リフォームやフルリノベーションを検討する前に|失敗や後悔しない為に一戸建ての家を診断する方法をご紹介します
新しく新築された家や、リフォームやフルリノベーションをした家を見ると羨ましくなりますよね。
私たちの家もリフォームやフルリノベーションをする事で、今よりも少しでも快適な生活にならないかと考える方はいらっしゃるかと思います。
ですがちょっと待って下さい。
リフォームやフルリノベーションを検討する場合には必ず確認して頂きたい、現状の一戸建ての住まいの状態を事前に調べる必要があるのをご存知でしょうか?
そこで元大工の棟梁を現場で勤め上げ、逗子や葉山、横浜エリアで活動している地元工務店の社長を務めている中尾建築工房から。
こういう事例の家はリフォームやフルリノベーションをしても、活きたお金の使い方にはならないですよ!
と言う説明をさせて頂きたいと思います。
Contents
1.地盤の沈下などは起きてないか?
昨今では地震に対する耐久性を上げるために、耐震補強を行うリフォームやフルリノベーションを検討される方が増えているように思います。
ですが大工の立場から意見をさせて頂くと、ただ構造を補強するだけでは意味がないと思っています。
それはなぜか?
まず最初に建物の耐震性や強度を上げるためには、それらを支える基礎が必要です。
現在の新築工事では以下の順にて、建物が建てられていきます。
- 地盤調査
- 地盤改良工事(必要であれば)
- 基礎工事
- 土台敷き
- 上棟
- 金物固定や筋交いなど
耐震補強を行うリフォームやフルリノベーション工事の場合で、該当する工事部分と言うのは、金物固定や筋交いなどが該当する部分になります。
ですがリフォームやフルリノベーション工事の場合、多くの場合で基礎工事に手を加える場合が少ないと言えます。
単に金物を増やしてみたり、ダンパーを筋交いに取り付けするなどの作業を行っても、それらを受け止める基礎に強度があるのか無いのか。
そこには疑問が残ってしまいます。
私が大工の修行時代によく聞いていた話は、木造住宅は土台を良くすることが肝心だと言われていました。
当然土台を良くする事は確かに大事なのですが、その土台を受け止めるための基礎は更に重要です。
そして最近の新築工事では基礎工事を行う前に、地盤改良工事と言う工事が行われる場合があります。
まず最初にその建物の重量を把握した上で、その土地の地盤が建物を受け止めることが可能かどうかの地盤調査を行います。
地盤調査をした上で適正な地盤であれば、そのまま基礎工事を行うことが出来ます。
しかしそれらが出来ていない状態、つまり地耐力に不安のある場合は、地盤改良工事を行う必要があります。
地盤改良工事を行う理由として、不同沈下をさせない対策をする事が目的とされています。
場所によって沈下量の異なる地盤沈下を不同沈下(ふどうちんか)若しくは不等沈下(ふとうちんか)という。このような場合、建物が傾いたり路面に凹凸や亀裂を生じるなど、地盤沈下で最も問題となる。具体的には、建物が傾けば、住人にとって不便であり不快であるし、空港の滑走路であれば、離着陸時の安全性に問題が生じる。不同沈下の事例として最も有名な建物としてイタリアのピサ大聖堂の鐘楼ピサの斜塔がある。
*ウィキペディアより抜粋
不同沈下と言う言葉が理解出来ましたか?
そこであなたに質問です。
あなたがリフォームやフルリノベーションを行おうと思っている家の基礎は、地盤改良工事が行われているでしょうか?
または建物を支える地耐力を兼ね備えているでしょうか?
私が言いたいのは。
- どれだけ建物の方を補強しようが。
- どれだけ外壁をきれいにしようが。
- どれだけ屋根をきれいにしようが。
- どれだけ内装を綺麗にしようが。
建物が傾いてしまう様では、意味が無いと思っています。
つまり1番肝心なところと言うのは、その地盤が安定しているかどうか?
耐震補強工事をする上で、それらの荷重を受け止めきれるか?
せっかく思い切って、リフォームやフルリノベーションを依頼しても、建物が沈下する様では様々な不具合が出てしまいます。
ですから事前にお伝えをしたいのが、これらを調査することが必要です。
リフォームやフルリノベーションを検討している段階だと、そこには目が行きにくい話ではありますが、まずは最初に1番大切なのは地盤だと言うことを覚えておきましょう。
2.基礎の状態は見ているか?
