工務店はハウスメーカーより安いのか?!〜評判の良い工務店の見分け方をご紹介します〜
大手ハウスメーカーよりも工務店の方が、安い費用で良い家が建つのではないか?
そこであなたは大手ポータルサイトに登録している工務店に、資料請求をするかもしれません。
さて、大手ポータルサイトに登録されている工務店だからと言っても、大手ハウスメーカーよりも安くてしっかりとした家が建つのでしょうか?
そこで住宅業界の内情を知る中尾建築工房から、本当に大手ハウスメーカーよりも安く、安心して建てられる工務店の見極め方をご紹介いたします。
1.同等の仕様と同等の素材になっているか
ハウスメーカーと工務店で家の価格を比較する場合、いきなり総予算で検討される方が居らっしゃいます。
そして多くの方がつまづいてしまうのが、ハウスメーカーや工務店の建てる家の中身を知らないと言う事です。
ですからまずは最初に、しっかりと確認しなくてはならない部分があります。
同等の仕様や同等の素材で比較をしているか。
ここは大きなポイントになります。
例えばこう言った部分を、比較されると良いかもしれません。
- 基礎の仕様はベタ基礎で鉄筋量は同じであるか?
- 建てる家の構造はパネル工法か在来工法か?
- 屋根や外壁はそれぞれどの様なモノを採用しているか?
- 室内の建材のグレードはどの程度のモノなのか?
- 内装の仕上げは量産品かグレードの高いモノなのか?
- 設備はどのグレードのモノを採用しているか?
- 自分の家特有の付帯工事が含まれているか?
■基礎の仕様はベタ基礎で鉄筋量は同じであるか?
基礎は建物を支える重要な部分です。
ベタ基礎と表記はあっても、それらの幅や厚みは同様なのか。
また見落としがちなのが、鉄筋の量です。
耐圧盤と呼ばれるベタ基礎は、300ピッチかそれとも150ピッチの感覚で鉄筋が組まれているのか。
耐圧盤や立ち上がりの厚みが増せば原価は高くなりますし、鉄筋量が多くなれば同じく原価は上がってしまいます。
まずはこれらの部分を、しっかり確認するのがポイントです。
■建てる家の構造はパネル工法か在来工法か?
工務店でもハウスメーカーでも、同じ構造と言う訳ではありません。
2×4工法なのか。
それとも木造軸組在来工法なのか。
2×4工法は木造軸組在来工法に比べて、コストが安くなります。
材料費も職人さんの工数も、少なくて済むからです。
在来工法でどれだけのボリュームの木材を採用するかにもよりますが、当社比の場合では坪あたり8万円から10万円は2×4工法の方が安くなります。
■屋根や外壁はそれぞれどの様なモノを採用しているか?
屋根材やカラーベストと呼ばれる素材が一番安い屋根材です。
それに対してメンテナンス性の高いガルバリウム鋼板などは、若干コストが上がります。
さらに洋風の瓦や和風の瓦、それぞれグレードによってコストアップします。
瓦を標準にしているか、カラーベストが標準なのか。
これによっても、価格の開きはあります。
■室内の建材のグレードはどの程度のモノなのか?
室内のドアや床材は、普通の既製品なのか。
それとも無垢の素材を選んでいるのか。
一般的な既製品に比べて、無垢の床材やドア材は高価になります。
どれを選んで価格が出ているのかも、見極めるポイントだと思います。
■内装の仕上げは量産品かグレードの高いモノなのか?
内装の仕上げが壁紙であった場合、量産品を選んでいるのか。
それとも厚手で、カラーバリエーションのある1000番台なのか。
はたまた漆喰や珪藻土になれば、その差は30坪程度の家でも100万円ほど差が出るかと思います。
どれが選んであるのかと言うのもポイントになります。
■設備はどのグレードのモノを採用しているか?
設備についてはどのメーカーも、低グレードの設備を選んでいるのが一般的です。
ただし工務店の場合、設備にこだわりを持つ工務店もいます。
設備がどれほどのグレードを見ているかも、価格の差を確認する上ではポイントになります。
■自分の敷地特有の付帯工事が含まれているか?
