自然素材の家を建てるなら素材の選び方にも気をつけて
自然素材の家を建てたい。
自然素材っていっぱい聞くけど、どんな自然素材が良いのだろうか。
そんな風に思われる方も多いと思います。
そこで自然素材の家を建てる中尾建築工房が、あなたの建てる自然素材の家に必要な素材の選び方をご紹介させて頂きます。
Contents
1.自然素材の家と言うブランドを購入するの?
自然素材の家を建てる工務店では、当社の自然素材の家と言う商品を購入して頂く。
と言う考え方を持つ、工務店や住宅会社があります。
これにはハウスメーカーの住宅商品と似ている部分が多々あります。
まず最初に一般的なハウスメーカーの戦略を見てみる事にしましょう。
大手のハウスメーカーは様々な会社がありますが、それぞれ三つのくくりに分けられると思います。
- 高価格帯のハウスメーカー
- 中堅ハウスメーカー
- ローコストハウスメーカー
どのハウスメーカーでも、入り口価格での提案は同じです。
それぞれのメーカーの立ち位置によって、入り口価格の設定が違うだけです。
- ローコストハウスメーカーであれば、坪単価が25.8万円〜
- 中堅ハウスメーカーであれば、坪単価が50万円〜
- 高価格帯のハウスメーカーであれば、坪単価が70万円〜
ハウスメーカーの住宅商品とは、一定の間取りと標準仕様書。
そして、概算資金計画書の元となるラインナップがあります。
この標準仕様書と同じ内容であれば、追加の費用は掛かりません。
ですが概ね、追加の費用が発生しやすい様な標準仕様書になっております。
ですから打ち合わせを重ねる事によって、追加の費用がますます掛かっていくのがハウスメーカーの戦略です。
では自然素材の家ではどうでしょうか。
自然素材を扱う会社でも、住宅販売会社として自然素材の家を販売をする会社もあります。
自然素材の家も自社の商品として販売をしている場合は、ハウスメーカーと同じ様な事になります。
簡単な間取り。
そして当社標準仕様書。
パッと見る分には自然素材なので、良さそうに見えると思います。
これは良いと思って契約すると、そこからあれこれ追加の費用が掛かる仕組みになってます。
打ち合わせをするというよりは、仕様書との確認作業をする流れの中で口に出すたびに + ○○万円となりますから、次第に要望を言えなくなってしまいます。
ですが様々なオプションが発生する様に出来てますので、結局はハウスメーカーの住宅を商品として購入するのと大差がありません。
自然素材の家と言う商品を販売している工務店の場合、自分たちのルールに則っている場合は良いのですが。
ルールに則って頂けないお客様の場合は、態度をあらわに出す営業マンも居ます。
「当社が販売している自然素材の家は良いモノなのだから、何も知らない素人があれこれ言うな」
まさに勘違いだらけの殿様セールスである事が、はっきりと分かってしまいます。
ですから住宅販売会社の自然素材の家を建てる場合、そのブランドがお好きであれば良いのでしょう。
住宅販売会社との理念に共感出来たり、ブランドが好きなら好きなモノを買う事で満足出来ると思います。
では家に個性を主張したい場合はどうでしょうか。
「ちょっと他の人の建てた家と、似ている家は嫌だな」
この様な意見を持つ方の場合、住宅商品の範疇で満足が出来るでしょうか。
個性を出したい場合、あれこれと細かい部分を作り上げつつプランニングを行います。
金額もそれに併せて見積もりされます。
どこかで減額しながら、こだわりたい部分はこだわる場合も出て来る事は無いでしょうか。
この場合、住宅商品として設定されている家はほとんどのケースが企画住宅です。
柔軟な間取りが出来る訳でも無いですし、決まりきった間取りと仕様で家を建てるのが企画された住宅商品です。
ここで確認をして頂きたい事があります。
あなたの建てたい家は、企画された住宅商品としての自然素材の家ブランドでしょうか。
まずはあなたの要望が企画された住宅商品なのか。
それとも自分らしさを主張する、自然素材の家なのかを確認する事が大切です。
2.自然素材の家は素材の選び方に気をつけましょう
自然素材の家を建てると決めて、あなたは自然素材の家を建てる工務店を探す事になりますよね。
でも自然素材の家って言っても、たくさんの会社がありますので。
正直なところ、どの様な素材を選べば良いのか分からない事ってないでしょうか。
自然素材に対して知識のある工務店であれば、適材適所の素材を採用している工務店が多いと思います。
典型的な自然素材の家であれば、この様な仕様の家が多いのでは無いでしょうか。
- 構造には神奈川県産や紀州産の杉や桧
- 屋根は和瓦やガルバリウム鋼板
- 外壁は漆喰
- 窓は建具職人とガラス屋さんが造る製作窓
- 環境共生型の住宅ポリシー
- 断熱はセルロース断熱
- 天井は板張りかクロス
- 壁は漆喰
- フローリングは杉
- キッチンはシステムキッチン
