ハウスメーカーで家を建てるか工務店に依頼をするか〜大手と地元のメリットデメリット
家を建てるなら、やっぱり大手のハウスメーカーに頼んだ方が安心だ。
でもハウスメーカーで家を建てると言っても、実際に建てているのは地元の工務店だと聞いたことがある。
それなら地元の工務店に、ハウスメーカーと同じ家を建ててもらった方が安く付くんじゃないか。
この様に思う方が居らっしゃるそうです。
そこで地元工務店であり、住宅業界の裏の裏まで知り尽くしている中尾建築工房から。
ハウスメーカーで家を建てた方が良い方。
地元工務店で家を建てた方が良い方。
それぞれを、ご説明さしあげたいと思います。
1.大手ハウスメーカーのメリットデメリット
ハウスメーカーと言えば、必ずアピールされているのが大手と言う言葉だと思います。
大手と言えば、大手だから安心。
そんな様につながりまして、大手ハウスメーカーを検討されてる方は非常に多いと思います。
大手ハウスメーカーは、各社がテレビコマシャールで宣伝をしたり。
地域の住宅展示場に出店して、華々しいイベントを展開して集客を行っています。
キャンペーンが多くあったり、住宅商品のシリーズも多数あったりしますので。
これから家を建てる方にとって、どのシリーズを選ぶのが良いのだろうか。
そんな部分も、楽しみの一つになると思います。
では最初にハウスメーカーのメリットを見ていく事にしましょう。
- ブランド化されている
- いつも目にする事が出来る
- 品質の規格化
- 全国品質
- 住宅ローンが組みやすい
■ブランド化されている
大手ハウスメーカーは、家を建てる方へ周知、認知されるために様々な宣伝を全国的に行います。
- テレビコマーシャル
- ありとあらゆるコマーシャル
- 住宅展示場への出店
- 街角展示場
- ポータルサイト
と言う様に、とにかく目立つ存在です。
そしてPR活動に抜かりがありませんので、ハウスメーカーの存在をブランド化する事に成功しています。
ブランドになってしまった場合、そのブランドが好きな方にとっては憧れの存在になる事が出来ます。
■いつも目にする事が出来る
常にPR活動に抜かりがありません。
住宅展示場への出店や、スマホで見れる様なポータルサイトへの出店もしています。
自社独自でインターネット広告も出してますので、私たちの目に止まりやすいのです。
私たちが日々の暮らしで、忙しい毎日を過ごしていたとします。
忙しくて家づくりを忘れかけた頃でも、思い出させる様なメディアに現れます。
するとまた「そういえば止めていたけど、そろそろ真剣に考えるか」と言う様に、家を建てる意欲を沸き立たせる様にしています。
ですからいつも目にする事が出来ますので、顧客の囲い込みが出来ていると言えます。
■品質の規格化
品質においては一貫して、工場生産品が多いのもハウスメーカーの特徴です。
自社工場で検品して、現場でミスの無い様に品質の規格化を行っています。
工業用製品で家を建てる場合は、工期の短縮にもつながりますし、現場のゴミも少なく出来ます。
■全国品質
ハウスメーカーは全国展開をしています。
そのため品質においても全国的に、どこで販売しても問題の無い品質を備えています。
大量生産する事でコストの低減化を測り、安定的に全国へ供給出来る品質を保ちます。
■住宅ローンが組みやすい
ハウスメーカーは、住宅ローンが組みやすいのも特徴です。
力のあるハウスメーカ−であれば、グループ会社に銀行が加わっている会社もあります。
ですから一般の銀行で住宅ローンが通らなかったお客様でも、ハウスメーカーなら住宅ローンが通ってしまうと言う利点があります。
ハウスメーカーは大手ですから、とにかくあちこちで目にする事が出来ます。
あなたが家を建てようと考えた時、まず最初にハウスメーカーに行ってしまう理由がお分かりになるかと思います。
ではハウスメーカーには、デメリットは無いのでしょうか。
- 販売価格が高い
- あくまでも規格化住宅
- 個性が出しにくい
- 保証が自社保証
- 住宅ローンの金利が高い
■販売価格が高い
ハウスメーカーの場合、真っ先に上がるデメリットがコストの問題と言えるでしょう。
ハウスメーカーは徹底的にコストを落として、家を建築する事が可能です。
その反面では販売活動にも力を入れておりますので、家の販売価格は高額になりやすいと言えます。
- 住宅展示場の出店料や人件費、光熱費
- テレビやラジオへのコマーシャル料
- インターネットの様々な広告費
これら費用の全てが販売費用に反映されてしまいます。
実際にはそこまで高いコストの家ではなくとも、これらの費用が加わりますので販売価格が高いと言えます。
■あくまでも規格化住宅
ハウスメーカーの家は、あくまでも規格化された住宅のみを販売しています。
住宅業界には3.64mルールがありまして、それ以上の寸法を広げる場合は柱を必ず入れる事になります。
それ以上の対応する場合は規格外になってしまうので、ハウスメーカーでは対応する事が出来なくなります。