リフォームやフルリノベーションを行おうとしている一戸建ての家は、まず最初に見積もりをするところから始まるのではありません。
あなたが思い描いているリフォームやフルリノベーションに耐えられる、基礎であるかの確認が必要になります。
この記事を書いている2024年6月現在では、新築の木造住宅の場合はベタ基礎工法と言う工事が概ね主流になっています。
鉄筋もしっかりと入っていますし、民間や自治体の検査を受ける場合がほとんどですから、それらの基礎工事に対しては、あまり不安が無いと言えます。
強いて言えば。
- 基礎の天端処理の統一性
- 型枠の傾き
- コンクリートと鉄筋の被り厚さ
- 配置寸法や各寸法の正確さ
これらは検査の対象外になります。
そのためモラルのない業者の場合は、不安が残るかもしれません。
ではリフォームやフルリノベーションを行う一戸建ての家の基礎の状態は、どの様になっているでしょうか?
実はココだけの話をしておきます。
私が大工の見習いに入った時点では、まだベタ基礎工法が主流と言うわけではありませんでした。
それに加えて鉄筋を一切組まずに、基礎コンクリートを打設している現場を何度か見かけたことがあります。
私が大工の見習いになっていた頃と言うのは、かれこれ30年以上前になります。
30年以上前に新築されている家と言うのは、まず基礎の強度があるのかないのか、そこを調べる必要があるのではないでしょうか?
- 基礎のコンクリートが健全な状態であるのかないのかを調べるためには、クラックスケールを用いてクラックの幅を調べてみる。
- シュミットハンマーでコンクリートに打撃を与えて、帰って来た衝撃の強さを元に強度を測定することが可能です。
これらの2つは方法は基礎を痛めることなく、非破壊で検査をすることが出来るツールになります。
また過去にリフォームを繰り返している家の中にはシロアリ消毒をする為に、もともとなかったであろう人通口を開けるために基礎コンクリートを壊してしまい、シロアリ消毒を行っている家なども多くありました。
もともとすべての場所に人通口を設けることが出来ていれば、こんな事をする必要はありません。
ですがそういった解体をされてしまっている基礎に、リフォームやフルリノベーションに耐えうる基礎の強度があるとは到底思えません。
開けてしまった基礎部分には鉄筋も無くなりますし、強度的にも床や柱を支えられるほどの耐力があるとは思えません。
またこの行為自体が、不同沈下と同じ現象をを招く要素もあります。
あなたの家の基礎の状態を調べる事は、とても大切な工事の一つになります。
地盤補強がされてない家の場合は、不動沈下による基礎の断裂なども見受けられることがあります。この場合はやはり基礎の状態をしっかりと把握した上で、その補強をしながらリフォームやフルリノベーションの計画を提案することが前提となります。
ここで実例として、私の実家をご紹介しておきましょう。
私の実家は新築後35年ほど経過している家です。
三井ホームと言うハウスメーカーさんにお願いをして父が建てた家になりますが、新築時から不同沈下が起きていました。
なぜそれが分かるかと言うと、私が大工の見習いに入ってから何故か床の高さが斜めになっている様な気がしてなりませんでした。
この建物はツーバイフォーと言う建物になります。
ツーバイフォーは在来工法と違い、用意された部材をそのまま直接釘で固定する工法になりますから、1階のレベルが悪いと2階はさらにレベルが悪くなります。
ですが1階が6センチ以上も沈下していることに対して、2階は3センチほどの沈下しかありませんでした。
これは何を意味しているのかと言うと、工務店が工事中に1階のパネルを立て、2階の床を作る時に床のレベルを調整していると言うことが言えます。
工務店はこの不同沈下の真実を知っていて2階の床で調整をし、そのまま継続して家を建てたと言う事になります。
私が三井ホームの問い合わせ窓口に相談したところ、最終的にはかなり強気な方が来ました。
そして私が言われた言葉がこれです。
中尾さんね。
ドアが開かないとか、襖が開かないとか。
そういうのは生活に支障が出るでしょうから、いくらでも直しますよ。
だけどね。床が斜めだからと言って、生活に支障はないでしょう。
特に問題ないから、大丈夫ですよー。
つまりクレーム工事をしたくは無い為に、三井ホーム担当者はそういう言葉を残して去って行きました。
私はあまりにも呆れてしまう三井ホームの言動でしたので、もうその実家は一切のリフォームをする事なく沈下も進んでいますので、そのまま放置しています。
そしていつかお金に余裕が出来た時に取り壊しを行って、米軍基地の人たちに貸す家を建てたいと思っています。
この様に最初にあまり目立たない地盤や基礎のことを理解しておく上で、リフォームやフルリノベーションの提案方法が変わってくると思います。
