湘南・三浦半島の台風一過|こんな所が実は怖いんです
今日はものすごい快晴の一日でしたね。
私はいつもの様に逗子の自宅から車で海岸線を通るルートで出勤をしました。
海岸線はとても気持ちが良いんですけど、今日は海がとても荒れていましたね。
葉山の一色海岸などは、鎌倉の七里ヶ浜や横須賀の長者ヶ崎に比べて、比較的波も立ちにくい所ではあるものの、結構荒れた波が押し寄せていました。
これが東京湾側に行くと、どんな感じになるかと言えば。。
多少、うねりが入っている事が分かります。
でも、外洋に面している相模湾に比べてみると、東京湾の方が比較的荒れ方は少なくて済んでますよね。
ま〜湘南は外洋に面しているし、三浦半島に関して言えば、相模湾と東京湾に囲まれてしまっている場所です。
更には海と山で形成されているでして、海は埋め立てしたりして土地の確保をしています。
そして山の方は山を切り崩して、土地の確保を行ったりしているのが現状なんです。
では果たしてそういった土地は、今回の様な台風があった場合に果たしてどうなるのか?
『埋め立て地は海水が敷地の下に浸透しているから、だいじょうぶなの?』とか。。
『山を切り崩して造られた団地は、地盤が堅いからきっとだいじょうぶよね?』などなど。。
やはり土地と家は安い買い物ではありませんので、こういった不安は尽きないのもおかしい話ではありません。
むしろ、そういった不安要素が無い方が逆に怖いと思います。
で、これから土地を購入される方なども、やはり土地を見る目ってモノをきちんと磨いた方が良いかと思います。
またはすでに土地を購入しているけれども、傾斜地に近い土地を購入された方とか。。
もしくは敷地内が傾斜地だったりとか。。
後者の敷地内が傾斜地で、かつその敷地が傾斜地のまま家を建てる場合。
当然ながら、敷地の安全性を検討する必要があるんです。
例えば、こんな感じの土地に建てるとしましょう。
こちらのお宅は現在、構造他、あっちもこっちも検討中のお宅になるのですが、立地条件が通常の宅地と違いまして、結構細かく検討する必要があるお宅になります。
この場合、敷地内の傾斜地地盤の強度を知る必要もありますし、敷地外の山なども土石流が流れた際の検討をする必要があったりします。
当然ながら、地盤の強度も弱かったりすると、改良工事をするだけではなくて、建物の構造計算をしまして、どの様にしたらどえらい天災があったとしても、安全性があり、安心して住める様にするのかって部分を検討する必要があるんです。
これがまた時間が掛かるのよねぇ・・
つまり家本体だけでちゃちゃっと計算すれば良いって訳ではないので、特定行政庁やら、指定確認検査機関やら、地盤改良工事業者さんやら、構造計算屋さんやら、コンクリート工事担当者やら、土質調査屋さんやら。。
いっぱい、いっぱいの業者さんを巻き込んでの、更にそれらの情報を吸い上げた上での検討を行わなければならないのです。
つまり構造計算の結果によっては、それぞれの部材のサイズやコンクリートの強度、スラブの厚みに鉄筋の補強をどの程度すれば良いのか、結果が出ます。
その上できちんとその通りに造る事が出来れば、安全性は確保出来ているという事になりますので、安心出来ると言う事になります。
なので時間掛かっているのよね・・
ハンパねぇっす・・
ところが、構造計算もせず、宅地造成工事の申請もせず、法律の裏道を使って、あたかも安全な土地の様に見せかける造成工事が行われたりすること。
そういった裏道、抜け道を使って造られた土地が、普通に販売されている事があったりします。
ここは比較的目立たない立地で、造成屋さんが工事をしていた現場になります。
鉄骨の柱にLアングルを溶接していて、土留を造る感じでした。
この後、型枠を入れまして、コンクリートを打ち込みますと、ぱっと見るだけではきちんとした横須賀市型の擁壁に見えてしまいます。
何故、こういった事をやってしまうかと言えば、コストを掛けたくないからなんでしょうね。
通常の宅地造成の工事では、こういった工事は認められていないけど、申請を出していないから検査自体もありません。
つまり検査する人が居ないって事は『いつもこうやってやっている』と言われてしまえば、それまでなんですよね。
ではこの土留で果たして土圧に耐えられるのかって言えば、私はとてもじゃないけど、怖くて出来ません・・
だって、鉄骨の柱に対して鉄筋を溶接している訳でもないですし、そもそも鉄骨とコンクリートがきちんと定着するかと言えば、私はしないと思います。
姉歯一級建築士の構造計算書偽造問題があった後にも関わらずですから、こういった工事をやってしまう方たちは、おそらく責任感が無いのか、それともただの無頓着なのか、全く私には分かりません。
だってね。。
これ、二種類の鉄筋棒画像になるのですが、上の方は丸い鋼の鉄筋棒です。
下は異形と呼ばれる鉄筋棒。
鉄筋はどちらが良く使われているかって言えば、下の異形鉄筋の方が良く使われています。
丸鋼なんて、ほとんど使われなくなりました。
その理由は、丸鋼の場合、鉄筋の表面はツルツルになってます。
つまりコンクリート定着性が悪いとなります。
逆に異形の場合は、鉄筋の表面を敢えてツルツルではなく、リブや節を設ける事によって、コンクリートの定着性を上げている鉄筋です。
つまり、コンクリートがより鉄筋と密着する事で、出来上がった構造物の強度をあげる事ができる訳ですね。
こう説明すれば、鉄骨の柱にコンクリートを打った構造物が、如何に安全ではないかが良く分かるかと思います。
鉄骨の表面も割りとツルツルだしね・・
これではタダの無筋コンクリートとしか言いようがないと思う・・
海もあれば、山もある自然な環境に住みたい。
でもそこには当たり前の安全性が無くては、とてもじゃないですけど住めませんでしょ?
ここの所、不動産売買物件でも、過去にテレビに登場した事のあるビックリの注文住宅などが、割りと多く売りに出ていたりするのを見かけます。
建築家の作品としては、格好のデザインなのかもしれませんが、そこには建築物のみではなくて、地盤面の安全性や道路や周辺の傾斜地も含めた安全性の検討がなされているのか?
こんな所も家造りに於いては大きなポイントとなりますので、目立つ部分ではありませんけど、きちんと気を使いたい所ですよね。。
これから家を建てる。
もしくは土地をこれから購入する。
やはり判子を押す前の、敷地調査や構造物の検査済に関しては、絶対に注意しましょうね。
怖い、怖い・・・