多くの方が見落としがちになるのが、自分の敷地特有の付帯工事です。
相見積もりになっている場合、どちらも契約を取りたがるでしょう。
とりあえず安い価格で契約する為に、入り口価格の見積もりを提示します。
この場合は建築する敷地によって、余計な付帯工事が発生する場合が多々あります。
- 上下水道管の交換
- 電柱移設や小柱の問題
- 解体工事の有無
- 擁壁工事の有無
- 敷地の面積が分からない場合の測量費用
これらは現場を見れば、すぐに必要か必要でないかが分かる工事内容です。
ですがハウスメーカーも工務店も、契約出来るか出来ないかの瀬戸際です。
まずは契約をしてもらってからの後回しになりますので、後から聞いてない費用が出る場合もあります。
この様にハウスメーカーと工務店を比較して、それぞれが違う仕様になっていないか。
見た目は同じ家に見えるかもしれませんが、同等の仕様や素材を採用している訳ではありません。
ですからただ単純に総額で決めるのではなく、同等の仕様に素材になっているかを確認する事が大切です。
2.入り口価格で騙されない為に
注文住宅と建売住宅を比較すると、価格の提示面が真逆である事をご存知でしょうか。
建売住宅であれば、広告に価格が○○○○万円と掲載されています。
仮にオプションがあったとしても、網戸やエアコン、カーテンなどの類になるでしょう。
比較的購入する場合のイメージがしやすいのが、完成している建売住宅の特徴と言えます。
では注文住宅の場合は、どうなるのでしょうか。
注文住宅は多くの場合、施主が入り口の段階で契約を促されるシステムになっています。
入口価格とは、どう言ったモノなのでしょうか。
■入口価格とは
契約前、住宅会社は「その予算で行けそうです!」とか「このくらいあればなんとか・・・」という曖昧な返事をして、簡単な図面と概算の見積書、標準仕様書などを見せてどうにか契約を取ろうとします。
このときに見せられるのが一番最低グレードの入口価格。
これで契約を迫ってくるのです。
通常は、この金額で工事が終わると思うので、この時点で予算内におさまっていれば大丈夫、と一般の方は考えます。
しかし、実際に契約が決まってしまうと、その後は何か変更をするたびに「そこは未定だったので」「注文住宅ですから」などど言ってどんどん追加料金が上乗せされていきます。
そして、気がつくと大幅に予算をオーバー。
これが最終的に、工事代金として支払った出口価格となるのです。
この内容はこちらのリンクから抜粋しました。
他にも住宅会社の見分け方について、詳しい内容が掲載されています。
この様に施主側が「この予算で家が建つなら。。」と思い描く予算が入口価格。
そして最終的にハウスメーカーや工務店が、利益を出す為に採用するのが出口の価格です。
この様に注文住宅を建てるハウスメーカーや工務店を選ぶ場合、契約すれば安心だと言う事ではありません。
可能であれば、すべてがしっかり決まった段階での契約が望ましいのです。
ただしその様なスタイルで活動している工務店の数は、まだまだ非常に少ないのが実情です。
ですからあなたがしっかりと覚えなくてはならないのは、入口価格で騙されてはいけません。
しっかりと出口の価格を想定して、ハウスメーカーや工務店を選ぶ必要があると言う事を覚えておいて下さい。
3.ハウスメーカーよりも高額な工務店が存在する
ハウスメーカーと工務店を比較する場合、どうしても費用の面では工務店に分があると思われるかと思います。
ですが私の知る限りでは、ハウスメーカーよりも高額な工務店が存在しています。
なぜ工務店なのに、ハウスメーカーよりも高額になってしまうのでしょうか。
実はすべての工務店が、同じ営業活動をしている訳ではありません。
ハウスメーカーと同等か、それ以上の費用になってしまう工務店には特徴があります。
それではそう言った工務店の特徴を紹介してみましょう。
- 雑誌に掲載されている
- ネットのポータルサイトにも掲載されている
- 紹介カウンターにも掲載されている
- 住宅展示場にも出店している
- テレビやラジオのコマーシャルにも出ている
- 本社が高そうなビル内にある