またあまりにも古い新築後50年や60年後経過している家の場合、基礎のコンクリートが無く、石の上に柱や土台が立っている場合があります。
この場合は耐震工事を行っても問題外になりますので、リフォームやリノベーションと言う事では無く、建て替えを検討された方が良いかもしれません。
リフォームやフルリノベーションに比べて大きな出費になってしまうかもしれませんが、その代わりに建て替えすると言う安心感を得ることが出来ます。
一戸建ての家を支える基礎や地盤に不安があるようでは、長く住める家ということにはなりません。
ですからしっかりとした地盤と基礎を得る事が出来たと言う事になり、活きたお金を使い道になると私は思います。
3.外壁が直貼りで結露水による腐食が進んでいる
家の外壁がモルタルやサイディング、ガルバリウム鋼板など素材であった場合、必ず蓄熱する特性を持っています。
そのため建物本体に直接外壁が貼られている場合は、結露水が発生する事によって木造住宅は腐食が進む事があります。
この腐食が部分的であればまだ良いのですが、リフォームやフルリノベーションを検討されるのであれば、特にフルリノベーションの場合はほぼ全てを身ぐるみ剥がす形になります。
ここで外壁を剥がしてしまい、必ず通気層を設けることで結露水から無縁の工事を行うことができます。
通気工法で通気を止めない限りは結露水が発生したとしても、その水は全て下に落ちますので、建物本体が痛む事はありません。
ですから大掛かりなリフォームや来るリノベーションを検討されている方の場合は。
- 外壁の直張りの状態なのか
- もしくは通気層があるのか
そういった事も検討されつつ、リフォームやフルリノベーションを検討されるとと良いでしょう。
断熱性能の低下により、リフォームやフルリノベーションを検討するされる方もいるでしょう。
例えば。
- 窓はシングルガラス
- 直張りのモルタル外壁
- 押し込んだだけのグラスウールの断熱材
このような状態では結露水は必ず発生していますし、断熱材も結露水に濡れることになりますから、断熱性能が低下しています。
ここで気をつけなければならないのは、リフォームやフルリノベーションを検討した上で、どうしても外壁や屋根、そして断熱性能を上げたいと考える方は少なからずいらっしゃるかと思います。
この場合、全体的のバランスを検討して、断熱材を選択したり、サッシの選択を行う事。
そして通気工法を選ぶ事が大切になります。
もっと詳しく言えば、最終的に出口まで通気を止めない事が最も大切になります。
そう言った事を省いてしまっては、せっかくのリフォームやフルリノベーションが綺麗に仕上がったとしても、後々に問題が出てくる様ではリフォームやフルリノベーションを決意した意味がありません。
またたくさんのお金を使ったにも関わらず、あなたの予測していない結果になってしまう可能性もあるのです。
私が過去に見てきた事例では、屋根にトップライトを付けた屋根断熱の家がありました。
その家はトップライトの部分が垂木と垂木の間に横に垂木下地が入れられており、通気が成されておりませんでした。
そしてその通気を止めた状態であるからこそ、トップライトの周辺が結露を起こし、室内に結露水を発生させていました。
これは高断熱化をさせる上で、通気を取ることが如何に必要か。
断熱性能を上げる事で、通気が必要な事なのかと言う事を証明しています。
その家の場合は部分的に通気を止めている垂木書欠き取り、そして点検用のパイプを入れる事で状態を見守ることになりましたが、それ以来全く問題が起きて無いそうです。
断熱性能を上げると言う事は、外壁や屋根の状態にも直接関わってくる問題があります。
断熱効率の向上を検討されている方でリフォームやフルリノベーションを検討されている方は、断熱性能にこだわりのある施工会社に依頼することをお勧めします。
4.常に床下や室内がじめじめしている家
私がリフォーム依頼を受けて、現地に赴く際によく遭遇するのが床下がじめじめしている家です。
多くの場合、その家の近くに川があったり、もしくは山の水が流れてくるような場所があったり、とにかく水源が豊富なケースが多々あります。
- 川の近く
- 海の近く
- 山の麓
- 水源地付近
- 井戸のある家
最近の新築の家の場合は外周の地盤の高さよりも基礎の耐圧盤を上げますので、その様な水の影響を受ける事はありません。
ですが30~40年前の家と言うのは直接基礎で、しかも周囲の土と基礎の中の土の高さが逆勾配になっている場合もあります。
この場合は水の影響を止めるために、コンクリートを打設することも可能ではありますが、その高さが床下で取れないケースも多々あります。
基礎のみを新たに変更できるなら良いのですが、現実的ではない費用とリスクが伴います。
この場合はリフォームやフルリノベーションをお勧め出来ないケースと言えます。
