注文住宅を建てる上でコストダウンや節約する方法とは?
注文住宅を建てるか、建て売り住宅を購入しようか。
誰もが最初は購入しやすい建て売り住宅をご覧になるそうですが、どうも考えていたイメージとはまったく掛け離れてしまっている。。
私は逗子や葉山で自然素材の注文住宅を建てている工務店ですが、色々とクライアントの要望を聞きつつ。どうやったら注文住宅の家を、コストダウンや節約が出来るかなどを提案しています。
せっかく家を建てるなら、予算も気にしながら納得の注文住宅を建てたい。
そんな方はぜひ参考にして頂ければと思います。
Contents
1.注文住宅のコストを節約するポイント
延床面積を小さくする
注文住宅を検討すると、必然的に延床面積が広がってしまいがちにならないでしょうか?
ですが一般的には坪○○万円と言う表記で価格を出す事が多いと思います。
ですから面積を小さくする事で、坪あたりの単価が下がると思います。
ただし実際にはどれだけ大きな家でも、小さい家でもキッチンなどの水回りは1セットです。
その分は変動しないはずなのですが、もしも丸ごと下がると言う事であるならば。
見積もりを依頼するハウスメーカーさんや工務店さんに、延べ床面積を小さくする事でコストがどの程度下がるか確認をしたい部分です。
1坪減らして〇〇1坪分が減額出来るなら、小さくする事をお勧めします。
作り込まない家は安くなる
現場で大工経験のある私から言わせると、作り込んだ間取りと作り込まない間取りとでは、構造材やはがら材の使用量は全く違います。
簡単に言えば延べ床30坪の2F建てを計画しているとしましょう。
- 1Fが広くて2Fが小さい家
- 出入隅が多い家
- 間仕切り壁が多い家
これらに該当する注文住宅の間取りの場合、コストが下がりにくい家と言えます。
1Fが広いとその分基礎工事の面積が広がりますし、2Fのみで済む屋根が1Fにも発生する事になります。
出入隅が多いとその分柱の本数や外壁の面積が長くなります。
間仕切り壁が多いと言う事は、それだけ下地や仕上げの工事費用が上がると言う事を意味しています。
それでは逆に、どんな形ならコストが抑えられる事になるのでしょうか?
それはシンプルな真四角の家にする事
- シンプルな真四角の家で、間仕切りがほとんど無いオープンな間取り
- 1Fも2Fも同じ大きさで、屋根の面積も床の面積も同じ
逆に1Fと2Fの大きさが変わってしまうと、基礎と屋根の面積が大きくなってしまいます。
その分コストは上がりやすくなってしまいますので、コストを優先するならシンプルな形状のレイアウトをお勧めします。
前者の家の場合、柱の数は150本以上は使うかもしれませんし、後者の場合は100本も使わないかもしれません。
つまり柱だけでも50本以上は差が出る訳なので、当然後者の家の方がコストは下がります。
それに伴い、壁が多ければ大工さんの手間賃も増えますし、壁が少なければ大工さんはあっという間に作業が終わってしまうのです。
ですから図面上で細かく将来的なレイアウトをするのは良いのですが、実際に工事を依頼する場合は作り込まずにシンプルにする事。
後から家具などを設置する事で、部屋を分けられる方がコストを抑えられると言う事になります。
木材の規格寸法を意識する
これはなかなか検索しても出てこないポイントかもしれませんが、注文住宅のコストを節約する上では知っておいて損は無い大きなポイントです。
木材には規格寸法がありまして、家の寸法にもメーターモジュールと尺モジュールの二つのモジュールがあります。
ここでは関東圏で多い尺モジュールで解説したいと思います。
- 910(909)mm
- 1820(1818)mm
- 2730(2727)mm
- 3640(3636)mm
()内は尺をセンチメートルに置き換えた際の寸法値になります。
この寸法値で注文住宅の間取りを構成して行くのですが、初めて家を建てる方にとっては中途半端な寸法値に見えてしまいますよね?
