若い棟梁が家を建てる為のお勉強!
現在、横須賀市内で新築の一戸建ての注文住宅を建てている中尾建築工房の棟梁が居ます。
なにをしに来たかって言うと、材料を見に来た訳でもないですし、ファックスを送ったりする訳でもありません。
事務所に寄った理由は、住宅ローンを組んで家を建ててますから、その領収証を取りに来たのと、現場の途中経過報告です(笑)
なにしろ今回は、ありとあらゆる部分を『そんなの自分でやれよ!』と私が言ったモノですから、施行管理の方に材料の発注も頼めませんし、私も設計も知らん顔(笑)
工程表ぐらいは私が引きましたし、建築確認申請は西井がやりました。
でも自分のせいで工期に変動が有る場合の段取りや、職人さんへの指示出しの全てを『そんなの自分でやれよ!』と言う訳です。
もちろん検査の日程も当初から一日でもずれる様な事があれば、設計担当の西井も『お前自分でやれよ!』という放置プレイぶりな訳です。
現場の方はなんとかなるかもしれないけれども、棟梁とは言え住宅ローンなんて、未知の世界な訳です。
そのため、銀行から言われるがままに領収証を取りに来たり、これからの流れの確認と言う事で、滅多に来ない事務所に来てくれたと言う訳です。
実は私も大工の棟梁から、工務店としての代表者になる時には、結構な戸惑いなどがありました。
それが分かっているだけに、自邸を建てている菅谷棟梁の『これでいいんですよ。。ね?』的な言葉を聞いてしまうと、思わず大笑いしてしまうのです。
だって自邸を建てるってことは、いくら大工だからと言っても何回も有る訳ではありません。
自分が絡む工事ならいざ知らず、他にも掛かってくる費用は当然当たり前の様に掛かる訳ですからね。
その段取りから、何から全てを自分で行なう事で『いつも建てているオーナーの人達が、どんな気持ちで、どんな想いで、家造りを託しているか』
これを分かって欲しいんですね。
もちろん普通に分かってもらうんじゃなくて、深い部分まで分かって欲しい訳です。
だから自ら施主となる事で、なにをしたらオーナーががっかりして、なにをしたらオーナーが不安に思わないか。
これを実践するには、とっても良い機会と言う事で、思いっきり私は現場を無視しているのです(笑)
でもなんだかこうやって若い棟梁が頑張っているのを見ていると、微笑ましいですね。
大工の仕事であれば、全てを知っていても、大工の仕事以外の部分も今までは施行管理の方でやってますので、詳しくは知らないのです。
でもこういった機会を持つ事で、全てを理解する事が出来るんです。
もちろん、全ての大工さんができるって訳ではありません。
修行をぼちぼちやっていて、年数を経過した棟梁と、プライドや志を高く以て仕事に当たっている棟梁とでは、雲泥の差が出るんです。
どちらになって欲しいかと言えば、当然後者な訳で、大工仕事さえ出来れば良いって訳ではなく、自分自身の持ち得る技術と、他職人さんや協力業者及びメーカーを円滑かつ気持ちよく仕事をしてもらう為に、釘袋を置かなければならない時があったりします。
私も釘袋を置くと決める時には、相当自分にプレッシャーがあったもんなぁ。。
だいじょうぶかな、おれ。。みたいな感じでしたね。
そんな菅谷棟梁邸ですが、なんとか進行しているみたいで、私と現役職人時代を共にした電気屋さんやペンキ屋さんからも話を聞いています。
今の所は順調に流れているみたいなので、このまま放置プレイで遠〜〜い目線から見守って行けたらなって思います(笑)
職人の人生、全てにおいて日々修行!
怠ける事なく、頑張って欲しいモノですね(笑)