横須賀市二葉雨漏り修繕現場視察の巻
今日は午後から外壁工事の業者さんと、雨漏りの改修工事を依頼されているお宅へ行きました。
一見はなんの変哲も無い、中古住宅ってイメージですよね。
中尾建築工房は新築の注文住宅ばかりブログに更新されているから、あんまりこういった改修工事をやっているイメージが無いらしいんです。
でもね、元々の私は雨漏りを直す大工として、地元で結構お仕事を頂いていた経緯があるんです。
例えば雨漏りする事によって、構造体に影響のある家の例などでは。。
外壁を剥がしてめくってみると、すでに梁材が溶けて無くなってしまっていたお宅もありました。
浴室の外壁側なども土台は炭化してしまい、掃除機で吸い込んだら、土台と言う存在自体が消えてしまっていたお宅もありました。
はっきり言って、こういう状態になっている家って言うのは、お医者さんが行う手術と同じ感じがします。
切れる所と切れない所もあったりするし、ただ悪い部分を切除しただけでは駄目な場合も多いんです。
なので、ありとあらゆる方法で耐震性を高めつつ、改修工事を自分自身の手で行った来たんです。
つまりはこの手の仕事にはめっぽう強いキャリアがあると思って頂ければいいかな〜なんて思うんですよね、私的には。
人の体を直すのはお医者さん
家のトラブルを直すのは、やっぱり大工さん
今回依頼を受けたお宅は、私の父親が生前に自衛官をしていた頃の友人とでも言いますか。。
その方の家になります。
元々は奥様のお兄さんが大工さんだったらしく、小さな家だったこの家を、ちょこちょこ合間を見て、増築を重ねて来た家なんだそうです。
だけれどそのお兄さんはすでに御歳80歳。
和室の柱を伝って雨漏りが始まったので、お兄さんに連絡をした所。。。
『もう俺も歳だから、他の人にみてもらってくれないか。。』と言われてしまい、どこに頼んで良いのか分からなかったらしいんですよね。
そんな時に『そうだ!中尾さん所の博志君は大工さんだったんじゃなかったっけ!!』と思い出したらしく、私の母親経由で連絡を頂いた次第だったんです。
今までの経緯を聞いてみると、お兄さんはほぼ材料代以外のお金はほとんど貰わないで、この家を作り込んで来たらしいとの事。
おそらく妹の為に、安くやってあげようとの優しい気持ちから、この様な造りになったのでしょう。
でも、私が思うに、安かろう悪かろうの造りの結果が雨漏りです。
兄としての優しい想いが裏目に出てしまったのが、この雨漏り。
一見はなんともない様に思えるこの家ですが、実際に雨漏りをおこした和室の天井は。。
すでに天井が落っこちそうだったにも関わらず、家の方はたくさんの賞状で隠された天井と壁の染みにまったく気づいてらっしゃらなかった様です。
なので私の方で全ての賞状を外しまして、ほぼ落ちていた天井の板を剥がしてみました。
もう見ればお分かりになる通りなのですが、白い断熱材の上にも水がたまっておりまして、かなり雨漏りに独特の腐朽菌臭がします。
これを見て、当初は『とにかく安くやって、安くやって! 』と言われていた奥様も、私が帰る頃には『博志くん、おばさん一生懸命働くから、なんとかして!』って言葉に変わっていました。
そうだよね〜、こういった部分を見ない事には、一般の方にはどれほど悪いレベルなのか、分かりもしませんでしょうしね。
この部分の柱は、柱の内側と、柱の外側の両方から雨が漏っているいるみたいです。
原因はすでに分かっていて、この和室の天井上には、大きなルーフバルコニーがあるんです。
そのバルコニーに、この様なモノを設置してあれば。。
そりゃ〜雨漏りしてくださいって言っている様なもんですなぁ。。
この防水の考え方なのですが、多くの方はFRP防水がなされていれば、水は漏れないとお考えの事でしょう。
でも、それは水がその部分に停滞しない事が条件になります。
こういった物置を置いてしまうと、負荷の掛かっている物置の角部分に過重が集中します。
集中荷重を受けたFRP防水の床板は、当然の如く歪みを発生させます。
その歪みにより、ひずんだ床材に対応出来なくなった防水が、切れるのは簡単に想定をする事が出来るんです。
つまり、優しい気持ちで造って上げた物置を設置してしまった事によって、逆に高い雨漏り修繕工事を成さなければならない羽目に陥ってしまった訳なんですね。
こういった仕事をなされた家を修繕する事を業界人はこんな言い方をします。
この仕事の。。ケツを拭くのかぁ•••
依頼の内容は雨漏りを止める事。
そして後残り16年は確実に持たせたいって事。
なぜか中途半端な16年持たせたいと言う微妙なリクエストだったのですが、こうなってくると美観云々ではなく、とにかく住める家に変えるって事になります。
なかなか難しい今回の横須賀市二葉に建つ雨漏り修繕のお宅。
見えない外壁内部も、柱を叩いたり、外壁を叩いたり、水平垂直を目で見る事で、内部の状態は透視する位までには見えました。
後は修繕する為の工程と工法、価格の擦り合わせをして、梅雨前までには工事を終わらせてあげたいと思っています。
こ〜ゆ〜仕事はほんっとに大変なんですよぇ•••
でも一番大変なのは、この家を維持して行かなければならないオーナーなのかもしれませんね。
つくづくいい人は悪い人になりうる事があるって事を、再認識する機会になりました。