これらが4つ以上当てはまるのであれば、その工務店は価格がハウスメーカー並みだと思って良いでしょう。
工務店が存続するために、それなりの営業活動は確かに必要です。
ですが過剰なまでの広告宣伝を行う場合は、工務店のレベルで行えるモノではありません。
実際にこれらの内容全てを、行なっている横浜の工務店がありました。
お客様を集めるのには良いのでしょうが、その分の支出も莫大な金額になります。
テレビコマーシャルで有名なフィットネスジムが数年前に買収しましたが、先月末に工務店は損切り覚悟で売られてしまいました。
売りに出すと言う事は、手に負えない状態だと言う事でもあります。
この様にあなたが依頼をする工務店が、過剰なまでに宣伝広告を行う場合は注意が必要です。
あなたの大切な資金は建物に使われるのでなく、過剰な宣伝広告費用に使われてしまうと思った方が良さそうです。
さらに詳しく書いた関連記事もございますので、ぜひご覧になってみてください。
この他にもハウスメーカ−と同等か、それ以上に高額な工務店も存在しています。
それはどの様な工務店なのでしょうか。
- 営業マンを多く抱えている
- モデルハウスをたくさん抱えている
- 住宅商品を多数販売している
- フランチャイズに加盟している
営業マンを多く抱えていれば、それなりに人件費も掛かってしまいます。
モデルハウスをたくさん抱えていれば、その固定費にも当然お金が掛かります。
住宅商品を多数販売していれば、その住宅商品を販売する為の権利費用や、商品の購入費用が掛かります。
フランチャイズに加盟していれば、フランチャイズ本部に対する費用が掛かってしまいます。
この様にあまりにも多い固定費が発生している工務店の場合、ハウスメーカーよりも高額になってしまうのは当たり前の事だと思います。
私もモデルハウスを1棟だけ設計中ですが、これが何棟もあると考えた場合。
どう考えても、価格を上げずに持ち続ける事は出来ないと思います。
広告宣伝を過剰に行う工務店も、モデルハウスをたくさん抱えている工務店にも共通点があります。
会社自体を大きく見せたがっている
これらがいずれの工務店にも、共通点として挙げられます。
賞を取ったアピールをする事が多いのですが、お金を払えば賞はいくらでも受賞出来ます。
工務店なのですから、建てた施主の満足度が最大の賞だと思うのですが。
建てた施主からの満足度はさほどでもなく、なぜか受賞をアピールしてしまう様では本末転倒です。
ですからこれらに該当する工務店の場合、工務店と言う名のハウスメーカーなのだと言う事を覚えておいてください。
4.良質な工務店に出会える為に
ハウスメーカーと工務店で、あなたは工務店の方が安いと思って工務店を探しているのだと思います。
本当にしっかりとした家を、ハウスメーカーよりも安く建てる工務店は無いのだろうか。
確かに何のストレスもなく、お望みの工務店にたどり着きたいですよね。
一番良いのは、嘘をつかない工務店を探す事だと思います。
私も工務店の経営者ですが、ここまで正直な事を言い続けて来ました。
嘘をつき出したら、嘘を隠すために嘘を言い続けなければなりません。
私にはそんな自信は到底無いので、嘘は使わない様にこれまで続けて来ました。
隠し事をせず、嘘をつかない姿勢の工務店であれば、仕事にも誠実に対応するかと思います。
その工務店で建てた施主の評判なども聞けるのであれば、それが一番の口コミになるかと思います。
ぜひ建築地に近い工務店で、その様な工務店が有るのか無いのか。
友人や知人の中に、最近家を建てた人が居ないかとどうかを聞いてみるのもポイントです。
5.まとめ
ご覧頂いた様に工務店の中でも、ハウスメーカーと変わらない。
もしくはハウスメーカー以上に、高額な工務店が存在する事が分かりましたね。
広告宣伝などのアピール度合いが、ハウスメーカー並みの場合は要注意。
ハウスメーカー並みの住宅展示場への出店や、何棟ものモデルハウスを持つのも要注意。
ハウスメーカーよりも安く家を建てるなら、地元で評判の良い工務店に依頼をするのが一番だと言う事をしっかりと認識して頂ければと思います。