実はこれらの寸法値には、しっかりとした理由があります。
構造材の木材には規格があるのですが、概ね3000mm〜4000mmが規格の長さのサイズになります。
それ以上の長さになると長さの規格を超えてしまう為、規格外の木材を作らなければなりません。
それこそ注文住宅の醍醐味ではあるものの、コストも跳ね上がります。
ですから少しでもコストを節約したい方の場合、木材が規格材(4000mm)で済む、3640mm間隔で柱を入れる事をお勧めします。
この様に木材の寸法には規格がある事から、注文住宅の間取りにも影響すると言う事がお分かりになるかと思います。
逆を言えば特別にオーダーをする事で木材の長さや梁の高さも変更をする事が可能となります。
ここでは簡単に長さや高さの事について、書き込んでおきましょう。
●長尺
長尺は定尺(規格)に比べて、木材を長く作った場合の呼称です。
私の経験値では、過去に10mまでの一本モノを作ってもらった経験があります。
ただし特別にオーダーする事になります。
木材は立法単価で計算されるのですが、規格の立法単価と違って1.5〜2倍になる事もあります。
●尺下 尺上
尺下は300mm未満の材料になり、尺上は300mmを超えた寸法の材料になります。
通常の梁材は105〜120幅に対して、梁の成(高さ)で呼ばれます。
300mmの梁材であれば尺梁(しゃくばり)と呼ばれており、360mmの梁であれば尺2寸の梁(しゃくにばり)などと呼ばれます。
尺下の単価よりも尺上の単価が高く、さらに尺3寸になればもっと単価が上がる事になります。
ですからあまりにも広い空間を望まれる場合、これらの材料を採用しないと間取りが完成出来ません。
コストを優先されるのであれば、これらの規格外寸法を選ぶ様な間取りにしない様に建築士の方と打ち合わせを行いましょう。
本格的な和室を選択しない
和室と言えば、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんの家を想像する方も居るかと思います。
イメージ的には柱が壁から出っ張っていて、畳の床だったりするのが和室のイメージだと思います。
私が本格的な和室とお伝えしているのは、柱が出っ張って見えている真壁和室と言う和室の事を指しています。
真壁和室は使用する柱材に節のない無垢材や、表面だけ無垢材を貼り合わせた厚張り単板を貼った集成材があります。
これらは普通の壁に隠れる柱に比べて、一本一本の値段が高くなります。
さらに職人さん作業の手間隙が掛かってしまうのが、この真壁和室です。
真壁和室の柱はそのまま仕上がりとなる柱材ですから、工事中には相当な気を付けなくてはなりません。
サッシの取り付けや造作材の取り付け、全てにおいてかなりの手間隙がかかってしまいます。
難易度の高い和室になると、さらに材料費と手間隙が高くなりますので、本格的な和室は選択をしない事が注文住宅のコストを上げない事につながります。
無駄な廊下を無くす
1Fリビングなどの場合で多いのですが、廊下が必要になる間取りがあると思います。
動線として必要ならば仕方ありませんが、意味なく廊下を設けてしまうのは勿体無いと思います。
必要最低限の廊下であったり、廊下を収納化する事も可能です。
また階段などをレイアウトする際、暖気の上昇を防ぐために廊下を希望される方も居ると思います。
ですが廊下は冬場など暖房の無い場所になりますし、日が当場所でもありません。
むしろリビングと階段スペースを一体化する事で、上昇する暖気をシーリングファンなどで攪拌する事が可能となります。
結果ヒートショックなども防げると言う事も、併せて覚えておきたいポイントです。
水回りのレイアウトを揃える
風水や家相を検討する際に多いのですが、水回りが分散される家があります。
分散する場合は配管など距離も長くなりますし、2Fに水回りを多数入れる場合は、排水の勾配が取れなくなる可能性があります。
場合によってはパイプスペースを作ったり、柱の長さを延長させる必要も出てしまいますので、その分コストが上がりやすいです。
ごく一般的なレイアウトなら問題ありませんが、そんな事も頭の中に入れておきたいポイントとなります。
窓をたくさん付けない
建築基準法では居室の日射を得るために、窓から採光計算を行います。
採光が取れていれば基準法上では問題無いのですが、外観や内観の見た目の問題から、窓をたくさん付けたがる方もいます。
窓が15箇所で済む家もあれば、30箇所もある家もあります。
当然ですが30箇所の窓と15箇所の窓では、15箇所分高くなってしまいます。
ですから必要以上に、窓の数を多くしない事をお勧めします。
バルコニーを無闇に付けない
布団や洗濯物を乾かす程度なら必要かもしれませんが、大型のルーフバルコニーなどを作るとコストが上がりやすくなります。
斜めに作る屋根と違って、バルコニーは人が歩けて雨も止めるための機能が必要です。
安く作れるものでは無いので、必要以上のバルコニーは作らない事をお勧めします。
