
- 仮設トイレ工事
- 電気引き込み工事
- 水道加入金
- 水道局納付金
- 屋外給排水工事
- ガス工事
- 登記費用
- カーテン照明器具
- 外構工事費用
- 地盤改良工事費用
これらの該当する付帯工事費用が発生します。
建てる地域によっては調査申請費用として、確認申請費用以外の費用が発生します。
上水道管があまりにも古い場合は、水道の取り出し工事費用も発生します。
あなたの建てる土地の条件によって、様々な付帯する工事の費用が付帯工事費用となります。
この様に坪単価で明示されている以外にも、付帯する工事の費用がある事を覚えておきましょう。
坪単価だけで計算するのが、そもそも誤りだと言う事になってしまいます。
3.注文住宅の価格提示は一律というルールが無い
ここまで来ると本体価格と付帯工事費用があれば、家が建つと言う事が分かりました。
でも実際には、これだけではまだまだ家が建ち終わる事がありません。
この段階のあなたは、暗いトンネルの入り口に立った状態です。
実際に支払う事になるのは、画像の様なトンネルの先にある光が見えた時です。
契約をしてからは長い打ち合わせと言う名の、暗いトンネルを通らなくなてはなりません。
ハウスメーカーには、本体価格と付帯工事費用以外にも、まだまだ掛かる費用があります。
それは一体、どの様な費用が掛かってくるのでしょうか。
■オプション費用が掛かる
本体価格は坪単価を明示する上で、ハウスメーカーとしてはとにかく、そぎ落とした費用を明示します。
注文住宅ですから、あれこれ注文する事になりますよね。
注文されるたびに計上されて行きますので、最終的には多額のオプションが発生する事になります。
オプションといえば、車を購入する際にも聞いた事のある項目ですよね。
注文住宅の場合は、どの様なオプションが掛かるのかを見て行く事にしましょう。
構造体の場合、多くのハウスメーカ−であれば集成材を採用しているケースがほとんどです。
本体価格に含まれている構造体は集成材。
それを無垢材の柱に変更する場合に、+のオプションが発生します。
某○○林業では宮崎県産の飫肥杉に変更するのに、30坪の家の場合で+50万円するそうです。
※なぜ私がこれを知っているかと言うと、私の会社では標準で飫肥杉の柱を採用しています。
柱の商品名は違えど、同じ飫肥杉ですし同じ柱の製材工場で出荷されているモノです。
屋根をスレートから、瓦に変更したりする場合も+のオプションが発生します。
外壁なども汚れが落ちやすい仕様のサイディングに変更する場合も、差額の+オプションが発生します。
断熱材にこだわりのある会社だから、そんな所にオプションは発生しないだろう。
これも上手なカラクリがありまして、住宅商品の最もグレードの高い家であれば外貼り断熱材仕様でアピールします。
でもラインナップの下のグレードなら、一般的な断熱材を標準採用としています。
ですからあなたのグレード次第によって、断熱材ですらオプションが発生します。
内装材は、これまたたくさんのオプションが発生します。
一般的なフローリングから、表面だけ無垢材のモノにする。
壁紙を量産品の安い標準品から、柄の揃った1000番台に変更する。
見た目を良くしたいから、部分的に板貼りにする。
階段を普通の分譲住宅仕様から、ヨーロピアンな階段にする。
ちょっとしたニッチなども、全てがオプションとなります。
設備は最もオプションが発生しやすい部分かもしれません。
最低グレードのキッチンから、高級システムキッチンに変更する。
またはオーダーメイドで製作するキッチンを採用する。
バスルームのグレードを上げたり、ハーフユニットバスに変更をして、こだわりのバスルームを作る。
トイレや洗面台なども必要最低限のグレードが標準ですから、要望を言えばとにかく価格が上がりやすい部分と言えるでしょう。
いやらしさ満載の、+のオプションが発生する事が分かりましたね。
ハウスメーカーの場合、まずは簡単な間取りと資金計画書で契約を促します。
その資金計画書では、ハウスメーカーの利益がたくさん出る訳ではありません。
ですから契約印を貰った後のオプション攻勢は、凄まじい勢いで吊り上げていく事を覚えておきましょう。
無数にあるオプションだけで済むなら、まだマシな方かもしれません。
実はまだオプション以外にも、隠れた追加の費用が掛かる場合があります。
私は過去に、住宅業界でコストダウンのセミナー講師をしていた経験があります。
もともとは器用な大工の棟梁ですから、積算能力には長けていました。
それが周知されて、セミナーの講師を務めていた経験があります。
様々な住宅業界の裏を知っておりますので、その一例をご紹介したいと思います。
今ではローコストの分野の中でも、大手になったハウスメーカーが居ます。
もともとは九州の方で、私の会社よりも小さな会社でした。
その会社は公共工事や、年に2〜3件の新築工事を受注する程度の規模でした。