■個性が出しにくい
ハウスメーカーの家の場合は規格化されている都合上、どうしても個性と言うモノが出しにくいのも特徴です。
全て揃ったラインナップから選ぶだけですから、同じハウスメーカーであればどの家を見ても同じ家にしかなりません。
大手の家を購入したブランドがお好きであれば良いのですが、個性を出したい方にとってはなかなかハウスメーカーでは難しい問題です。
■保証が自社保証
大手ハウスメーカーの場合、保証が自社保証または自社グループ会社保証となります。
自社保証または自社グループ会社保証の場合は倒産しなければ良いのですが、問題はそれだけではありません。
万が一保険を使ってしまうと、翌年度の保険代はかなり高額になります。
しかも対応するのは全国ですから、保険料もとてつもない料金になってしまいます。
ですから問題が発覚した場合であっても、なかなか対応が悪かったり、施主が泣き寝入りをするパターンがあります。
■住宅ローンの金利が高い
ハウスメーカーは住宅ローンが通りやすいと言うメリットがある反面で、住宅ローンの金利も高いと言うデメリットもあります。
他行で融資不可の場合でも、住宅ローンが通せる理由は高金利である事が世の中的にもつきものです。
ですから借りるには借りれるけど、その返済も高金利であり高額である事もお忘れにならない方が良いでしょう。
この様にハウスメーカーにはメリットもあれば、似ている要素のデメリットもありました。
昨今ではZOZOの社長が洋服の原価コストを2〜3割とツイッターでアピールした事で、それぞれのアパレルブランドがZOZO撤退を決めました。
ハウスメーカーもアパレルブランドも、似た様なものだと思います。
ハウスメーカーとしてもPR活動はするものの、やはり原価を公開するのはしたくは無いのが本音と言えるでしょう。
2.地元工務店のメリットデメリット
地元工務店はハウスメーカーの様に、全国的に有名な工務店はありません。
地域に根付いて仕事をしていますから、全国展開をする必要も無いでしょう。
特に大きなPR活動もする事もなく、まれに雑誌に掲載されたり。
そのほとんどがインターネットで、検索されたりする事が多いと思います。
私も地元工務店ですから、相談者の方にはこんな事を言われます。
「このあたりを調べてみても、中尾さんとあと●●さんか、●●工務店しか見当たらないんです。」
確かに私も、この様な事を聞かれる事は大変多いです。
地元工務店では看板は出せてはいるものの、インターネットに力を入れている工務店は少ないのが現状です。
仮にあっても施工事例が無かったり。
ブログがあっても更新されていなかったり。
そんな中から地元工務店を選ぶ為には、インターネットに力を入れている地元工務店が見つけやすいと思います。
それでは地元工務店のメリットデメリットを見て行く事にしましょう。
- 家に個性が出しやすい
- 営業マンが居ない
- 機動力がある
- コストのアップダウンが柔軟
- 設計に自由度がある
- 第三者機関の保険がある
■家に個性が出しやすい
地元工務店の場合は、それぞれ特色があるかと思います。
昨今では自然素材や健康的な住宅を訴える工務店が多いと思いますが、工務店によっては家に個性が出しやすいのが特徴です。
地域でニーズのある家を知らない地元工務店では、認知はされても依頼をされる訳ではありません。
それを知っている地元工務店の場合は、設計面においても柔軟です。
多少の規格はあるかもしれませんが、あなたの要望に個性を出したい場合は注文住宅ならではの個性が出せると言えるでしょう。
■営業マンが居ない
地元工務店には、その多くに営業マンと言う存在が居ません。
設計や施工管理のスタッフが居る程度です。
家を販売すると言うより、クランアントの相談聞き漏らさずにプロとしてのアドバイスを行います。
営業マンが居ない分、人件費も抑えやすいのが地元工務店の特色とも言えるでしょう。
逆に営業マンが居る地元工務店の場合は、ほぼハウスメーカーと同義と思っていただいた方が良いかと思います。
■機動力がある
地元工務店は基本的に機動力がある会社が多いと思います。
ハウスメーカーに比べて全国展開している訳ではなく、地元のみに限っての活動をしています。
ですから地元で評判が悪くなってしまう訳にもいきません。
そのためにも、何かあった時の動きは早いと言えるでしょう。
それが出来ない工務店の場合、すでに淘汰されてしまっているかと思います。
■コストのアップダウンが柔軟
地元工務店は家を造るプロと言う存在です。
柱や梁、土台にはがら材、細かい内装材料まで、材料自体をよく把握しています。
コストを把握している為に、これをやったらコストが上がる。
これを選べばコストが下がる。
その様にコストのコントールが長けていますので、予算によって要望を形にしてくれると言えます。
■設計に自由度がある
設計に自由度が高いのも地元工務店の特徴です。