収納をまとめる
収納をたくさん付けると、片付けをする分には効率が良くなります。
ですがコストは上がりやすくなりますので、あまりたくさんの収納をそれぞれ配置するよりは、収納をまとめる方法があります。
収納を家族でシェアする方法と言えばわかりやすいかもしれません。
収納と言えばキッチンにも吊り戸棚などの収納が付いてますよね。
これは当社比になってしまうのですが、吊り戸棚の採用率がぐっと下がっています。
理由は仕舞えても出せない事が多く、掃除なども面倒な面があるからです。
そこで代わりに採用されるのが、パントリーと呼ばれる収納スペースです。
パントリー内に上下動出来る収納棚を設ければ、かなり効率良くキッチンツールや家電を収納出来ますので、お勧め出来るポイントです。
またパントリーのレイアウトもパントリー内をリビングから見えない様に出来るのであれば、扉を付けないと言う選択肢もあります。
これも効率の良いコストダウンとなりますのでお勧め出来るポイントとなります。
造作工事を選ばない
注文住宅を建てる上で造作工事は魅力のある工事だと思います。ですが造作工事は価格が上がりやすいのも事実です。
- 工事ごとに図面作成
- 数量拾い
- 材料費
- 大工さんの手間
この様に造作工事を一つ頼めば図面作成から始まり、施工を管理する監督さんが部材を拾って発注をします。
そして現場の大工さんの作業に至るまで、伝言ゲームの様な作業が必要になりますよね。
つまり素材を選んだりするのも楽しいのですが、コストは上がりやすいです。
ですから造作工事を減らす事が注文住宅のコストを下げるために、必要なポイントだと言う事を覚えておきましょう。
外構工事をオープンに
外構工事で門やブロック、ゲートなどで塞ぐ家などを見かける事があります。
とてもお金が掛かっていそうで、なんならSECOMなどの警備会社も入ってそうな雰囲気と言えばわかりやすいでしょうか。
そういった外構工事はそれぞれ費用が必要になりますので、無ければ無い方がコスト的には安くなります。
またブロックなどが連続してある場合、どろぼうなどの隠蓑になってしまうケースも多々あります。
工事の費用をたくさん掛けて、後から防犯の保守費用も高くなるのでは本末転倒です。
可能ならオープンな外構工事を検討された方がコストが安くなります。
太陽光発電システムを検討するなら後付けを
太陽光は住宅の中でもnet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)で注目されている様に、自家発電出来る設備として人気があります。
ですが採算を考慮しますと現段階では採算が取れるモノではありませんし、交換時期になればパネルの交換費用や古いパネルの廃棄する処分代も高いと言われています。
太陽光は新築の際に取り付けなくとも後付けする事も可能です。
後々設置したいと言う意識が高い場合は、パワーコンディショナーや蓄電池(EV車でも可)を設置可能なプランにする事をお勧めします。
ここまでがごく一般的に、注文住宅のコストを節約する場合に気に掛けたいポイントです。
ですがコストの節約ばかりを意識していたら、本当に良い家が建つ訳でもありません。
長く住まわれる家になるでしょうから、コストを掛けておきたいポイントもありますのでご紹介を続けましょう。
2.後々後悔しないための検討ポイント
屋根や外壁
注文住宅を建てると、ご入居と同時に生活が始まりますよね。
そしていつしか時間の経過と共に、メンテナンスの事も考えたりしないでしょうか?
特に屋根や外壁は雨の侵入を防ぐ役割がありますし、工事をする場合は足場なども必要なメンテナンス項目になります。
ですから注文住宅を建てるのであれば、メンテナンスの時期も考慮した上で屋根や外壁の素材を選んでおきたいポイントです。
私の会社では屋根の勾配(斜め具合)をゆったり造る事を意識しています。
もしも天災があった時、なにかが飛散して屋根の一部に穴が開いてしまったとしましょう。
急な勾配の屋根では足場が無いとメンテナンスのしようがありませんが、ゆったりの勾配であれば職人さんなら梯子を登って屋根に上がれます。
そして部分的に交換する事が可能な、立平葺きのガルバリウム鋼板をお勧めしている事が多いです。
外壁には通気層を設けたモルタル下地で、仕上げには塗り壁の外壁をお勧めしています。
外壁の裏側に通気層がある事から、もしも大震災が起きてクラックが発生したとしましょう。
それでも通気層分外壁は浮いた状態になっているので、直接木造の軸組まで雨が到達する事はありません。
メンテナンスに関しても外壁の汚れが気になればやれば良いでしょうし、気にならないと言うなら後回しにする事も可能です。
窓
窓はこの後に紹介する断熱とも連動する大きなポイントです。
注文住宅を建てる前は、比較的リーズナブルなアパートや一戸建て、マンション暮らしだったとしましょう。
その住まいで結露水に悩まされた事は無いでしょうか?