なんとか売り上げをあげたい社長は、埼玉県のハウスメーカーが販売するノウハウを導入しました。
「これがあれば天下が取れる!」
その後は九州全域で大流行して、本州に進出しました。
首都圏では人気が出ずとも本州の地方では、九州と同じ様に爆発する勢いで大流行しました。
当時のテレビコマーシャルでは、○○○ん太さん。
東京や大阪の首都圏に進出するためには、オシャレ感が必要。
そしてジャニーズ事務所で解散してしまったグループの、○村○哉がテレビコマーシャルに登場する様になったハウスメーカーの話です。
この会社では、坪単価は25.8万円をアピールしていました。
名前は○○ホームと言います。
このハウスメーカーの場合は、積算の計算方法が特殊です。
- 本体価格
- オプション価格
- ○○ホーム諸経費
- 必要経費
- 付帯工事費
- 紹介工事費
- その他費用
坪単価が35坪未満の場合は、坪単価減坪割り増しオプション。
基本はメートルモジュールなので、敷地によっては入らない場所は尺モジュールに変更。
この場合は尺モジュール割り増しが該当。
まるでいつになったら、家が建つんだと言わんばかりの費用の数々です。
この様に坪単価を安く見せたいハウスメーカーの場合、様々な追加の費用がある事を覚えておいて下さい。
まさかの費用が掛かる事が、良くご理解頂けたかと思います。
どのハウスメーカーも契約ありきですから、それぞれ戦略を考えています。
それでも利益は残したいですから、この様に訳の分からない費用が発生する事に繋がります。
4.新築の家を建てる費用は総支払額で考えよう
あれこれ余計な費用が掛かる事を知って、疑心暗鬼になったりしないでしょうか。
でもこれが現実ですから、致し方のない事なのです。
そこで私がいつもおすすめしている方法があります。
それはどの様な事かと言えば。
「うちの家は、全部でこれだけで家は建ちますか?
私にはこれしか無いので、これ以上のお金が掛かるなら家は建てられません。
契約をしても良いけど、これ以上はお支払いをする事が出来ません。
親戚のおじさんは弁護士やってるので、契約の際にはおじさん立会いでお願いします。」
いっその事、この様に言ってしまえば。
ハウスメーカーの営業マンも、おそらくタジタジになってしまう事でしょう。
出来ないモノを無理やり出来る様にするのは、本来おかしな話です。
家は高額ですから、それこそ信頼関係が大切です。
ですから私が常々言い続けている事は、この様な事になります。
「坪単価で計算をするのは止めましょう。
どちらかと言えば総支払い額で、しっかりとあなたの土地に合う家の予算を見る様にしましょう。」
この様にお伝えしている次第です。
どんどん積み上がってしまう見積もりを見るだけで、初めて家を建てる方であれば怖くなってしまうと思うのです。
もしくは呆れてしまって、怒りがこみあげてしまう方も居らっしゃる事でしょう。
ご自身のビジネスでしっかりと顧客を守る姿勢である方ならば、何よりいやらしい契約方法だと思ってしまうでしょう。
ですから住宅展示場などに行かれる際には、これらの事を頭に入れて行って欲しいのです。
最初にその様な提案をされる事が分かっていれば、あなたも後々になって痛い思いをする事もありません。
何ならアンケートの名前や連絡先、住所なども一文字、二文字違いで書いてしまうのもアリだと思います。
そしてある程度の事が分かったら、住宅展示場に出店する様なハウスメーカーや工務店には行かない方が賢明だと思います。
少しでも限られた予算で注文住宅の家を建てるのであれば、なおさらあなたの予算をあなたの家に廻せる工務店に依頼をしてみてください。
良心的な工務店であれば、過去の施工事例を見せてくれたり。
予算的な部分や追加の工事費用など、すべての書類を見せてくれると思うのです。
そしてしっかりと打ち合わせをしながら、あなたにぴったりの注文住宅を完成させましょう。
せっかくの注文住宅ですから、要望はしっかりと吐き出す事。
予定していた費用よりも高額になってしまっても、それで建てなければならない訳ではありません。
本当に必要なモノは何か?
そんな部分をしっかりと探る為にも、共に考えてくれる地域の工務店がいるはずです。
5.まとめ
いかがでしたか。
注文住宅で家を建てる為には、あれもこれも要望を叶えられる反面、コストが上がったり下がったりする傾向がある事が分かりました。
ぜひあなたの要望を実現する、注文住宅の家を建てると言う一大イベントを楽しんでください。
注文住宅は人生で最大の買い物ですから、あなたは家造りを楽しみましょう。
そのためにも信頼出来る、パートナーを探す事が先決です。
そうすればあれこれ学ばなくとも、建てた後の暮らしを満喫するだけで良いのです。
新築費用や価格についても、しっかりと教えてくれる業者に依頼をするのが一番の近道ですからね。