ハウスメーカーが基本的に規格化された住宅なのに比べて、地元工務店の場合は一棟一棟をあなたに合わせて作り上げていく形を取ります。
要望によっては設計原則を外して、あなたに合わせたプランを提案出来るでしょう。
ただし設計原則を外した場合は、コストアップになりやすいのも特徴であると覚えておきましょう。
■第三者機関の保険がある
地元工務店はハウスメーカーの様に、自社保証を行う形が取れません。
もしくは一棟建てる際に、2000万円の供託金を預ける形になります。
五棟建てると一億円の供託金が必要になります。
そんなお金を預けられる工務店はありませんので、地元工務店では必ず第三者機関の保険に入ります。
これにより、工務店が倒産してしまった場合でも、施主は第三者機関の保険に守られる事になります。
ハウスメーカーの家と比べて地元工務店には、設計面やコスト面での自由度がある事がお分かり頂けたかと思います。
規格を外す事も出来ますし、フルオーダーをする事も可能です。
ただし新築の家を地元工務店に依頼をする場合は、新築を頻繁に建てている実績のある工務店が良いでしょう。
リフォーム主体でたまに新築を建てる場合は、設計者が居るのかどうかも疑問です。
下請けの建築設計事務所に設計作業を出している地元工務店もありますので、その場合はあまり自由度は無いと思った方が良いでしょう。
- ブランド力が無い
- 住宅展示場に出店していない
- 建築士によっては当たり外れがある
- 接客に問題がある場合もある
- 規模が小さいので倒産リスクがある
■ブランド力が無い
地元工務店は、狭い地域で活動している事がほとんどです。
ですからブランド力があったとしても、それはハウスメーカーのそれに比べて小さいモノです。
ハウスメーカーの様に過剰に宣伝を行う費用も捻出する事は出来ませんし、そこまでのブランド力は必要ありません。
少数だからこそ可能な地元工務店ですから、ブランドは大したモノがある訳ではありません。
■住宅展示場に出店していない
地元工務店レベルでは、住宅展示場に出店できるほどの資金の体力がありません。
それが出来るのは、全国展開するハウスメーカーの様な工務店のみです。
そこまで多額の経費は捻出する事も出来ません。
過去にも住宅展示場に出店していた地元工務店はありましたが、今となっては建物のみを残して消えてしまった経緯もあります。
■建築士によっては当たり外れがある
地元工務店は基本的に、ハウスメーカーと比べてこだわりのある建築士が揃っています。
建築のスキルは高いのですが、人的な問題を上げてしまうと微妙な部分が多々あります。
ですからあなたが家を建てる場合、意志の疎通が難しい場合があるかもしれません。
営業を基本としておりませんので、人によっては当たり外れがある事もあります。
■接客に問題がある場合もある
地元工務店では接客に問題がある場合もあります。
多くの方は営業を受けるのが嫌な場合がほとんどかもしれません。
ですが営業されるのを、好きな方も居らっしゃるかと思います。
あなたは買う気満々で来たにも関わらず、お客様として捉えてもらえない場合もあるかもしれません。
ですから営業をされたい方の場合は、ハウスメーカーの様に営業マンの居る工務店に相談する方が望ましいかもしれません。
■規模が小さいので倒産リスクがある
地元工務店は少数先鋭で活動をしている場合がほとんどです。
ですから倒産をするリスクは低いのかもしれません。
ただしどこかの現場で苦情を言われて、それが解決出来ない場合は風評などで倒産してしまうリスクは少なからずあります。
大手ハウスメーカーに比べて地元工務店が弱い部分は、こう言った部分なのかもしれません。
この様に地元工務店にもメリットやデメリットが、存在する事がお分かりになったかと思います。
どちらかと言えば設計に力を入れていたり、施工をする技術力に特化している地元工務店が人気のある傾向にあります。
ですからあなたが新築の家を建てる場合、ただ単純に地元で活動をしている工務店ではなく。
しっかりとあなたの新築の家をサポートしながら、提案出来る地元工務店を選ぶのが良いと言えるでしょう。
3.ハウスメーカーの下請け工務店
私は個人的に、大手ハウスメーカーの下請けを行う工務店が友人に居ます。
ついでに言うと、その友人の息子を大工見習いとして教えていた経験もあります。
その友人と私の会話を、ここに簡単に述べてみたいと思います。
私「そろそろハウスメーカーの下請けなんて、やめちゃえば良いんじゃないですか。
美味しい部分だけ搾り取られて、出し殻みたいな予算じゃないですか」
友人「んー、そうなんだけどさぁ。
職人も食わさなきゃならないし、仕事はどんどん入って来るし。。
確かに厳しいんだけど、他に仕事がある訳でも無いし。。」
私「でも今のまま続けていたら、せっかく息子が大工の修行をしているのに、大工の本質も覚えないままハウスメーカーの仕事しか出来ない大工になっちゃいませんか?