- お風呂は在来風呂
- 洗面ボウルは陶器モノの造作仕上げ
これらの仕様が典型的な自然素材の家の仕様となります。
これらの仕様の場合、コストを下げる為にはプランニングをシンプルにする必要があります。
こだわる間取りを入れた場合は、構造材の料金も高くなります。
子育て世代がこの様な家を手に入れる場合、贈与された土地がある事が前提になります。
高額な土地を新たに購入し、新築の家を建てる場合はなかなか難しいと思います。
お金持ちの家であれば良いのですが、なかなか手が出しにくいのが本音のところでしょう。
この様に、なんでもかんでも高額な素材で設定されている場合は、コストの調整がしにくいのも特徴としてあります。
グレードダウンを引き受けてくれる工務店であれば、なんとか予算に追いつかせる為の手法があると思います。
ですが高額な素材で建てる事が工務店の理念の場合、素材は落としたくないのが本音であるとも言えます。
つまり最初の見た目はとても良いので、気にいる方もいるかと思います。
ただし実際には、それだけの費用が掛かると言う事も覚えておく必要があります。
3.自然素材の家を建てる会社は融通が効かない?
自然素材の家を建てる会社の中には、割と融通が効かないなどの話を耳にします。
実際に家を建てる方は、一社だけしか行ってない訳ではありません。
何社か相談をしに行き、そして最終的に依頼をする工務店を決定します。
なぜ複数社の工務店を廻る必要があるのでしょうか。
- 気が合うか合わないか
- 顧客目線で話をしてくれるか
- 親身になって相談に乗ってくれるかどうか
- 建築についての知識はしっかりあるのか
- 地域の風土に理解はあるか
自分たちの要望を把握して、しっかりと反映してくれる工務店かどうかを見極めたいと言う思いから、数社の工務店に打診をします。
そして不安な気持ちが払拭出来れば、その工務店で設計依頼を行う事になります。
- 自社の住宅商品の販売が目的
- 自社のこだわりを売るのが目的
- 自社の施工事例として納得の出来る家を作るのが目的
- 単価の少ないお客相手はしたくない
- 毎回違う家を建てるのは大変
この様に自社のブランドを強調して、納得してもらえる方だけを対象に話をしたがります。
単価の届かないお客様の相手もしたく無いですし、グレードを下げる事もしたくはありません。
ですから殿様になってしまったり、上から目線でモノを話す事にも繋がってしまいます。
この様に買い手側の思惑と、売り手側の思惑が一致していない場合があります。
とにかく自然素材の家を販売する傾向が強い工務店の場合は、買い手側の思惑を汲み取ろうと言う姿勢ではありません。
自社中心の思惑を、お客様に理解してもらうスタイルを貫きます。
ですからお客様の意見を反映すると言うよりも、自社中心の行動や言動を発しています。
これではお客様目線で話を聞く形は取れませんので、お客様としては嫌な気持ちになってしまいます。
この事からも、自然素材の家を建てる会社は融通が利かない。
そう言っても過言では無い事がお分かりになるかと思います。
4.自然素材の家を建てるなら、自分に合った素材を選ぼう
自然素材の家を建てたい。
それも出来れば、自分たちの要望を反映してくれる工務店に依頼をしたい。
家を建てる方にはそれぞれ皆さん、予算が必ずあるかと思います。
では自然素材の家を建てようと思ってらっしゃる方は、どの様な部分に興味があるのでしょうか。
- 料理教室を開催するから、キッチンにはこだわりたい
- お風呂はユニットバスの様に味気ないのはつまらない
- 予算の範囲内で出来るなら、あれもこれも叶えたい
- 二度建てる事は無いから、後悔したくは無い
- 好きが詰まった家の内装にしたい
この様に家を建てる施主側としては、いろんな思惑があって自然素材の家を建てたいと思っています。
キッチンに予算が多く配分されるなら、他の部分でコストダウンは出来ないだろうか。
お風呂に入る時間が好きだから、香りの良い木材を張りつめたお風呂に造作したい。
削れる部分があるなら、他の部分でコストダウンは出来ないか。
こんな思惑があっても良いと思うのです。
そんな思惑があった時、あなたはどう思うでしょうか。
ここで選ぶ素材について、どの様にコストを削るかを考える事にたどり着くはずです。
では自然素材の家を建てる上で、すべて自然素材にしなければならないかと言う事です。
- 外壁は必ず自然素材の漆喰にしなければならないのか
- 断熱材は必ずセルロースファイバーの断熱材が必要なのか
- 土間やポーチは天然石ではなくタイルではダメなのか
- フローリングはすべて無垢ではなく、単板の厚貼りフローリングではダメなのか
- 建具はすべて木製で製作のドアではなく、一般的なドアを選んではダメなのか
- 部分的にクロスを採用して、コスト削減をする事を選んではダメなのか
この様な部分を、調整したくなるのではないでしょうか?