せっかく注文住宅を建てるのに、結露のたびにびっしょりになった窓を吹くなんて、苦行にしかならないと思います。
最近の窓は高い性能を持つ窓がラインナップされていますので、安い窓では無く最低でも複層ガラスで、室内側には樹脂の窓を選びたいモノです。
さらに周辺が騒がしい立地などにある場合、新築時に内窓を入れる事もお勧め出来るポイントです。
画像は通常の窓に対して、内側に窓を追加した状態になります。
窓自体に小音対策に効果があるとは宣伝されてはおりませんが、実際にその様な立地に内窓を採用すると効果があると言われる事が多々あります。
断熱
断熱も注文住宅を建てる上で、よくよく検討したいポイントになります。
近年ではますます温暖化が進んでおり、プライベートで海などに行けば体感温度が上がっているのを感じる事が出来ます。
断熱は様々な商品がありますが、予算が許す限りはしっかり費用を掛けておきたいポイントでもあります。
私は床や外壁、屋根の断熱はしっかりと断熱効果のある断熱材をお勧めしています。
そこでいくらか見積もりがプラスになったとしても、その分の費用対効果は上がる素材だと思っています。
設備
注文住宅を建てる上で、私なりに体感している事があります。
ご入居後に様子見で訪問する事があるのですが、設備に満足している方の場合は比較的満足度が高い様に思います。
逆に予算があるからと、なんでも諦めてしまった方の場合。
やっぱりやっておけば良かったかな・・
と言う言葉もありました。
ですから設備選びに関しては、ある程度柔軟に検討された方が良いと思います。
- ガラストップコンロ
- ビルトイン食洗機
- ディスポーザー
- 生ゴミ処理機
これらはどれも洗い物やゴミ処理を楽にする設備です。
この他にも浴室乾燥機であったり、トイレなども掃除の手間が非常に少ないタイプのトイレも出てきています。
無意味にゴシゴシ洗ってしまうと、せっかくのコーティングを落とす事にも繋がってしまいます。
設備選びに関しては、柔軟に検討される事をお勧めします。
特にダブルインカムのご家庭の場合、日々の負担を相当軽減する事にもなりますよ。
3.出来る事は自分で頑張る
注文住宅には様々なジャンルがありまして、ハウスメーカーさんの建てる注文住宅であったり。
地場で活動している、工務店さんが建てる注文住宅もあります。
それぞれ地域性や風土と言うモノがありますので、それらに合わせた素材を選ぶと言う事も必要だと思います。
特に私の会社では、神奈川県の逗子市や葉山町と言うエリアで施工する事が多いです。
出来る事は可能な範囲で自分で作業を頑張る事で、ワンランク上の素材を選んでいただく事をお勧めしています。
漆喰塗りに挑戦してみる
漆喰や珪藻土の様に室内の湿度を下げる素材があります。
特に私の施工エリアは湿気が多いので、私の選んでいるイタリア漆喰は必ず選んでおきたいポイントの一つです。
漆喰塗りは左官職人さんの仕事になるのですが、これらの作業を自分でやってみる事で左官職人さんの労務費分を削減する事が可能です。
ただし慣れていない工務店さんやハウスメーカーさんの場合、毛嫌いされてしまうかもしれません。
ちなみに私の会社では、この様にして漆喰塗りに挑戦して頂いてます。
- 確認申請はプラスターボード素地仕上げで申請を行う。
- 完了検査までにトイレや洗面所の漆喰塗り作業は終わらして、設備器具は取り付けてしまう。
- 表示登記が降りたら住宅ローンの実行をして頂き、あとはペースに併せて漆喰作業をしてもらう。
- ある程度の段階で日程の目処を付け、照明器具や網戸、ハウスクリーニングの日程を決めてしまう。
こうする事でほとんどの方が漆喰の壁をご自身で塗っている方も居ますし、もちろんプロにお任せと言う方も居ます。
中には引き渡し後に新たに養生を行って、生活しながら漆喰塗り作業をしている方も居ます。
費用はビニールクロス仕上げに比べて、漆喰塗りの方が高額になります。
ですが完成した家の湿度を体感すれば、絶対に選んで良かったと言われる素材でもあります。
頑張れる方なのであれば、是非挑戦して頂きたい作業だと思います。
ウッドデッキを造ってみる
ウッドデッキも後から出来る工事なのですが、これも施主ご自身で施工を行っているお宅もあります。
今ではYouTubeなどでも動画がある様に、様々な工事を動画で見る事が可能な時代になりました。
もちろん動画だけでは難しいかもしれませんが、指導をしてくれる工務店さんであれば施主でも可能な工事となります。
DIYの出来るカッコ良いお父さんになれるかもしれませんので、頑張れる方は是非とも頑張って頂きたいポイントです。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
ぜひ注文住宅を建てるなら、これらのポイントを参考にしながら楽しい家づくりの打ち合わせを進めてくださいね。
もしもあなたが逗子や葉山で、湿気に困らない注文住宅を建てたいと思っているなら、中尾建築工房にもお声掛けください。
過去に建てたOBオーナー様からお褒めの言葉を頂いている注文住宅をご提供させて頂きますね。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。