また何度かリフォームの手を加えていて、その都度工事の依頼をする業者を変えている方に多いのですが。
窓の入れ替え、玄関の入れ替えの際、止水をしっかり行っていない家を見かけることがあります。
やっつけ仕事といいますか。。。
入れたら入れっぱなし、変えたら変えっぱなし
これでは止水の作業すら終わってないのですが、当たり前の様にその状態で引き渡しを行っている様です。
この場合は10年前にリフォーム済みなら、10年間は見えないところで雨漏りが続いていると言う事になります。
またこの程度の仕事をする様な業者の場合、様々なリフォームやフルリノベーションを出来る訳では無いと思います。
とにかく粗さが目立つでしょうし、不思議な収まりになっている箇所が多々ある事でしょう。
これはプロの視点から見受ける場合、相見積もりなどで仕事を受注し。
無理な予算組みでリフォームの依頼先を、決めてしまったことに問題がある様に思います。
当たり前の仕事を当たり前にこなす業者の場合、しっかりとその予算組みでは安心できるリフォームが出来ないと提案をするでしょう。
ですが依頼をするあなたに業者を見る目が無ければ、その提案よりも金額の安さを優先するかもしれませんね。
これは安かろう悪かろうという典型的な例になります。
こんな事もリフォームやフルリノベーションを依頼する場合、しっかりと業者の説明を聞きつつ見積金額の安さに釣られない事が必要です。
5.既に一戸建ての家としての、機能が成されていない家
一戸建ての家としての機能が成されていないと言うと、どういう事なんだろうって言う疑問が残るかもしれませんね。
実際に私たちが訪れる現場の中には、そういった家があります。
それはどのような家なのでしょうか?
- 既に屋根や外壁からの雨漏りが多数見受けられる家
- バルコニーの防水が既に防水機能をなしておらず、床がペコペコになってしまってる。
- 家の中のありとあらゆる部分で水分が見受けられることから、木材が本来の強度を保てずに水で包まれている状態になってしまっています。
一度は乾燥してはいたものの、木材は常に水分にさらされている状態が継続されると、それは木材の強度の低下を招いてしまいます。
これはフルリノベーションに耐えられるような状態ではない事と、基礎の状態なども考えると、むしろ建て替えてしまった方が良いと言う案件になってしまいます。
ですが、昨今の資材の高騰がある様に、誰もが簡単に新築の一戸建ての建て替えを出来るわけではありません。
ですから私はこういった家を見た時には、必ずお伝えしていることがあります。
リフォームやフルリノベーションに耐えられるような状態ではないものの、全く住めないという訳では無いと言う事。
ただしどこかでもうもうほんとにダメだと言う状態になったら、取り壊す方がまだ良いという事。
中途半端なお金をかけて、リフォームやフルリノベーションを行わないほうが良いと言う例のご紹介でした。
ここまで私がご紹介してきた中で、必ず共通している部分があります。
- それは地盤の強度があるか?
- 基礎の強度があるか?
- 水分と縁が切れているか?
これらは非常に重要なポイントになります。
木造住宅ですから木材はなるべく、水分と縁が切れるような状態になったほうが良いわけです。
仮に水分と縁が切れている家なら良いのですが、水分と縁が切れていない家の場合は構造材の木材が水分を吸い込んでシロアリ被害を起こしやすい状態になっています。
その逆に常に乾燥し続けた木材と言うのは、のこぎりの歯が立たないと言って良いほど固く強くなっています。
せっかくの資金を無駄にしない為にも、私が相談相手であれば。
安定した地盤に建つ家で、しっかりとした基礎の状態を保っている。
そして雨漏りもせずに乾燥した木材の家を、リフォームやフルリノベーションして差し上げたいというのが元大工社長の本音になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
いくらあなたがこだわりのリフォームやフルリノベーションを検討されていたとして、たくさんのお金をつぎ込んだとしても、それを形にする施工業者の実力が伴ってなければ活きたお金の使い道にはなりません。
またここで述べて来た様な事例と重ならない家であれば。安心してリフォームやフルリノベーションを計画することが出来ます。
ぜひあなたの要望をしっかりと聞き入れ、事前に調査をした上でそれに対する提案ができるプロの施工業者に依頼をしてください。
もしあなたのリフォームやフルリノベーションの計画地が神奈川県内であれば、中尾建築工房でも相談を受け付ける事は可能です。
あなたの家の診断をしっかりと行い、納得のリフォームやフルリノベーションのご提案を差し上げたいと思います。
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