葉山町一色海岸 湘南Styleな海の家
前回、ご依頼を受けました葉山一色海岸での海の家プロジェクト。
さっそく色んな要望を伺うべく、昨日に中尾建築工房にお越し頂きました。
そしてその後、ちょっと浜辺の環境をお教えしたいと思いまして、現地へとお連れしたんです。
ちょうど最近はシケが続いていたから、ある意味で悪いコンディションな訳です。
そういった悪い条件の時を見る事が実に大事なんですよね。
悪天候の現地を見る事は、オープンしてから自然の猛威に驚いて、対応に追われてバタバタするよりも、先に理解してもらってからプランニングを立てて行った方のが、テナントの方にも理解しやすいでしょうし、私達の意見も取り込みやすいんじゃないかなって思いました。
富士山の見える夕焼けはとてもキレイ。
だけどこの時の風速は西の風で風速は10m未満です。
私みたいにスリムなタイプの人は、思わず風で飛ばされそうになります。
ん・・
今、なにか変な間があったけど、気にしないでそのまま進めるとしよう。
さて、家を建てる時に、私達は色んな要望を伺っておりますけれども、聞くだけ聞いたら、その土地に建てるメリットデメリットのご説明をさしあげた上でプランニングを進めております。
では、海の家の場合は果たしてどうなるか?
これはもう、はっきり申し上げまして、一般的な住宅とは比較にならない位、建築する上での条件が悪いんです。
なので、色んな事を言われた上で、その殆どが『やりたいのは分かるんだけど、そのまま造ったら、海の家が道路沿いにある上の家にぶつかっちゃいますよ。。。』的な話をしたりします。
住宅と海の家で、根本的になにが違うかって言うと。。
そうねぇ・・
住宅はいわゆる建築物です。
建築確認申請も出しまして、構造上問題の無い事も設計者が確認しつつ、特定行政庁の方でも確認をします。
その上で建てられる訳ですが、建築途中にも検査が入りますから、まぁきちんとしていると言えば、きちんとしているやり方です。
では海の家は?
海の家の場合、仮設建築物です。
そう、一番強調しなくてはならないのが、仮設だって事。
海岸のそれぞれの区画を占有する為の許可やマナー面での申請などは行いますし、保健所や消防の指導にも準じた上で進めていきます。
でも、建築確認申請があるかって言うと、住宅ほどのものではありませんし、当然建築物としての安全を確認する検査もありません。
そうなんです、つまりは仮設の建築物であるから、建物の構造は各自で責任を取ってねと言う形になります。
私達は地元の設計事務所であり、実際に施工を行う工務店も兼ねておりますし、プライベートもこの辺りのどこかで過ごしています。
そうすると、当然『あれ、やばいだろ・・・』という造りの海の家を見れば、やっぱり台風や低気圧が来た時に、営業出来る状態ではない海の家も結構見てきました。
そもそも、海の家は仮設の建築物だし、住宅とは違って基礎工事をする概念がありません。
だって毎年壊す訳だし、基礎を壊すなんて事は、ものすごい金額が掛かってしまいます。
だから基礎を造って建てる海の家は無いわけなんですよね。
当然、基礎が無いって事は、ある程度は感覚で進めて行く形になります。
その感覚で必要となってくるが、面で造るのではなくて、ストラクチャーで造るという感覚。
これで分かるかな。。
これ、もう夜になってしまっていたので暗いのですが、私のタバコケースをちょこっと砂浜に埋めてみたのと、その辺に転がっていた木の枝を使って例にしてみました。
木の枝は、ほんの少しだけ埋まっているだけですけど、風速10mの風に対して、揺れはするけど建っている。
所が風に対して木の枝よりも、大きな面積を持つタバコのケースは簡単に倒れてしまいます。
ちなみに砂浜に埋めている深さはどちらもおんなじです。
つまり私達が何を言いたいかって言うと、住宅の場合は雨風や雪、地震などと戦っても負けない様に造ります。
でも海の家などの悪天候が予想される場所に建てる仮設建築物の場合は、自然災害と戦わないで、受け流す方法を取る事が一番なんです。
そんな事を現地で説明させて頂いたのですが、かなりの理解度をイメージ出来た様なので、良かったです。
この他、色々と『こんなのやったら、どうでしょう!』と言われた事に対しての、私の一言。
『うん、無理!失敗してもよければ、やれば良いけどそのニーズは無いと思う。』
気持ちはほんとに良く分かるんだけどね〜
せっかく建てるのであれば、成功する形になってもらいたいので、敢えて駄目出しは多めにさせて頂きました。
それでは葉山町一色海岸 湘南Styleな海の家
夏のオープンまで、海の家を造って行く一連の流れを面白いかと思いますので、連載とさせて頂きます!