今は私が預かってるから良いけど、そのあとが心配ですよね。」
友人「そうだよね、確かに息子には在来工法の大工として、一人前の仕事が出来る様にしてやりたいのが親の本音だね。
俺もそろそろ考えなくちゃならないのは分かってるんだよね。。
あっ、●○町の足場を外しに行く時間だから、俺はもう現場に行くね!」
某大手ハウスメーカーの下請けをやっている、工務店社長との会話です。
工務店の社長なのにも関わらず、現場の足場を外しに行かないといけない位、実行予算はとてつもなく少ない予算です。
友人の悩みとしては、ハウスメーカーからなら仕事がどんどん入って来る。
でも一般個人からの仕事は全く入って来ない。
それだけに一般個人の方から相談を受けても、何から始めて良いのか分からないのが本音と言う事でした。
ハウスメーカーは設計や仕様などを決める仕事は、ハウスメーカーの仕事です。
そして利益の出やすい資材についても、ハウスメーカーが自社で握ってしまっています。
これらに慣れてしまっている、ハウスメーカーの下請け工務店には特徴があります。
- PR活動の方法が分からない
- 家を建てる一般個人の方の悩みが分からない
- 設計の提案力が無い
- 決められたマニュアル通りの家しか建てれない
- 一般個人相手に打ち合わせが出来ない
ハウスメーカーの下請けを行う工務店には、それなりの悩みがある事が分かりました。
ハウスメーカーの下請けとして安い価格で請負は出来ても、根本的に工務店としての機能がなされてないので、ハウスメーカーに依存するしか無くなってしまいます。
ですからあなたがハウスメーカーの下請けに依頼をしても、思っている家を思っている価格で建てる事は出来ないと言い返す事が出来るでしょう。
4.ブランドを取るかお手ごろを取るか
私が常日頃から、相談者の方に申し上げている事があります。
「家はどこで建てても自由なので、お好きな工務店やハウスメーカーで建てる事が望ましいと思います。」
ハウスメーカーで建ててはいけない訳では無いですし、地元工務店を頼らなければならない訳でもありません。
一番大切な事は。
「あなたが家を建てて、満足してもらう事が最も大切な事です。」
ですからハウスメーカーのブランドが必要なのであれば、ハウスメーカーで建ててください。
アフターに関しては、ハウスメーカーの子会社になってしまうかもしれません。
それでも、同じブランドを維持する事が出来る訳です。
ハウスメーカーの家を建てて、本当に良かったとあなたが思えれば良いのです。
地元工務店で家を建てる場合も同じです。
地元工務店には、大したブランドはありません。
地元工務店で家を建てて、あなたが満足をして頂ければそれで良いのです。
あなたの気に入った地元工務店で家を建てた事は、あなたにとって●●●で家を建てたと胸を張って言えるでしょう。
何れにしても家を建てて満足出来た場合は、あなたの家づくりは成功だったと言えるのです。
ですからあなたが欲しいのは、ハウスメーカーのブランドなのか。
大手ハウスメーカ−としての安心なのか。
地元工務店のあっと驚く提案力なのか。
地元工務店の機動力なのか。
そんな事をよくよく考えてみて、あなたにぴったりの依頼先を決めて頂ければ良いかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ハウスメーカーにはハウスメーカーの特色があり、それぞれメリットデメリットがあります。
地元工務店にも特色があり、それぞれメリットデメリットがある事がお分かりになられたかと思います。
もう一度繰り返しますね。
あなたが欲しいのは、ハウスメーカーのブランドなのか。
大手ハウスメーカ−としての安心なのか。
地元工務店のあっと驚く提案力なのか。
地元工務店の機動力なのか。
あなたが叶えたい要望を誤らない様に、依頼先を選択してくださいね。
見誤って欲しく無いのは、どこで建てるかと言う事ではありません。
あなたが建てた家で、どの様なライフスタイルを過ごせるか。
ここを忘れずに、イメージを固めてみてくださいね。