私はどちらかと言えば、これらの施主側が思う気持ちは理解が出来ます。
施主が買えない家では、意味が無いと思うからです。
ただし注文住宅ですから、すべてのコストを分譲住宅の様に下げるのではなく。
部分的にコストコントロールをする分には、特に問題が無いかと思います。
実際に断熱材などは、予算によってはグラスウールを採用する家もあります。
発砲ウレタン断熱材を採用する家もあります。
立地や建物の意匠上、外断熱材を採用する家もあります。
むしろセルロースファイバーの断熱材が、発砲ウレタン断熱材や外断熱材に断熱性能が敵うかと言えば敵いません。
自然素材の断熱材で有名な、羊毛の断熱材の断熱性が高いかと言えばそうでは無いと思います。
むしろ断熱性はよろしく無くて、獣臭(けものしゅう)がひどいだけの断熱材だと思っています。
そこで断熱材の素材を安いモノにしたからと言って、自然素材の家では無くなる訳ではありません。
それによって余力が生まれたコストを、キッチンやバスルームに廻しても良いかと思うのです。
つまり素材を選ぶと言う事は、あれはダメ、これもダメ。
この様な打ち合わせをする場合、施主側としては打開策を見出せなくなる傾向にありがちです。
結局は納得の行かない自然素材の家に、高額なお金を支払うだけになりそうです。
これでは満足の出来る自然素材の家にはなりませんので、あなたはきっと後悔する事にも繋がりかねない事を覚えておいてください。
自然素材の家でもハウスメーカーの家でも、何れにしても素材を変更する事には抵抗がある業界です。
ですからあなたが家を建てる上で、ご自身の納得出来る予算の家を建てる事が望ましい訳です。
特に素材を変えたからと言って、欠陥住宅になってしまう訳でもありません。
むしろ人的に良心的な工務店であれば、この部分のコストを落としても良ければキッチンに予算を廻せますよとか。
バスルームにこだわりたいなら、外壁を漆喰から建材の塗り壁にするのもアリですよとか。
その様に柔軟にコストをコントール出来る工務店の方が良心的なのかもしれません。
あなたは自然素材の家と言うブランドを建てるのか。
自分で納得の出来る自然素材の家を建てるのか。
ここが大きな分かれ目となります。
自然素材の家を建てるなら、あなたの納得の出来る素材を選べる工務店にたどり着く事が大切な事を覚えておきましょう。
5.まとめ
いかがでしたか。
自然素材の家を建てる際に、選ぶ素材は用途に併せた素材選びが大切な事が分かりました。
昭和から平成に掛けて建てられた新建材で固められた家ではなく、原点回帰とも言える自然素材の家が必要になって来ています。
ぜひ予算も含めてあなたにぴったりの、自然素材の家を手に入れてくださいね。
もしもあなたの家づくりが神奈川県内であれば、中尾建築工房もお手伝いを差し上げる事も可能です。
大工の棟梁を経験した私が建てる自然素材の家は、なかなかのクオリティを維持する家ですからね。